ウズベキスタン旅行4日目。この日はサマルカンド(Samarqand)からブハラ(Buxoro)へと移動する。
 タシュケントからサマルカンドまでの移動の際に利用したウズベキスタン国鉄が快適だったので、サマルカンドからブハラまで移動するのにも鉄道を利用しようかと思ったが、ゲストハウスの男性スタッフが「ブハラ行きの列車を利用しようとするとサマルカンド駅を出発するのが昼の12時半になるから、もっと早く到着したいのならタクシーやバスを利用するべきだ」と言ってくる。サマルカンドの交通広場まで行くタクシーを呼んでやるから、そこからブハラ行きのタクシーやバスを見つけてブハラまで行けという。せっかく早起きしたのだからとっと移動してしまうということで、男性スタッフの提案を受けることにした。
 このゲストハウスの男性スタッフはウズベキスタン人ではなく、ロシア人のようだった。ウズベキスタンの日差しがあまりにも強すぎるのか、彼の白い皮膚は真っ赤になっていた。しゃべり方はぶっきらぼうというか、ひどく不親切に聞こえたんだけれども、やることはやってくれたから、親切なんだと思う。常に笑みが絶えないウズベキスタン人と彼は違った。

trip_to_Uzbekistan_2014

 西へと270kmの距離を移動する。

IMG_5456【2014.7.17】交通ターミナルにて

 サマルカンドの交通ターミナルは、市の中心部からやや離れている。サマルカンドを発着する長距離バスや、乗合タクシーはここから発着する。市の中心部では見かけなかった、物乞いや物売りがたくさんいる。
 外国人である我々がやってくるのを見るやいなや、たくさんのタクシードライバーが我々を取り囲み、どこに行くのかと尋ねてくる。ブハラというと、みな一様に、2人で9万スム(約30ドル)、1人あたり4万5千スム(約15ドル)という価格を提示してきた。270kmをタクシーで移動するのにこの程度の価格なら、さほど高いとは思わない。たまたま横にブハラ行きのバスが来ていた。ちょうど発車しようかというところだった。バスはもっと安いようだった。バスを指さして、バスに乗りに行くふりをしたら、8万5千スム(約28ドル)に負けてくれると言ってくれたから、従うことにした。(そもそもバスは混雑がひどいし、乗り心地も悪そうだったし、速度も遅そうだったからおすすめできない。)
 乗り合いタクシーだったので、4人が揃うまで、しばらく待たなくてはならなかった。30分ほど待っていると、ウズベキスタンの男性2人が乗ってきて、出発することになった。

IMG_5464【2014.7.17】遊牧民

 遊牧民のすがたが見える。人と車と家畜が行きかう道を行く。
 気温は40度近くなるのに、冷房は無いし、男が4人(運転手を含めたら5人)も乗っている車内は全くもって快適とはいえなかった。そして、安全運転とも言えなかった。時速140kmくらい出して、前の車が遅いと思いきや、反対車線に出て逆走をして追い抜いていく。道路の真ん中にヤギがぼけっと立っていても、速度を落とすことなくひょいと避けていく。正直、怖かった。
 体力的にも、精神的にも楽ではなかった。隣に座っていた現地人が、僕が持っているデジタル一眼レフカメラが珍しかったのか、ずっと覗き込まれていたのもなんだか負担に感じられた。(覗き込んできているくせに、話しかけてくれたりはしなかった。)

IMG_5471【2014.7.17】車窓の景色

 ウズベキスタンからブハラへと向かう道は、交通量が多く、農作地が広がっていた。砂漠地帯という感じでもなかった。

IMG_5474【2014.7.17】小さな都市

 途中、いくつかの小さな都市を通過した。名前はよくわからない。

IMG_5477【2014.7.17】小さな都市

  ナヴァーイー(Naboiy)という都市についたらしい。タクシーが速度を緩め、運転手が我々にボディーランゲージで何かを伝えようとしている。ロシア語だったから、我々には難しかった。何か、数字を言っているようだった。どうやら、ここでタクシーを乗り換えろということだった。彼が言っている数字は、ここまでの料金を言っているようだった。今ここで私に55000スムしてくれ、次の運転手に8万5000スムからその金額を差し引いた30000スムを渡せということだった。
 ブハラまで行く次のタクシーが到着するまで、昼食でも食べて、待ってなという。

IMG_5491【2014.7.17】食堂

 運転手が9000スム(約3ドル)をよこしたら、昼食を買ってきたやるというから、9000スムを渡して待っていた。

IMG_5493【2014.7.17】青い服のおじさん

 運転手が買ってきたものは・・・。

IMG_5496【2014.7.17】昼食

 これだった。これで3ドルか。少し、高くはあるまいか。テーブルに座って食べる時間もなかった。次のタクシーがやってきたので、素手で食べることになった。
 友人は食べていなかったが、僕は好奇心が優って食べてしまった。さほどおいしくはなかった。あまりにも暑いせいかすぐに傷んでしまった。しかし、これはひどい過ちだった。こいつのせいで、ブハラ到着後からひどい下痢に苦しめられ、それが旅行終了後まで治らなくなるとは予想だにしていなかった。食中毒の症状に襲われるのである。何が問題だったんだろう。肉は火が通っていたから、生の玉ねぎに原因あるのだろうか。玉ねぎを洗った水に、病原性の菌がひそんでいたのだろうか。あまりもの暑さと乾燥、異国にいるということ自体のストレスもまた、体にダメージを与えていたとは思う。
 今も本当に後悔している。それまでは外国で何を食べても、屋台の食べ物でも、お腹を壊すことはなかった。韓国にいても台湾にいても香港にいてもマカオにいても問題はなかったが、ウスベキスタンの衛生事情がそれらの国とは違うということを完全に忘れていた。

IMG_5509【2014.7.17】車窓

 乗り換えたタクシーには、20台前半とみえる女性が座っていた。指輪をつけていることから、もう結婚しているようだった。横に外国人の男が座っていて怖かったのか、緊張した面持ちで横をみることなく、ずっと下を向いていた。それが感じられて、なんだか、申し訳なく感じられた。できるだけ、彼女に体が触れることのないよう、友人のいる方向へと体を押し付けておいた。このこともやや負担に感じられた。

IMG_5520【2014.7.17】ブハラ到着

 運転手がブハラに到着したという。幹線道路沿いに荷物とともに降ろされる。カザフスタン最大の都市アルマトイから1379km、キルギスの首都ビシュケクから1129km、サマルカンドから268km、タシュケントから549kmだという。それにしても書いてある数字が大きい。中央アジアのスケールを感じる。
 それにしてもどうしよう。ここから、どう、目的地の宿に行けばいいんだろう。あまり楽な旅とはいえないな。

2014年 夏ウズベキスタン7泊8日
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