台湾地図
 
 阿里山へのアクセスの手段には、バスや鉄道などが考えられるが、やはり鉄道で行くのが面白いと思う。
 阿里山森林鉄道(阿里山森林鐡路)は、日本統治時代の1906年から1914年にかけて建設された森林鉄道で、阿里山線の本線と、祝山線、眠月線、神木線、水山線などの支線からなる。もともとこの鉄道は、阿里山地域の豊富な木材を運搬することを目的として建設されたもので、多くの台湾檜が日本の神社建築の建材として持ち出された。例えば、明治神宮にあるような大きな鳥居は、樹齢が1000年を超えるような大木を用いないと作れなかったがそういった木材が日本国内にはなかったため、台湾のものを用いたというわけだ。靖国神社の神門なども、阿里山の台湾檜が利用されているという。
 いわば植民地の貴重な木材資源を収奪することを目的として建設された鉄道であるが、現在は観光鉄道として運行されている。そして台湾政府は阿里山森林鉄道を、ユネスコの世界文化遺産に登載しようと目論んでいるという。地震の被害や豪雨による土砂崩れの被害により、現在、全線がつながれていない。海抜30mの地点にある嘉義駅からは、標高1405mの地点にある奮起湖駅までの45.8kmの道のりを2時間20分かけて鉄道で移動することができる。標高の高いところまでは奮起湖駅からバスを利用して上ることとなる。
 始発駅の嘉義駅。

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【2015.12.25】嘉義駅

 時間は午前8時半だった。その日は午前9時発の列車しかないため、午前9時発の乗車券を必ず手に入れる必要があった。しかし、台鉄の窓口に行くと「票已售完(Sold out)」とある。あらら、困った。
 そうるすとおばさんがやってきて、切符を売ってやるから、行きの嘉義駅から奮起湖までの切符と奮起湖から阿里山までのバスと、帰りの阿里山から嘉義駅までのバスの往復券を1300TWDでセットで買えという。そもそもこの道のり、通常の運賃なら240TWD(鉄道)+98TWD(奮起湖から阿里山までのバス)+276TWD(阿里山から奮起湖までのバス)の、614TWDで行ける道のりであるということを考えると、700TWD(約2500円)ほど吹っかけてこようとしているというわけだ。こんなダフ屋がいるから、切符が売り切れてしまう。こんなことが台鉄の窓口の目の前でやられている。でも、鉄道に乗らないわけにはいかないので、交渉の結果、片道を650TWDで売ってもらうことにした。帰りは自力で帰るから、帰りのバスはいらない。おばさんは「ああ、もうからないねえ」とか言ってるんだけど、そんなの、僕の知ったことか。台鉄よ、もうちょっとしっかり取り締まってくれよう。

切符表
【2015.12.25】切符

 なんとか切符を手に入れたが、このようなことが起こらないためにも、事前に予約ができるなら予約しておいたほうが賢明かと思う。

切符裏
【2015.12.25】切符

 なお、運行スケジュールは、

嘉義駅 -> 奮起湖駅
9:00 -> 11:20 (毎日)
10:00 -> 12:20 (祝祭日のみ)

奮起湖駅→嘉義駅
14:00 -> 16:20 (毎日)
15:00 -> 17:20 (祝祭日のみ)

となっている。

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【2015.12.25】列車

 列車がやってきた。乗り込むと案の定、空席がある。ダフ屋が買い占めていたが、全ての座席ははけなかったようだ。

IMG_2472【2015.12.25】途中駅

 途中駅で、何人かが乗り込んでくる。一日一本しかなく、主に観光客が乗り込んでいる路線だからか、沿線で農作業をしている人たちが、手を振ってくれたりもして、雰囲気はよかった。
 列車はがたがたと揺れながら、ループ線をぐるぐると山を登っていく。もしかしたら、車酔いの傾向がある人は、酔ってしまうかもしれない。軌間が762mmだから、あまり安定しないのかもしれない。

IMG_2477【2015.12.25】車窓

 標高が上がると、霧の中、雲の中へと入っていった。おおまかにいうと標高800mの地点までが熱帯林で、約1600mまでが亜熱帯林、それ以上が温帯林になっているという。標高800mの地点に熱帯林と亜熱帯林の境界を示す標識があったが、その地点を境界に突如として風景が変化するというわけではない。

IMG_2491【2015.12.25】車窓

 たしかに標高が高くなるにつれ、植生が変化していっている気がする。

IMG_2504【2015.12.25】車窓

 ここのあたりは、亜熱帯林だろう。列車は相変わらずがたがたと大きな音を立てながら、山を登っていく。車内には阿里山に住む、少数民族の音楽が流されている。

IMG_2507【2015.12.25】車窓

 竹林などがみえる。

IMG_2514【2015.12.25】茶畑

 阿里山は烏龍茶の世界的な生産地で、茶畑もたくさんみえる。常に霧や雲に包まれている環境が、よいお茶を生産するという。

IMG_2519【2015.12.25】車窓

 だいぶ、温帯林に近づいてきた気がする。2時間半の鉄道の旅も、そろそろ終わりを告げる。 

■2015年 南台湾4泊5日
<1日目>
#0082.バニラエアで高雄行き
#0083.果物屋さんで釈迦頭を買っていく
#0084.台鉄の旅のお供に台鉄弁当!
#0085.台南の宝くじ売り場で1000円をする
#0089.台南・武聖夜市を行く 
<2日目>
#0090.赤嵌楼 - 台南に赤く聳える
#0091.台南モダンのハヤシ百貨店 1
#0092.台南モダンのハヤシ百貨店 2 
#0093.台南孔子廟で「書」のおもてなし
#0094.南台湾でしか食べられない「丹丹漢堡(丹丹ハンバーガー)」
#0095.台南 - 清代と日本統治時代が重なり合う街
#0096.台南・花園夜市を食う!
#0097.台南・花園夜市を遊ぶ!
<3日目>
#0100.阿里山森林鉄路で嘉義から奮起湖へ
#0101.奮起湖 - ノスタルジックな山あいの集落
#0102.阿里山旅行記1 - 阿里山で森林浴をする
#0103.阿里山旅行記2 - 雲霧に覆われる阿里山
#0104.阿里山旅行記3 - 台湾一標高の高いところにあるセブンイレブン
<4日目>
#0105.阿里山旅行記4 - 朝4時半に起床し山を登る
#0106.阿里山旅行記5 - ご来光と帝雉  
#0107.阿里山旅行記6 - 阿里山に残る日本寺院「慈雲寺」
#0108.阿里山旅行記7 - 森に佇む姉妹潭
#0109.阿里山旅行記8 - バスで阿里山から嘉義まで一気に下る
#0110.関子嶺温泉への行き方
#0111.関子嶺「山景土雞城」 - 台湾で地鶏を食う!
<5日目>
#0112.関子嶺温泉の泥湯を心ゆくまで楽しむ
#0113.関子嶺温泉街を散策する
#0114.南台湾4泊5日のしめくくり