地球の覗き方

地球のことをのぞいてみよう

2017年06月

 「easyHotel London Heathrow」から、最寄りの地下鉄の駅へと向かうことにした。

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【2017.3.9】ハーリントン(Harlington)の街並み

 これが典型的な、イギリスの郊外の街並みなのだろうか。
 ヨーロッパと言えば、今まで訪問したことがあるのはフランスだけだったが、そのフランスとは全く雰囲気が違う。

IMG_7567【2017.3.9】ハーリントン(Harlington)の街並み

 どの家にも、玄関先に小さな庭があって、かわいらしかった。
 水仙の黄色い花が可愛らしげに咲いている。

IMG_7568【2017.3.9】ハーリントン(Harlington)の街並み

 庭は、そこに住む人々の創意工夫がはっきりと表れるところだから、こういうのを観察しながら歩いてくのはとても面白いと思う。
 バスに乗ればすぐに、駅にまで向かうことができたはずだが、バス停で、僅差でバスに逃れられてしまったから、歩いていくことにした。

IMG_7569【2017.3.9】ハーリントン(Harlington)の街並み

 バス停でじっと待っているには、肌寒かったのだ。

IMG_7576【2017.3.9】ハーリントン(Harlington)の街並み

 しかし、花が咲いていて、景色はあまり肌寒そうには見えなかった。

IMG_7579【2017.3.9】ハーリントン(Harlington)の街並み

 一体、何の花だろう。

IMG_7582【2017.3.9】ハーリントン(Harlington)の街並み

 ロンドンは三月になるとすでに、たくさんの花が咲くようだった。

IMG_7585【2017.3.9】桜

 日本で見られるソメイヨシノとは違うけれども、桜の花もたくさん咲いていた。
 結局、駅まで、キャリーバッグを引きながら、4kmほどの道のりを、歩いてしまった。

IMG_7587【2017.3.9】ハットンクロス(Hatton Cross)駅

 この駅から、ロンドン市内へと向かう。

IMG_7588【2017.3.9】ハットンクロス(Hatton Cross)駅周辺

 Oyster Cardを改札機にかざし、駅構内へと入った。


 1泊40ポンド(約5600円)の、easyHotel London Heathrowにチャックインをする。
 朝に、東京の自宅を出発してから、約24時間ぶりに横になることができる。

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【2017.3.10】easyHotel Heathrow

 easyHotel Heathrowはいわゆる、簡易型のホテルでトイレとシャワー、ベッド、テレビの他に部屋にはこれといって何も置かれていない。
 トイレやシャワーはとても狭いが、それでも、寝るだけならば清潔だし困ることは無いだろう。

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 水や、スナックは、館内に置かれている自動販売機で有料で購入することができる。

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 もし食事をしたかったら、チェックイン時に渡されたメニューから、出前注文をとればよかった。

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 パスタのメニューはレギュラーサイズが大体、5.5ポンド(770円)、ラージサイズが7.5ポンド(1050円)ほどである。

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 その味がよいのかはよく分からないが、日本と比較してとびきり高いということはなさそうだった。

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 正直、24時間、機内食と、ローマでの乗り継ぎの際のコーヒーくらいしか口に入れていなかったからお腹が空いていたけれども、ピザだのパスタだのチキンだの、油っぽいものを食べる気はしなかった。

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 TOKYO DRIFTだなんていう、故郷の名前を冠したメニューがあるけれども一体何で、TOKYOなんだろう。
 あまりにも疲れていたから、服を脱ぎ、体を洗い、それから下着だけ履いて、そのままベッドへとダイブしたまま、寝てしまった。
 朝がやって来る。時刻は午前7時半頃だった。そんなに早く起きる必要はなかったんだけれども、時差ボケがあったのか、目が覚めてしまった。
 テレビをつける。BBCのイギリス英語は、字幕は理解できたとしても、音声としてはちっとも理解できなかった。

IMG_7562【2017.3.10】ホテルにて

 ホテルの窓からは、牧草地が見えた。
 天気はどんよりと曇っていた。ロンドンは10月から3月にかけては一日当たりの日照時間が平均で3時間を下回る日が続く、曇天の都市だ。ロンドンの典型的な天気なのだと思う。

