地球の覗き方

地球のことをのぞいてみよう

 午後になると、まだ空は青かったけれども、あたりに霧がでるようになった。阿里山の天気は、午前の晴れと午後の雲霧を繰り返すことが多いというから、きっとこれから霧がたちこめるのだろう。

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【2015.12.26】阿里山

 バス停へと向かう。

IMG_2910【2015.12.26】阿里山

 駐車場にあるお土産やさんで、檜の香りがする石鹸や、お菓子、阿里山の手摘みの烏龍茶などのお土産を買って、バス停から、嘉義行きのバスに乗ることにした。

IMG_2924【2015.12.26】バス停

 バスは座席指定で、セブンイレブンで切符を買うことができる。発車5分前に行ったところ、すでに満席で乗ることができず、次のバスに乗ることになった。
 台鉄嘉義駅行きと、高鉄嘉義駅のバスが発着する。各々の発車時刻と運賃は、

 台鉄嘉義行き(236TWD, 所要時間約2時間半)
  9:10 11:40 12:40 13:40 14:10 14:40 15:10 15:40 16:10 16:40 17:10

 高鉄嘉義行き(276TWD, 所要時間約2時間半)
  10:40 14:40 16:40

 となっている。ちなみに台鉄嘉義駅から阿里山に行くバスは、台鉄嘉義駅を午前6時10分から午後2時10分までの出発する11本が運行されており、高鉄嘉義駅から阿里山に行くバスは、高鉄嘉義駅を10:10, 11:40, 13:40に出発する3本が運行されている。
 14:40発台鉄嘉義行きのバスは、マイクロバスでの運行であった。標高2170mの地点にあるバス停から、嘉義市の市街地まで標高2000m以上にもなる落差を88kmの道のりで下っていく。バスはカーブの連続で、激しく揺れるので、乗り物酔いをしやすい人は何らかの対策をしておいた方がよさそうだ。
 ある程度まで下ると、バスは完全に雲霧に包まれ、何も見えなくなった。

IMG_2926【2015.12.26】マイクロバス

 途中、「休息一下(少し休みましょう)」という掛け声とともに、バスが止められた。阿里山のお茶の直売店と、トイレを兼ねた建物の前で止められた。雲霧で景色は何もみえなかったが、おそらく、お茶畑の中を下っていたんだと思う。肌寒かったので、すぐバスに戻った。

IMG_2928【2015.12.26】嘉義市内

 予定より30分程度遅れて、台鉄嘉義駅へと到着した。さすがに霧が深く、あまり速度を出せなかったんだと思う。たくさんのオートバイが走っていて、排気ガスの臭いがする。そして生暖かい。ああ、下界に戻ってしまったんだなあという気持ちがした。

■2015年 南台湾4泊5日
<1日目>
#0082.バニラエアで高雄行き
#0083.果物屋さんで釈迦頭を買っていく
#0084.台鉄の旅のお供に台鉄弁当!
#0085.台南の宝くじ売り場で1000円をする
#0089.台南・武聖夜市を行く 
<2日目>
#0090.赤嵌楼 - 台南に赤く聳える
#0091.台南モダンのハヤシ百貨店 1
#0092.台南モダンのハヤシ百貨店 2 
#0093.台南孔子廟で「書」のおもてなし
#0094.南台湾でしか食べられない「丹丹漢堡(丹丹ハンバーガー)」
#0095.台南 - 清代と日本統治時代が重なり合う街
#0096.台南・花園夜市を食う!
#0097.台南・花園夜市を遊ぶ!
<3日目>
#0100.阿里山森林鉄路で嘉義から奮起湖へ
#0101.奮起湖 - ノスタルジックな山あいの集落
#0102.阿里山旅行記1 - 阿里山で森林浴をする
#0103.阿里山旅行記2 - 雲霧に覆われる阿里山
#0104.阿里山旅行記3 - 台湾一標高の高いところにあるセブンイレブン
<4日目>
#0105.阿里山旅行記4 - 朝4時半に起床し山を登る
#0106.阿里山旅行記5 - ご来光と帝雉  
#0107.阿里山旅行記6 - 阿里山に残る日本寺院「慈雲寺」
#0108.阿里山旅行記7 - 森に佇む姉妹潭
#0109.阿里山旅行記8 - バスで阿里山から嘉義まで一気に下る
#0110.関子嶺温泉への行き方
#0111.関子嶺「山景土雞城」 - 台湾で地鶏を食う!
<5日目>
#0112.関子嶺温泉の泥湯を心ゆくまで楽しむ
#0113.関子嶺温泉街を散策する
#0114.南台湾4泊5日のしめくくり


