地球の覗き方

地球のことをのぞいてみよう

 韓国の二大中華料理といえば、「チャジャン麺(짜장면)」と「チャンポン(짬뽕)」である。「チャジャン麺(짜장면)」は「ジャージャー麺」とから来ていて、「チャンポン(짬뽕)」とは、そう、日本のあの長崎「ちゃんぽん」をから来ている。あの野菜たっぷりのちゃんぽんは、韓国にも伝来していたのである。しかし、日本のちゃんぽんと韓国のちゃんぽんと、ひとつ決定的に違う点がある。それは、色だ。

IMG_8070

【2013.12.5】韓国の「ちゃんぽん」

 真っ赤なのだ。さすが、韓国といったところか。非常にメジャーな料理なので、ちゃんぽんを提供するお店を探すのは至極、簡単だ。もちろん、日本で日本式のちゃんぽんを探すことよりも簡単なのである。チェーン店では「香港飯店0410(홍콩반점 0410)」が有名で、量たっぷり野菜たっぷりのちゃんぽんが一杯4500ウォン(約500円)から注文できるのがいい。焼き餃子(군만두)とのセットで頼んでもたったの6500ウォンだから、財布にやさしい。韓国におけるひとり暮らしの味方である!なお、「香港飯店」を名乗っているものの、香港にこんなアグレッシブな真っ赤な料理はないだろう。
 ちゃんぽんはもともと、日本の長崎の華僑によって開発されたものだという。福建省福州出身の陳平順という人物によってつくられた「支那饂飩」というメニューが、「ちゃんぽん」へと名前を変え、長崎でもっとも親しまれる大衆料理となったのである。「ちゃんぽん」という名前の由来は定かではなはなく諸説あるのだが、個人的に気に入っているのは、「ちゃん」が「China」の「chin」の変形であり、「ぽん」が「Japan」の「pan」の変形である、という説である。いわば「日中合作」なのだ。韓国においては、このメニューが長崎から、朝鮮半島へと伝来し、定着したものとされる。
 なお、興味深いのは「チャンポン(짬뽕)」という言葉が、韓国においても「異なる2種類のものをかき混ぜる。」という意味で使われるという事実である。「昨日、ビールと焼酎をチャンポンして飲んだから、胃がムカムカするし、頭も痛い。(어제 맥주하고 소주하고 짬뽕을 해서 먹었더니만 속이 울렁거리고 머리도 아파.)」といった具合である。俗語が共有されているあたり、日本と韓国はほんとうに「近い国」なのである。

 さて、この頃はずいぶんファッショナブルなチャンポンが増えてきている。健康志向の高まりや、辛いものを食べられない若者が増加している時代の状況を反映したものなのだろうか。

IMG_0105
【2015.10.25】白ポン

 これは、ファッショナブルちゃんぽん(?)専門店のポンシン(뽕신)の白ポンである。なお、白ポン以外にも、いくつかメニューがあるので試されたい。ピリ辛のクリームソースソースを用いたちゃんぽんなのである。しかしこれでは、スパゲッティとあまり区別がつかない・・というのが食後の感想だ。中国、そして日本と韓国、そこにイタリアが融合した、シロモノである。
 それはともかく、とにかく僕が紹介したかったことは、「ちゃんぽん」という食べ物は朝鮮半島にも渡っており、現在に至るまで、独自の進化を続けているということなのである!

