地球の覗き方

地球のことをのぞいてみよう

2016年05月

 新北市板橋区にある友人宅でパソコンをいじっていると、部屋が突然揺れた。部屋にあるテレビのモニターが、カタカタと音を立て揺れているの。大きい、震度4程度だろうか。日本でいつもそうしているように、とっさにテレビのリモコンをとって電源を入れてみたのが、日本のように情報がすぐ出てこない。そこで、台湾の気象庁のホームページにアクセスしてみるが、アクセスが殺到しているのか、つながらない。
 5分以上が過ぎてから、「剛剛發生有感地震(さきほど、体に感じるほどの地震が発生しました)」との表示が出てくる。しかし、震度の情報は出てこない。
 それからやっと情報が出てくる。

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 宜蘭県で最大震度5の地震が発生したという。

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【2016.4.26】テレビ

 震源の深さは10km、マグニチュードは5.6である。

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【2016.4.26】テレビ

 新北市板橋区や台北市の震度は震度2であった。震度2で、こんなに揺れるのか。台湾の震度は、日本と同じで0から7までの8段階である。(ただし台湾では日本のように、震度5、震度6は弱強に細分化されていない)
 友人の家は台湾によくある、外からみるとおんぼろだが中は案外清潔という、アパートである。6階の高さにあることも、揺れを大きく感じた原因ではあろうが、それにしても耐震性に疑問符を付けざるを得ない。
 地震大国の台湾ですら、地震への対策は情報提供体制、建築物を含めこの程度なのである。いくら日本で生活していて地震に慣れているとは言え、海外で地震に遭遇することは怖い。


<前回訪問記>
 #0297.雨の南漢山城(남한산성)

 前回訪問時には、雨で満喫できなかった南漢山城。2週間後のある昼、友人のアルバイトの予定が突然、キャンセルされて暇になったということで、前回ともにやってきた友人と再び訪問することにした。
 友人は大学から直行してきたので、鞄には分厚い本が何冊か入っていて、その本を背負いながらのハイキングとなってしまった。

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【2015.6.3】南漢山城にて

 晴れの日にやってきたから気分がよい。平日だから、人も少ない。こういう日には外に出て、遊びに行くのが一番いい。

IMG_3675【2015.6.3】南漢山城にて

 際限なく、緑に囲まれ続ける。

IMG_3679【2015.6.3】南漢山城にて

 ここがソウル南部の蚕室(잠실)から、地下鉄でたったの15分でやってこれる駅からバスで登ったところだとは思えない。

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 前回、歩くことのできなかったもう半周を歩いている。

IMG_3707【2015.6.3】南漢山城にて

 山、山、山。いくらソウルが盆地にあるからといっても、人口2500万人のソウル首都圏の、それもソウルに近いところにこのような風景があるというのは、驚きである。
 この風景写真を家族に送ってみたころ、そこに何日宿泊する予定なのかという返事が返ってきたが、これは宿泊を伴う旅行ではないのだ。地下鉄8号線にさえ乗れば、来ることができる。

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 長い城壁がみえる。

IMG_3728【2015.6.3】南漢山城にて

 山苺などをとって食べてみる。友人は山苺を見つけるのが得意で次々と見つけていたが、僕は目が悪いのか、なかなか見つけられないでいた。赤い色をしていても、案外、目立たないものである。やはり僕は東京生まれ東京育ち、こういった自然の中から何かを探すということは苦手なのかもしれない。
 山苺は噛んでみると、酸っぱい。漢方のような味がする。

IMG_3733【2015.6.3】南漢山城にて

 傾斜が激しいので、半周するのも大変だった。

IMG_3744【2015.6.3】南漢山城にて

 もう午後6時を過ぎていたが、 6月で日が長いのか、まだまだ明るかった。それから下山して、地下鉄に乗り蚕室(잠실)に移動して、夕食をとる。家につくともう、夜の10時を過ぎていた。

■南漢山城(남한산성)
 地下鉄8号線山城(산성)駅から9-1番バスに乗車し終点下車(乗車時間約20分)
 (9番バスに乗車し終点下車も可能だが、15分ほど乗車時間が長くなる) 
 なお、地下鉄8号線には、南漢山城入口(남한산성입구)駅もあるが、こちらで下車してからバスで行こうとすると遠回りになるので必ず、山城(산성)駅からバスに乗るようにしよう。


 友人と南漢山城(남한산성)に行った。
 南漢山城はソウルの郊外にある、山城である。臨時の首都として機能するべく、山中に城壁を巡らせたものだ。特に李氏朝鮮時代の15世紀には、朝鮮が明の侵略を受けるのではないかという懸念から、軍事施設としての利用が始まり、17世紀前半には大きな施設を持つようになった。
 1636年、清が朝鮮に冊封するよう要求し、これをつっぱねた朝鮮は清と交戦状態に入る(丙子の役)。その際、王は南漢山城に籠城して抵抗するが、47日後に、清の冊封体制に組み込まれることを余儀なくされた。また、近代では抗日運動の拠点になることもあった。このように、この土地は、朝鮮半島の独立というテーマと深い関わりを持つところなのだ。
 2014年に世界遺産に登録された。
 地下鉄8号線の山城駅(산성역)で下車し、9-1番バスに乗る。市街地を走っていたバスは山道に入る。20分ほど行くと、南漢山城のビジターセンターへと到着する。駐車場や、飲食店などがある。ここから、ハイキングコースへと入る。

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【2015.5.19】南漢山城にて

 しばらく晴天が続いていたのに、その日に限って、あいにくの雨であった。ハイキング日和とは言えないが、それなりに情趣のある風景である。

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 ハイキングコースは傾斜がきついところもあり、雨で濡れていると、歩きやすいとは言えない。

IMG_3568【2015.5.19】南漢山城にて

 朝鮮半島は歴史上、地域の独立が、常に脅かされてきた地域である。清の冊封体制もそうだったし、日本の植民地時代もそうだった。今はどうだろう。南の立場からすれば北が金氏の傀儡政権によって占領されているし、北の言い分としては南がアメリカの傀儡政権によって占領されているというから、ひとつの朝鮮としての独立は果たせていないわけである。

IMG_3578【2015.5.19】南漢山城にて

 日本にこれほど大きな、軍事的な遺跡というものはないことを思うと、朝鮮半島は歴史的に「軍事」に比較的大きな労力を割かなくてはならなかったことが分かる。今も、南も北も兵役の義務があり、やはり国防への負担というものはひどく大きいことに変わりはない。

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 霧が深まっていく。ソウル市郊外ではあるが、深い山の中にいるような気持ちになる。

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 雨がやみそうもないので、半周もせずに戻ることにした。次は晴れの日に行こうか、秋の紅葉のころもよさそうだ。 

<再訪問記>
 #0298.晴れの南漢山城(남한산성)


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