 日の出を拝んでから、宿に戻り、朝食をとってから部屋で少し休み、散策に出かける。

alishanmap

 線路沿いを歩いていく。森の空気が心地よい。

IMG_2892【2015.12.26】線路沿い

 そうすると、「姉妹潭(姊妹潭)」という名のつけられた、大小2つの小さな湖が現れる。

IMG_2876【2015.12.26】姉妹潭

 なぜ姉妹潭と名づけられたかというと、鄒(ツォウ)族の昔話に基づくという。
 かつて、2つの集落があったという。善良で人のことを疑ってかかることのない人々が住む克木集落と、弱いものを騙すのが好きで隙あらば他の集落を侵攻しようと思っていた人々が住む烏木集落だ。ある日、烏木集落の人間が克木集落の人間に「最近、猟がうまくいかないのは天がお怒りになっているからだ。天の神様の怒りを鎮めるためには、供え物をしなくてはらない。供え物としては、人間の女の首が100個、必要だ。俺たちは50個用意するから、お前たちも50個用意してこい。そして、家も焼いて祈りを捧げよう」との話をもちかける。もちろんこれは、でっちあげで、相手集落の勢力をそぎ落とすための方便でしかないのだが、それを聞いた克木集落の人間は騙され、震え上がってしまった。どうすればいいか分からなかった。そこで、克木集落の長老の姉妹は森へ行き、天の神様に「烏木集落の人々が儀式のためといって、我々を殺そうとしてきます。どうか我々の命と引き換えに、集落の人間をみな助けてやってください」と涙を流しながら、懇願する。その涙はとてつもないほどの量で、ふたつの湖を作るほどだったという。天の神様は姉妹のけなげな姿に感動し、約束を果たそうとする。後日、烏木集落の戦士たちがいよいよ克木集落を襲撃にかかろうという時がやってきた。その時だった。湖は水位を上げ、烏木集落の戦士を丸呑みにした。そうして、社木集落の人間は救われることになったのだが、水位のあがった湖は姉妹のこともまた飲み込んでしまった。この昔話に基づいて、姉妹潭という名が付けられたという。

IMG_2883【2015.12.26】姉妹潭

 なんだろう。とても、悲しい物語である。ところで、農作物とれなかったりや猟がうまくいかなかったら、生贄を捧げて天の神様の怒りを鎮めなくてはならないという発想は、万国共通のようで興味深い。

IMG_2893【2015.12.26】阿里山の景色

 暖かい一日だった。

IMG_2897【2015.12.26】阿里山の景色

 山の向こう、標高の低いところには一面の雲が広がっているから、標高の低いところはさほど天気がよくなさそうだ。今からまた、標高の低いところへと戻るが、晴天は望めないと思う。

IMG_2898【2015.12.26】阿里山の景色

 山の高いところが、岩となっていて、神妙な雰囲気がある。 宿に預けた荷物をうけとり、帰りのバスを乗りに行くことにした。

■2015年 南台湾4泊5日
<1日目>
#0082.バニラエアで高雄行き
#0083.果物屋さんで釈迦頭を買っていく
#0084.台鉄の旅のお供に台鉄弁当!
#0085.台南の宝くじ売り場で1000円をする
#0089.台南・武聖夜市を行く 
<2日目>
#0090.赤嵌楼 - 台南に赤く聳える
#0091.台南モダンのハヤシ百貨店 1
#0092.台南モダンのハヤシ百貨店 2 
#0093.台南孔子廟で「書」のおもてなし
#0094.南台湾でしか食べられない「丹丹漢堡(丹丹ハンバーガー)」
#0095.台南 - 清代と日本統治時代が重なり合う街
#0096.台南・花園夜市を食う!
#0097.台南・花園夜市を遊ぶ!
<3日目>
#0100.阿里山森林鉄路で嘉義から奮起湖へ
#0101.奮起湖 - ノスタルジックな山あいの集落
#0102.阿里山旅行記1 - 阿里山で森林浴をする
#0103.阿里山旅行記2 - 雲霧に覆われる阿里山
#0104.阿里山旅行記3 - 台湾一標高の高いところにあるセブンイレブン
<4日目>
#0105.阿里山旅行記4 - 朝4時半に起床し山を登る
#0106.阿里山旅行記5 - ご来光と帝雉  
#0107.阿里山旅行記6 - 阿里山に残る日本寺院「慈雲寺」
#0108.阿里山旅行記7 - 森に佇む姉妹潭
#0109.阿里山旅行記8 - バスで阿里山から嘉義まで一気に下る
#0110.関子嶺温泉への行き方
#0111.関子嶺「山景土雞城」 - 台湾で地鶏を食う!
<5日目>
#0112.関子嶺温泉の泥湯を心ゆくまで楽しむ
#0113.関子嶺温泉街を散策する
#0114.南台湾4泊5日のしめくくり


