盛岡から東京に帰る際、新幹線を利用した。人生初の東北新幹線乗車体験である。盛岡駅から東京駅までたったの2時間14分。「はやぶさ」の途中停車駅は、仙台、大宮のみ。「はやぶさ」の途中停車駅が、仙台と大宮しかないだなんて知らなかった。福島県内には停車しないし、北関東三県で最大の都市、宇都宮にも停車しない。まさに夢の超特急である。乗り慣れている人にとってはもはや「夢」なんてこれっぽちも無いのだろうが、僕にとっては未だに「夢」である。
そもそも新幹線に乗ったこと自体、数えるほどしかない。中学3年生の修学旅行で東京と京都の間を東海道新幹線で往復したこと、高校生のとき家族旅行で新横浜と京都の間を往復したこと、これもまた高校生のときにコンクールに応募したまたま受賞した俳句の授賞式が京都でおこなわれるというので主催者から交通費の支給をうけて新横浜と京都の間を往復したこと、高校2年生の修学旅行で鹿児島中央から新水俣まで九州新幹線を利用したこと、それと、大学生のとき関西旅行に行くのに新横浜から新大阪まで東海道新幹線を利用したこと、これっぽっちである。飛行機は今まで80回程度乗ってきたので、それに比較するとずいぶん少ない。
【2015.10.14】東北新幹線
なぜ、乗車することがないのだろうか。それは、料金があまりにも高いからだ。盛岡駅から東京駅まで、約500kmの距離に14740円もする。これよりも安い料金を支払って、成田空港からLCCを利用して、1150km離れたソウルや、2900km離れた香港に行ったことのある僕にとっては魅力的な運賃とはいえない。結局、日本国内の旅行であれば高速バスを利用することになる。今回も、東京から盛岡までは夜行の高速バスを利用した。揺れもあり、7時間半あまり狭い座席でじっとしていなくてはならなかったが、たったの3500円で済む。なぜ東京に帰る際、新幹線を利用したかというと、それは、たまたま僕が料金を支払わなくてよかったからだ。
自分のお金では、新幹線の切符なぞ買わまい。今思うと大学生の時、関西旅行の際、学割を切って東海道新幹線の切符を購入してしまったのは主義が徹底していなかったと思う(笑)その時は、夜行の高速バスという乗り物にまだ乗り慣れておらず、高速バスという選択をためらっていた頃ではあったが。
近隣諸国と比較してみても、日本の高速鉄道(新幹線)は高い。
■韓国
ソウル→釜山(424km) 運賃:6190円(58800KRW) 所要時間:2時間29分
kmあたり:14.6円 評定速度:170.7km/h
■台湾
台北→左營(339km) 運賃:5826円(1580TWD) 所要時間:90分
kmあたり:17.2円 評定速度:226.0km/h
※左營は、台湾第二の都市・高雄市に所在
■日本
東京→新大阪(515km) 運賃:14450円 所要時間:2時間22分
kmあたり:28.1円 評定速度:217.6km/h
東京→盛岡(497km) 運賃:14740円 所要時間:2時間14分
kmあたり:29.7円 評定速度:222.5km/h
kmあたりの運賃で比較すると、日本の新幹線の利用料金は韓国の約2倍、台湾の3分の2増しにもなる。だから僕は、韓国や台湾では高速鉄道を利用するものの、日本では利用しない。もちろん、各国、給与水準、物価水準が異なるため、韓国や台湾の高速鉄道もやはり、韓国や台湾の国民にとって安価な乗り物では決してないのだが。
【2015.10.14】北陸新幹線
そもそも料金設定を、新幹線事業がそれ単独で赤字を出さないように、あるいは赤字額が極力少なくなることを目標としておこなっているから、こうなってしまう。家の目の前を走る一般道路が、それが赤字か黒字かという議論なんておこなわれないのに、新幹線についてはそれ単独が赤字であることは望ましくないという暗黙の了解がある。ここに疑問を感じる。(ちなみに一般道路は、利用料金を徴収していないので赤字であると解釈できる)
せめて、料金が半額になってくれないだろうか。そうすれば、日本の国内での移動が活性化して、過疎化地域の観光地にも首都圏から気軽に行けるようになるし、親元を離れて一人上京してきた大学生が両親に顔をみせに行くことを躊躇わずにすむようになる。移動の権利が保障されてこそ、生活の質が向上するとはこのことだ。
しかし、このような素人の意見は、新幹線を運行する現場にとっては、まことに的外れな意見なのかもしれない。「この価格設定でも、実に多くの方に利用して頂いております。すでに16両編成の列車を、毎時22本運行しておりまして、線路容量はこれ以上、拡張できないのです。」と冷たく突き返されるのがオチではないか。
ジェイアール東海エージェンシー(https://www.jrta.co.jp/pdf/express/2015/p05-12.pdf)の資料によると、新幹線の利用者の64.8%がビジネスや出張による利用だという。単身赴任による利用を合わせると、70%に達する。つまり、僕のような観光旅行で新幹線を利用しようする人は少数派なのである。新幹線というものはむしろ、日本のサラリーマン社会を支えるインフラなのだ。彼らは会社から支給されたお金で新幹線を利用するのであるから、正直なところ、大半の利用者にとっては新幹線の運賃などどうでもよいのかもしれない。
つまり、「こんな高い運賃で、憲法で保障されているはずの国民の移動の自由を脅かしてどうするんだ!」という意見表明は、このサラリーマン中心社会ではなんら意味をもたないのかもしれない。国民の幸福よりも、企業の利益を優先する社会では。