■香港飯店0410(홍콩반점)
韓国全土に店舗あり 

■ポンシン(뽕신)
ソウル首都圏を中心に32店舗あり


 横浜・みなとみらい地区。「みなとみらい」とは、なかなか気の利いた命名だと思う。その韻や語感はもちろんのこと、地区が目指そうとしている方向性が感じられるのがいい。この港の町・横浜から、新しい時代の人間の営みの在り方を提案してやろうという意気込みが感じられる。
 「みなとみらい」は横浜駅に近接する、三菱造船移転跡地の再開発にあたり1981年につけられた地区名称である。決選投票では、「赤い靴シティ」という案もあったそうだが、「赤い靴シティ」に決定しなくてよかったと思う。

 もし、「赤い靴シティ」に決定していたらどうだろう?今ほど、多くの人を引き寄せていただろうか。

「みなとみらいに、海、見に行こうぜ!」
「赤い靴シティに、海、見に行こうぜ!」

 前者はなんだか眼前に海がぱーっと開けている気がする。しかし、後者の場合、僕には、眼前にぱっーと広がっている情景が想像できない。「みなとみらい」だからこそ、海を見に行きたいような気がする。だから、人が引き寄せられる。みなが同じように感じるかは分からないけれども、こういうことを考えるたびに「命名」というものは都市の発展や地域の発展の方向性を、その語感から運命づけていると思う。
 地名とは都市開発において、ある種のスローガンとなる。明治時代に「江戸」が「東京」へと改称されることがなかったら、都市の発展性の方向はまったく変わっていたと思う。そこが新しい首都であるのだという意気込みがある。非常にスローガン性の高い地名だ。
 ところで、スローガン性がやや低いと思わる地名についてはどうなのだろう。つまり、今ある「渋谷」という地区の地名がもしも、「池袋」であったならば、その地域は今の「渋谷」と同等の地域になり得たのだろうか。こればかりは、証明のしようがない。

IMG_4493
【2015.7.19】みなとみらい

 ところで、「みなとみらい」が目指していた「みらい」とは何だったのだろうか。「みなとみらい」という地名をスローガンとして発展してきた地域なのだから、その景観には人々が漠然と考えている、または考えていた「未来像」が投影されているはずなのである。

IMG_4441
【2015.7.19】みなとみらい

 広大な敷地に乱立する巨大なビル、個人では到底まかないきれない大きな資本が投下されることがなければ実現されることのない都市の景観。ものの変化が一般の人の手に委ねられておらず、見ることのできない、得体の知れない大きな力によってしか為されない社会。個人というものが無力化し、得体の知れない大きな力の制御を甘受せざるを得ない、そのような社会。そういうことなのだろうか。こう書いてしまうと、なんだか悲壮感がただよう。
 しかしながら実際のところ、僕は「みなとみらい」に行っても、そういう暗澹な気持ちにはならない。むしろ「愉快で明るくて、夢がある」とすら感じてしまう。これは、いったい、何なのだろうか。もしかしたら、個人というもの無力化されてしまうということは、個人がものの変化に対して責任を感じなくても、あるいは持たなくてもよくなった、ということなのかもしれない。だから、こうも能天気な浪費家になれて、愉快な気分がするのかもしれない。いいことなのやら、悪いことなのやら。



1.日本(Japan)
Japan
初訪問日:1989.7.27
 生まれ育った故郷のことを「訪問国」に含めてよいのかわからないが、僕の魂が立ち寄ったところとして記録しておこう。

2.大韓民国(South Korea)
korea
初訪問日:2009.8.18
 初めての海外旅行は韓国だった。パスポートを申請するために戸籍抄本を取り寄せたところ、知らない人物の名前が記されているのに気づき、20年間隠されていた異母姉の存在が明らかになるという・・・騒動があったりなかったり・・・。その後、2012年の春から3年3か月の間、ソウルで留学生活をおくることになる。もはや、第二の故郷という認識。

3.台湾(Taiwan)
taiwan
初訪問日:2011.3.13
 旅行直前の3月11日の東日本大震災が発生。日本のことが心配でたまらなかったが、だからといって東京にいても誰かを助けられるというわけではないし、地震が発生したからと通常通りの生活をあきらめるのはなんだか負けを認めるような気がして、それはいやだという意見がメンバーの間で一致し、計画通りに決行。台湾ではいつも、テレビの前に人垣ができていて、日本の状況を気にかけてくれていた。旅行中にも「何号機が爆発したらしい。」だとか「長野や静岡でも震度6の地震が起こったらしい」といった情報が時々刻々と入ってくるので、終始、緊張を解くことはできなかった。