 阿里山の山中を歩く。標高が高くなければ、日本の山里の風景とさほど変わらないように思える。降水量の多い、温帯の景色である。

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【2015.12.26】阿里山

 歩いていると、「慈雲寺」というお寺がある。読経の声が響く、静かなお寺だ。

IMG_2852【2015.12.26】慈雲寺

 その建築は、中華圏のお寺というよりは、日本のお寺そのものである。というのもこの寺は、日本統治時代の1919年に日本人によって建てられた曹洞宗のお寺なのである。1918年にタイの国王が、大正天皇宛てに贈呈したお釈迦さまが祀られているという。なぜ、阿里山の地に祀られることになったのかはよくわからない。中国語の説明には、「大正天皇は富士山より高い、新高山(現:玉山)がふさわしいと考えた」と書いてあるけれども、そもそもここは玉山ではないし、高い山に祀るのがふさわしいと考えた理由が説明されていないから、釈然としない説明となっている。

IMG_2854【2015.12.26】慈雲寺

 もともと「阿里山寺」という名前であったが、中華民国時代に「慈雲寺」に改名されたという。
 そういえば1945年以降、中華民国の支配下には入ってから、台湾の再「中華化」が政策的に行われ、日本的なものが次々と排除された時代があったが、その影響はここには及ばなかったようだ。

IMG_2843【2015.12.26】カラー

 参道にはカラーの花が植えられていた。
 10TWD(約37円)でおみくじを引くことができる。

38表
38裏

 「凡事未遂守舊也。」
 何事もうまくいかないから、今まで通りにやりなさい。

 なにか新しいことを始めるには、タイミングが悪いということらしい。「猶恐破財」とまである。お金のめぐりも悪いらしい。
 もう一度引いてみた。

62表
62裏

 「凡事忍耐大吉也。」
 何事も耐え忍ぶのが、よい。

 困難があっても、仏さまが守ってくれるから、我慢しなさい、と。それはありがたいけれども、やはりさきほどと同じで、早急の、思い付きの試行というものは避けたほうがよい、そういう年らしい。ただ、こちらには「改舊從新」とある。前の習慣を改め、新しい習慣に従えということか。そうだとすると、さきほど引いたものと矛盾するなあと思いつつ、自分への戒めのことばとした。

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【2015.12.25】慈雲寺

 慈雲寺には秋には銀杏、春には藤の花が美しいという。それにしても海外に、特に建築物や信仰という面で、日本的なものが根付いている例はあまりないので、興味深いお寺であった。

■慈雲寺
住所:嘉義縣阿里山鄉香林村香林44號

■2015年 南台湾4泊5日
<1日目>
#0082.バニラエアで高雄行き
#0083.果物屋さんで釈迦頭を買っていく
#0084.台鉄の旅のお供に台鉄弁当!
#0085.台南の宝くじ売り場で1000円をする
#0089.台南・武聖夜市を行く 
<2日目>
#0090.赤嵌楼 - 台南に赤く聳える
#0091.台南モダンのハヤシ百貨店 1
#0092.台南モダンのハヤシ百貨店 2 
#0093.台南孔子廟で「書」のおもてなし
#0094.南台湾でしか食べられない「丹丹漢堡(丹丹ハンバーガー)」
#0095.台南 - 清代と日本統治時代が重なり合う街
#0096.台南・花園夜市を食う!
#0097.台南・花園夜市を遊ぶ!
<3日目>
#0100.阿里山森林鉄路で嘉義から奮起湖へ
#0101.奮起湖 - ノスタルジックな山あいの集落
#0102.阿里山旅行記1 - 阿里山で森林浴をする
#0103.阿里山旅行記2 - 雲霧に覆われる阿里山
#0104.阿里山旅行記3 - 台湾一標高の高いところにあるセブンイレブン
<4日目>
#0105.阿里山旅行記4 - 朝4時半に起床し山を登る
#0106.阿里山旅行記5 - ご来光と帝雉  
#0107.阿里山旅行記6 - 阿里山に残る日本寺院「慈雲寺」
#0108.阿里山旅行記7 - 森に佇む姉妹潭
#0109.阿里山旅行記8 - バスで阿里山から嘉義まで一気に下る
#0110.関子嶺温泉への行き方
#0111.関子嶺「山景土雞城」 - 台湾で地鶏を食う!
<5日目>
#0112.関子嶺温泉の泥湯を心ゆくまで楽しむ
#0113.関子嶺温泉街を散策する
#0114.南台湾4泊5日のしめくくり


