阿里山の山中を歩く。標高が高くなければ、日本の山里の風景とさほど変わらないように思える。降水量の多い、温帯の景色である。

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【2015.12.26】阿里山

 歩いていると、「慈雲寺」というお寺がある。読経の声が響く、静かなお寺だ。

IMG_2852【2015.12.26】慈雲寺

 その建築は、中華圏のお寺というよりは、日本のお寺そのものである。というのもこの寺は、日本統治時代の1919年に日本人によって建てられた曹洞宗のお寺なのである。1918年にタイの国王が、大正天皇宛てに贈呈したお釈迦さまが祀られているという。なぜ、阿里山の地に祀られることになったのかはよくわからない。中国語の説明には、「大正天皇は富士山より高い、新高山(現:玉山)がふさわしいと考えた」と書いてあるけれども、そもそもここは玉山ではないし、高い山に祀るのがふさわしいと考えた理由が説明されていないから、釈然としない説明となっている。

IMG_2854【2015.12.26】慈雲寺

 もともと「阿里山寺」という名前であったが、中華民国時代に「慈雲寺」に改名されたという。
 そういえば1945年以降、中華民国の支配下には入ってから、台湾の再「中華化」が政策的に行われ、日本的なものが次々と排除された時代があったが、その影響はここには及ばなかったようだ。

IMG_2843【2015.12.26】カラー

 参道にはカラーの花が植えられていた。
 10TWD(約37円)でおみくじを引くことができる。

38表
38裏

 「凡事未遂守舊也。」
 何事もうまくいかないから、今まで通りにやりなさい。

 なにか新しいことを始めるには、タイミングが悪いということらしい。「猶恐破財」とまである。お金のめぐりも悪いらしい。
 もう一度引いてみた。

62表
62裏

 「凡事忍耐大吉也。」
 何事も耐え忍ぶのが、よい。

 困難があっても、仏さまが守ってくれるから、我慢しなさい、と。それはありがたいけれども、やはりさきほどと同じで、早急の、思い付きの試行というものは避けたほうがよい、そういう年らしい。ただ、こちらには「改舊從新」とある。前の習慣を改め、新しい習慣に従えということか。そうだとすると、さきほど引いたものと矛盾するなあと思いつつ、自分への戒めのことばとした。

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【2015.12.25】慈雲寺

 慈雲寺には秋には銀杏、春には藤の花が美しいという。それにしても海外に、特に建築物や信仰という面で、日本的なものが根付いている例はあまりないので、興味深いお寺であった。

■慈雲寺
住所:嘉義縣阿里山鄉香林村香林44號

■2015年 南台湾4泊5日
<1日目>
#0082.バニラエアで高雄行き
#0083.果物屋さんで釈迦頭を買っていく
#0084.台鉄の旅のお供に台鉄弁当!
#0085.台南の宝くじ売り場で1000円をする
#0089.台南・武聖夜市を行く 
<2日目>
#0090.赤嵌楼 - 台南に赤く聳える
#0091.台南モダンのハヤシ百貨店 1
#0092.台南モダンのハヤシ百貨店 2 
#0093.台南孔子廟で「書」のおもてなし
#0094.南台湾でしか食べられない「丹丹漢堡(丹丹ハンバーガー)」
#0095.台南 - 清代と日本統治時代が重なり合う街
#0096.台南・花園夜市を食う!
#0097.台南・花園夜市を遊ぶ!
<3日目>
#0100.阿里山森林鉄路で嘉義から奮起湖へ
#0101.奮起湖 - ノスタルジックな山あいの集落
#0102.阿里山旅行記1 - 阿里山で森林浴をする
#0103.阿里山旅行記2 - 雲霧に覆われる阿里山
#0104.阿里山旅行記3 - 台湾一標高の高いところにあるセブンイレブン
<4日目>
#0105.阿里山旅行記4 - 朝4時半に起床し山を登る
#0106.阿里山旅行記5 - ご来光と帝雉  
#0107.阿里山旅行記6 - 阿里山に残る日本寺院「慈雲寺」
#0108.阿里山旅行記7 - 森に佇む姉妹潭
#0109.阿里山旅行記8 - バスで阿里山から嘉義まで一気に下る
#0110.関子嶺温泉への行き方
#0111.関子嶺「山景土雞城」 - 台湾で地鶏を食う!
<5日目>
#0112.関子嶺温泉の泥湯を心ゆくまで楽しむ
#0113.関子嶺温泉街を散策する
#0114.南台湾4泊5日のしめくくり