4.香港(Hong Kong)
hongkong
初訪問日:2014.1.13
 韓国留学の真っ只中であったが、冬期休暇ということで日本に帰国している間に行った。ちょうど、香港エクスプレス航空の羽田・香港線就航キャンペーンがあって、往復20370円(燃油サーチャージ・諸税金込)で航空券を手に入れることができたのはラッキーであった。

5.澳門(Macau)
macau
初訪問日:2014.1.15
 香港から高速船に乗り、日帰りの旅行。人生初のカジノ体験。100香港ドル(約1567円)は、あっという間にスロットマシーンの機械に呑みこまれてしまった。

6.ウズベキスタン(Uzbekistan)
uzbekistan
初訪問日:2014.7.14
 韓国留学中に訪問した。初のイスラム圏であり、初の旧ソ連圏でもある。ソウルからウズベキスタンの首都タシュケントまで大韓航空・アシアナ航空・ウズベキスタン航空の3社がそれぞれ直行便を運行していることが示すように、韓国とウズベキスタン間では経済的交流、人的交流ともに盛んである。語学学校時代には、タシュケント出身のウズベキスタン人(じつは、たまたま出生地がウズベキスタンであっただけのタタール人であった。)の友人もいたので、さほど心理的に遠い国ではなかったのだが、熱射病や下痢を経験し、慣れない沙漠の気候、なかなか過酷な旅行であった。

7.中国(China)
china
初訪問日:2014.11.22
 韓国留学中、週末と月曜日を利用して訪問した。ソウルからたった1時間のフライトで到着することのできる大連のほかには滞在することはできなかったものの、思ったよりも清潔な場所だったし、片言の中国語を話してみると人々は過剰なほどにも親切にしてくれたので、なかなか好印象であった。メディアは中国について悪意ある報道をしすぎていると思う。

8.タイ(Thailand)
thailand
初訪問日:2015.5.7
 韓国における留学生活が終了するにあたり日本へと帰国する前にひとり記念旅行をしようと思いつつ、韓国の旅行会社のサイトにくまなく目を通した結果、バンコクへの往復旅行券のうち非常にお得なものを見つけてしまったがため、旅行出発5日前に急遽、航空券を決済して飛びたった、いわゆる「思いつき旅行」。

9.マレーシア(Malaysia)
malaysia
初訪問日:2015.8.14
 トルコ・グルジア・アルメニア18泊22日旅行を計画する際、東京からイスタンブールまでの航空券のうち一番安かったものがクアラルンプール経由のマレーシア航空の航空券であったために、訪問することになったマレーシア。滞在時間が7時間程度であったため、クアラルンプール都心の中華街で中華料理を食べ、周囲を散策したのがすべて。

10.トルコ(Turkey)
turkey
初訪問日:2015.8.15
 ともにウズベキスタン旅行も行った高校時代の友人に誘われて訪問することになったトルコ。その友人はトルコが大好きで、すでに3回も訪問したという。友人がまだ行ったことのない地域から訪問先を検討した結果、初めてのトルコ訪問にも関わらず、トラブゾン、エルズルム、カルスなど、日本人旅行客の間ではメジャーとはいえない地方都市をめぐる旅となった。

11.グルジア(Georgia)
georgia
初訪問日:2015.8.21
 日本経済を回すために身を粉にして働かなくてはならない会社員の友人は夏休みが1週間しかとれなかったため、トルコの3つの地方都市をめぐり、日本へと帰国。しかし、定職についているというわけではない僕は、時間に余裕があったため、せっかくここまで来たんだからとさらに2週間、一人で旅を続けた。トルコからグルジアへと、初めて陸路での国境越えを経験し、初めてキリスト教国家へと足を踏み入れた。

12.アルメニア(Armenia)
armenia
初訪問日:2015.8.25
 トルコやグルジアの情報を得るために目を通した雑誌『旅行人』に掲載されていた、アルメニアのタテヴ(Tatev)という山間の田舎町にある、崖の上の修道院の写真に一目惚れをしてしまい、これは是が非でも行かなくてはならないという気持ちから、半ば「義務感」により訪問した国。

以上、計12ヶ国である。

----------

ここまで書いてきて思う。
次の訪問先はどこになるのだろう?