 東側の空、ついに山の向こうから太陽が姿を現した。ご来光である。

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【2015.12.26】ご来光

 阿里山の東側には台湾島の中央に連なる山脈がみえる。標高3952mで台湾で最も高い山、日本統治時代には新高山(にいたかやま)と呼ばれた玉山も、この山脈の中にある。玉山の頂上は、上の写真の最も左側の雲に隠れているあたりにある。
 富士山はみれば分かる。しかし玉山の場合、それが台湾で最も高い山であるものの、どれがそれなのかは台湾人にも区別するのが難しいという。山の稜線の一番高いところと言われても、直感的に判断するのは難しい。

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【2015.12.26】ご来光

 北の方に目を移すと・・・。

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【2015.12.26】ご来光

 ご来光とともに、一筋の光が差した。地球を照らす、太陽の光である。
 その場にいたのは多くが台湾人と、大陸からの観光客であったが、神戸からやってきたという日本からの観光客もいて、挨拶を交わした。朝早くからお疲れ様でした。
 さて帰ろうとすると森林遊楽区の管理事務所の職員が、小さな声で、「ほら、見てみて。帝雉(ミカドキジ)がいるよ」とささやいてくれた。下の方からかさかさと音がする。

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【2015.12.26】ミカドキジ

 本当だ、ミカドキジのつがいがいる。野生のミカドキジなんだそうだ。台湾を象徴する鳥と考えられていて、1000台湾圓札の裏にも玉山を背景として描かれている。台湾の標高1600mから3200mの地帯でしか棲息していない貴重な鳥。顔を寄せ合って、仲睦まじそうにみえる。ご来光に、眠りから覚めた帝雉。思いもよらぬ、遭遇だった。
 宿へと戻り、朝食とすることにした。

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【2015.12.26】祝山駅周辺

 やはり、温帯林である。なんだか台湾というよりも、日本にいるようだ。

IMG_2811【2015.12.26】祝山駅

 祝山駅の最終列車に乗る。

祝山站
【2015.12.26】祝山駅の案内板

 終電は朝の7時45分だという。つまり祝山駅はもっぱら、日の出観賞用の駅であるのだ。

IMG_2812【2015.12.26】台湾鉄路最高点

 台湾の鉄道駅の中では最も標高の高い海抜2451mの地点にある駅だ。日本の鉄道駅の場合、富山県の立山にある室堂駅が標高2450mにあるというから、祝山駅の方が高いということになる。
 列車はゆっくりと下っていく。満員列車だった。席に座れた人たちは、ほとんどの人が眠っていた。やはり日の出の前から山に登るなんて、大変だ。車内には、阿里山の原住民の音楽が流れていた。放送で、向こう側にみえる稜線の高いところが玉山で、日本統治時代には新高山と呼ばれていましたと放送がかかったが、動いている列車の中からどこが玉山なのか僕には分からない。

IMG_2815【2015.12.26】沼平駅

 沼平駅で降り、宿まで歩く。

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【2015.12.26】沼平駅周辺からの景色

 すっかり朝になっていた。幻想的な風景に、帝雉との予期しない出会い。 感動の連続の、阿里山の日の出観賞だった。

■2015年 南台湾4泊5日
<1日目>
#0082.バニラエアで高雄行き
#0083.果物屋さんで釈迦頭を買っていく
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<2日目>
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#0091.台南モダンのハヤシ百貨店 1
#0092.台南モダンのハヤシ百貨店 2 
#0093.台南孔子廟で「書」のおもてなし
#0094.南台湾でしか食べられない「丹丹漢堡(丹丹ハンバーガー)」
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<3日目>
#0100.阿里山森林鉄路で嘉義から奮起湖へ
#0101.奮起湖 - ノスタルジックな山あいの集落
#0102.阿里山旅行記1 - 阿里山で森林浴をする
#0103.阿里山旅行記2 - 雲霧に覆われる阿里山
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<4日目>
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#0109.阿里山旅行記8 - バスで阿里山から嘉義まで一気に下る
#0110.関子嶺温泉への行き方
#0111.関子嶺「山景土雞城」 - 台湾で地鶏を食う!
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#0112.関子嶺温泉の泥湯を心ゆくまで楽しむ
#0113.関子嶺温泉街を散策する
#0114.南台湾4泊5日のしめくくり


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