文章の冒頭では、「夢の超特急」とは言ってみたものの、こう書いてみると、夢なんてこれっぽっちもない代物であったということに気づかされる。これからもおとなしく、高速バスを移動することにするか。
そもそも新幹線に乗ったこと自体、数えるほどしかない。中学3年生の修学旅行で東京と京都の間を東海道新幹線で往復したこと、高校生のとき家族旅行で新横浜と京都の間を往復したこと、これもまた高校生のときにコンクールに応募したまたま受賞した俳句の授賞式が京都でおこなわれるというので主催者から交通費の支給をうけて新横浜と京都の間を往復したこと、高校2年生の修学旅行で鹿児島中央から新水俣まで九州新幹線を利用したこと、それと、大学生のとき関西旅行に行くのに新横浜から新大阪まで東海道新幹線を利用したこと、これっぽっちである。飛行機は今まで80回程度乗ってきたので、それに比較するとずいぶん少ない。
【2015.10.14】東北新幹線
なぜ、乗車することがないのだろうか。それは、料金があまりにも高いからだ。盛岡駅から東京駅まで、約500kmの距離に14740円もする。これよりも安い料金を支払って、成田空港からLCCを利用して、1150km離れたソウルや、2900km離れた香港に行ったことのある僕にとっては魅力的な運賃とはいえない。結局、日本国内の旅行であれば高速バスを利用することになる。今回も、東京から盛岡までは夜行の高速バスを利用した。揺れもあり、7時間半あまり狭い座席でじっとしていなくてはならなかったが、たったの3500円で済む。なぜ東京に帰る際、新幹線を利用したかというと、それは、たまたま僕が料金を支払わなくてよかったからだ。
自分のお金では、新幹線の切符なぞ買わまい。今思うと大学生の時、関西旅行の際、学割を切って東海道新幹線の切符を購入してしまったのは主義が徹底していなかったと思う(笑)その時は、夜行の高速バスという乗り物にまだ乗り慣れておらず、高速バスという選択をためらっていた頃ではあったが。
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近隣諸国と比較してみても、日本の高速鉄道(新幹線)は高い。
■韓国
ソウル→釜山(424km) 運賃:6190円(58800KRW) 所要時間:2時間29分
kmあたり:14.6円 評定速度:170.7km/h
■台湾
台北→左營(339km) 運賃:5826円(1580TWD) 所要時間:90分
kmあたり:17.2円 評定速度:226.0km/h
※左營は、台湾第二の都市・高雄市に所在
■日本
東京→新大阪(515km) 運賃:14450円 所要時間:2時間22分
kmあたり:28.1円 評定速度:217.6km/h
東京→盛岡(497km) 運賃:14740円 所要時間:2時間14分
kmあたり:29.7円 評定速度:222.5km/h
kmあたりの運賃で比較すると、日本の新幹線の利用料金は韓国の約2倍、台湾の3分の2増しにもなる。だから僕は、韓国や台湾では高速鉄道を利用するものの、日本では利用しない。もちろん、各国、給与水準、物価水準が異なるため、韓国や台湾の高速鉄道もやはり、韓国や台湾の国民にとって安価な乗り物では決してないのだが。
【2015.10.14】北陸新幹線
そもそも料金設定を、新幹線事業がそれ単独で赤字を出さないように、あるいは赤字額が極力少なくなることを目標としておこなっているから、こうなってしまう。家の目の前を走る一般道路が、それが赤字か黒字かという議論なんておこなわれないのに、新幹線についてはそれ単独が赤字であることは望ましくないという暗黙の了解がある。ここに疑問を感じる。(ちなみに一般道路は、利用料金を徴収していないので赤字であると解釈できる)
せめて、料金が半額になってくれないだろうか。そうすれば、日本の国内での移動が活性化して、過疎化地域の観光地にも首都圏から気軽に行けるようになるし、親元を離れて一人上京してきた大学生が両親に顔をみせに行くことを躊躇わずにすむようになる。移動の権利が保障されてこそ、生活の質が向上するとはこのことだ。
しかし、このような素人の意見は、新幹線を運行する現場にとっては、まことに的外れな意見なのかもしれない。「この価格設定でも、実に多くの方に利用して頂いております。すでに16両編成の列車を、毎時22本運行しておりまして、線路容量はこれ以上、拡張できないのです。」と冷たく突き返されるのがオチではないか。
ジェイアール東海エージェンシー(https://www.jrta.co.jp/pdf/express/2015/p05-12.pdf)の資料によると、新幹線の利用者の64.8%がビジネスや出張による利用だという。単身赴任による利用を合わせると、70%に達する。つまり、僕のような観光旅行で新幹線を利用しようする人は少数派なのである。新幹線というものはむしろ、日本のサラリーマン社会を支えるインフラなのだ。彼らは会社から支給されたお金で新幹線を利用するのであるから、正直なところ、大半の利用者にとっては新幹線の運賃などどうでもよいのかもしれない。
つまり、「こんな高い運賃で、憲法で保障されているはずの国民の移動の自由を脅かしてどうするんだ!」という意見表明は、このサラリーマン中心社会ではなんら意味をもたないのかもしれない。国民の幸福よりも、企業の利益を優先する社会では。
文章の冒頭では、「夢の超特急」とは言ってみたものの、こう書いてみると、夢なんてこれっぽっちもない代物であったということに気づかされる。これからもおとなしく、高速バスを移動することにするか。