僕ですら、全く見当がつかない。
楽しみだ。


 そもそもお台場はあまり好きになれない。ただのだたっぴろい埋立地に、商業施設やらの巨大な直方体が立ち並ぶ、僕の苦手なタイプの街だ。しかし、フジテレビの本社があってテレビによく露出するからか、ドラマに登場しそう、芸能人が住んでいそう、お台場はファッショナブルなところだと考える人が多いらしい。
 最近は、たくさんのマンションが建設されていて、定住人口が増えているそうだが、災害に対して脆弱なこの土地をわざわざ選択する理由は何なのだろう。津波の心配に、液状化の心配、橋が寸断されたら東京湾の陸の孤島になってしまうこの埋立地をわざわざ選択する理由とは。ただ、そのファッショナブルなイメージのためなのか、「港区民」という称号を現実的な価格帯で手に入れるためなのか。それが世間一般からファッショナブルに思われるかということに何の関心も払わない僕とは、全く違う価値観の持ち主が住むところなのかな。
 一歩譲ってお台場のマンションを、東京の夜景を楽しむための別荘として購入するというのなら、理解できなくもないが・。しかし、それほどのお金があったら、僕はむしろ山あいの村に温泉付きの一軒家を買いたいと思う。
 このように、なんだか自分の価値観とは相容れない街というイメージが強いから、自らの意志でお台場に向かうことはない。行くとしたら、外国からやってくる友達から「お台場」を案内してほしいというリクエストをもらった時だ。海のない都市からやって来た人が、ガイドブックに掲載されているお台場海浜公園の砂浜の写真をみて、ドキドキしてしまう気持ちは分からなくもないから、その気持ちは損なわないようにある程度の配慮はしてやるのだ(笑)

IMG_9511
【2015.9.20】レインボーブリッジ

 あまり好きになれないお台場であるが、レインボーブリッジを徒歩で、東京湾を渡ることは悪くない体験だと思う。だから、JR田町駅から歩いて、レインボーブリッジへと向かう。お台場へ行くのに、ゆりかもめも、りんかい線も使わず、徒歩で行くことにこだわる人なんてあまりいないとは思うが、景色はよい。

IMG_9514
【2015.9.20】東京湾

 特にアジア諸国からやってくる外国人観光客にお台場は有名である。しかしながら、どの国のガイドブックにもレインボーブリッジは「見るもの」として紹介されており、「渡るもの」としては紹介されていない。だから、レインボーブリッジを徒歩で渡ることを提案してみると意外性があるのか、「さすが日本人が案内してくれるだけあるね!」と喜んでくれる。

IMG_9515
【2015.9.20】東京湾

 田町駅から徒歩15分、そして渡り切るのに20分~30分程度の時間がかかるから、あまり楽なコースとはいえない。海上だから風が強いし、案外、レインボーブリッジを渡る車両の交通量も多いため、快適な空間とは言い切れない。だから、あまり観光客向けのスポットとも言えないんだけれども、渡ってみると「地元の人(東京人)しかしらない意外なスポットを紹介してくれてありがとう。」と言ってくれるから嬉しい。
 しかしながら到着してしまうと、ダイバーシティの等身大のガンダムを除いては、特に案内するものがないからやはり困りもののお台場である。

■レインボーブリッジへの行き方
JR田町駅 都営浅草線・三田線三田駅から徒歩15分



↑このページのトップヘ