地下鉄南京東路駅を降りる。

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【2016.3.5】地下鉄南京東路駅

 このあたりはもともと、イギリス租界だったところで、19世紀後半から20世紀前半にイギリス資本によって建てられた近代建築物群が残っている。

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【2016.3.5】外灘にて

 そういった建築物は上海市により「優秀歴史建築(优秀历史建筑)」に指定され、 保全が図られている。

IMG_4920【2016.3.5】外灘にて

 そういえば東京にも、イギリス租界ではないが、イギリスのロンドンに例えられる街並みが昔、あった。19世紀末から主に三菱などにより開発された丸の内のオフィスビル街はロンドンを倣ったもので、一丁倫敦と呼ばれていた。しかし、高度経済成長期に当時に建てられた近代建築群の多くが建て替えられ、また2000年以降の再開発による超高層化を通じ、いくらか残っていた近代建築も一部が取り壊された。保存されていたとしても、外壁だけの保存であったりもする。

IMG_4921【2016.3.5】外灘にて

 一方で上海では、修繕工事が目下、進行中であり、都心にありながらも近代建築群が保全されている。歴史に対する意識の高さを感じる。

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 商業施設やホテル、銀行のオフィスなどが目立つ。

IMG_4925【2016.3.5】外灘にて

 特に、黄浦江の近代建築が立ち並ぶ区域は外灘(英語ではBund)と呼ばれ、上海の顔となっていて、国内外を問わずたくさんの地域からの観光客でにぎわっている。

IMG_4953【2016.3.5】外灘にて

 まさに近代建築物の博覧会といった感じだ。

IMG_4982【2016.3.5】外灘にて

 上海という都市の多様性を感じる。旧フランス租界の住宅地(#0196.上海は目下スクラップ・アンド・ビルド - 消えゆく下町)、漢人居住区(#0198.旧上海県城を覗き見する)、それから外灘。雰囲気がそれぞれ異なる。今や中国人の立ち入りが禁じられている租界など存在しないが、各地区ごとの雰囲気の違いは今も残っており、それが上海という都市の発展の歴史を我々に語ってくれる。

IMG_4991【2016.3.5】外灘にて

 上海といえば、中国経済を牽引する「ただの都会」といったイメージがあったが、ただの都会と切り捨てることはできない、奥深さがこの都市にはある。

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【2016.3.5】外灘にて

 東京の街歩きが好きな人なら、上海もきっと好きになれると思う。