嘉義駅から2時間半かけて、標高1400mの地点にある奮起湖駅に到着する。列車の終着駅である。現在、阿里山のさらに標高の高いところに行くには、ここからバスに乗り換える必要がある。奮起湖駅から先は、地震や大雨による土砂崩れによる被害が相次ぎ、2009年から6年間に渡る復旧工事をおこなっている。2015年に工事が一段落し、2015年12月25日、つまり僕がこの森林鉄道に乗った日の6年ぶりの全線開通に向けて2015年9月から試運転が行われたが、2015年9月下旬に台湾を襲った台風21号の影響で再び、不通区間で土砂崩れが発生し、残念ながら、2015年内の全線開通は断念された。

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【2015.12.25】奮起湖駅

 天気が良くなった。良くなったというよりは、移動による高度上昇で、雲の上へと抜け出てきたからであろう。
 標高800mから1600mまでの地帯は「亜熱帯林」として紹介されていたが、ここまでくると、だいぶ、温帯林へと近づいているように思える。日本のどこかの山林の景色とも見まがう。

IMG_2530【2015.12.25】阿里山森林鉄路車両

 「奮起湖」というのはここにある集落の名称である。実際に、湖があるというわけではない。ここに来るまでは、てっきり、湖でもあるのかと思っていた。閩南語で「湖」は、窪地という意味でも用いられ、東西と北の三方が山に囲まれた地形のようすを表しているという。霧や雲がたちこめて、窪地にある集落があたかも湖のようにみえる、ということもあるかもしれない。

IMG_2551【2015.12.25】奮起湖集落

 この集落は、「南台湾の九份」との別称もあり、ノスタルジックなイメージがある。

IMG_2538【2015.12.25】桜

 冬の桜の花が咲いている。
 日本統治時代から、この駅は阿里山森林鉄道最大の途中駅だったという。スイッチバック、上下線の列車のすれ違いのため列車はこの駅でしばらく、停車しなくてはならなかったため、昼間、乗客や機関士はこの地で休憩をとったという。それは日本統治時代も、日本統治時代が終わり林業が廃れ、観光による利用が主となった中華民国時代においても変わらなかった。1960年代頃、そんな彼らに販売し始めた弁当が評判を呼び、たちまち集落の名物となったという。それが、奮起湖弁当(奮起湖便當)である。

IMG_2543【2015.12.25】奮起湖弁当

 大体どこのお店でも、一食120TWD(約420円)。鶏肉と豚肉、高原野菜、筍、キャベツ、茶卵などが入っている。1970年台に阿里山方面への道路が開通してからは、鉄道の利用者が激減したため、一時は弁当そのものの存続も危ぶまれたというが、やはりその味は評判がよく、次第に全国区で有名になり、なんとか持ちこたえたとか。現在台湾で、奮起湖弁当を知らない人はいないという。
 台湾の弁当は、温かいまま食べるのが流儀だそうだ。

IMG_2555【2015.12.25】奮起湖集落

 お弁当を食べてから、阿里山地域の名物である愛玉子の飲み物を飲みながら、バスの出発時間を、周囲を散策しつつ待った。

■2015年 南台湾4泊5日
<1日目>
#0082.バニラエアで高雄行き
#0083.果物屋さんで釈迦頭を買っていく
#0084.台鉄の旅のお供に台鉄弁当!
#0085.台南の宝くじ売り場で1000円をする
#0089.台南・武聖夜市を行く 
<2日目>
#0090.赤嵌楼 - 台南に赤く聳える
#0091.台南モダンのハヤシ百貨店 1
#0092.台南モダンのハヤシ百貨店 2 
#0093.台南孔子廟で「書」のおもてなし
#0094.南台湾でしか食べられない「丹丹漢堡(丹丹ハンバーガー)」
#0095.台南 - 清代と日本統治時代が重なり合う街
#0096.台南・花園夜市を食う!
#0097.台南・花園夜市を遊ぶ!
<3日目>
#0100.阿里山森林鉄路で嘉義から奮起湖へ
#0101.奮起湖 - ノスタルジックな山あいの集落
#0102.阿里山旅行記1 - 阿里山で森林浴をする
#0103.阿里山旅行記2 - 雲霧に覆われる阿里山
#0104.阿里山旅行記3 - 台湾一標高の高いところにあるセブンイレブン
<4日目>
#0105.阿里山旅行記4 - 朝4時半に起床し山を登る
#0106.阿里山旅行記5 - ご来光と帝雉  
#0107.阿里山旅行記6 - 阿里山に残る日本寺院「慈雲寺」
#0108.阿里山旅行記7 - 森に佇む姉妹潭
#0109.阿里山旅行記8 - バスで阿里山から嘉義まで一気に下る
#0110.関子嶺温泉への行き方
#0111.関子嶺「山景土雞城」 - 台湾で地鶏を食う!
<5日目>
#0112.関子嶺温泉の泥湯を心ゆくまで楽しむ
#0113.関子嶺温泉街を散策する
#0114.南台湾4泊5日のしめくくり