IMG_7564【2017.3.10】easy Hotel London Heathrow

 午前10時までにチェックアウトをしなくてはならなかったから、午前9時過ぎには荷物をまとめてチェックアウトし、ロンドン市内へと向かうことにした。


 イギリスに入国できたのは、午後11時半を過ぎていた。
 ヒースロー空港には、中国語簡体字のクレジットカードの広告があったりして、世界における「中国」の存在感におどろかざるを得なかった。それはともかく、自宅から成田空港までの移動、それから12時間50分のフライト、さらに2時間45分のフライトによって、体は疲れ果てていた。はやくホテルに到着して、横になりたかった。
 ヒースロー空港は不便なことに第5ターミナルまである。ヒースロー空港周辺のホテルとはいっても、到着するターミナルの位置によっては、近かったり遠かったりする。
 今回は、アリタリア航空で第4ターミナルに深夜に到着することから、第4ターミナルからさほど遠くないところで、深夜にチェックインが可能であり、かつ、価格がそれほど高くないところを検討し、「easyHotel London Heathrow」に宿泊することにしたのだが、結局、ヒースロー空港に到着する時点まで深夜に第4ターミナルからどう、ホテルにたどりつくことができるのかということについては、分からないままでいた。

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 ヒースロー空港は、空港内のカプセルホテルが1泊80ポンド(約11200円)、周辺のビジネスホテルは1泊70ポンド(約9800円)が最低ラインとなるという、宿泊費のとても高いところだから、「easyHotel London Heathrow」の1泊40ポンドというのは群を抜いて安い。
 到着すると、到着ロビーで待ち構えていたたくさんのタクシーの運転手が話しかけてきた。目的地を見せると40ポンド(約5600円)という価格を提示してきた。タクシーで6kmほどの距離がどうして、5600円にもなるのだろう。運転手に安くはならないかときいたところ、安くはならないと言った。続けて、路線バスを利用すれば、安く行けるだろうと言った。ロンドンでは、バスには現金で乗車することができない。Oyster Cardという、交通カードが必要だったが、この深夜の時間帯、案内所も開いていないから、どうすることもできない。そのことを伝えると、「あなたを助けることはできない」とだけ、言われ、相手をしてくれなかった。
 6kmであれば、歩くしかないのだろうか。

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 長旅のあとで非常に疲れていたし、キャリーバッグもあったから、あまり歩きたくはなかった。しかし、6kmの距離に5600円と言われてしまえば、タクシーに乗るという選択肢もない。
 空港を出て、歩きはじめる。深夜に、空港周辺の歩道を大きなキャリーバッグを引きながら歩いて移動するすがたが、不審に見えたのだろうか。歩きだしてすぐ、車に乗った空港職員に「どこに行くんだ?」と英語で話しかけられる。そこで、目的地の地図を見せると、こう説明してくれた。

 「空港とその周辺を循環する無料のバス、490番バスがある。少し先のバス停から、乗りなさい。それから、Hatton Crossという駅で乗り換えなさい。Hatton Crossの駅に行けば、Oyster Cardも購入できるはずだ」

 車に乗せてくれはしなかったものの、行き方を教えてくれたから、親切だった。
 バス停では、一人の若い男がいた。ここから、無料バスに乗れるのかときくと、そうだと答えた。

男 : 「どこから、来たんだい」
僕 : 「日本」
男 : 「それはクールだね。訪問の目的は何かい」
僕 : 「旅行。2週間ほど、仕事がないから、来たんだ」
男 : 「うらやましいね。ここから、どこに行くんだい」
僕 : 「easyHotel Heathrowというホテル」
男 : 「調べてやろう。このアプリは、イギリスの公共交通システムを全て、網羅しているんだ。ほら、Hatton Crossの駅まで行ってそこで90番バスに乗り換えて、Brickfield Lane Harlingtonで下車すればいい」
僕 : 「ありがとう」

 男はタバコに火をつける。

男 : 「行きたいところが、2か所あるんだ。一つは、タイ。もう一か所は、日本。ゆっくりと、休んでいきたいね。マッサージとか、温泉とか。物価も安くてよさそうだ。」
僕 : 「たしかに。少なくとも、深夜、タクシーに6km乗って、5600円ということはないから…」
男 : 「そう、イギリスは何もかもが高いんだ。給料が高いというわけでもないというのに」
僕 : 「給料はどれくらいですか」
男 : 「大学卒業したばかりだったら、月収1500ポンド(約21万円)くらいさ」

 月収21万円というのはおそらく、手取りのことを言っているのだろうが、それでも、タクシー6kmに5600円がかかるロンドンで、それだけしかもらえないというのは、この都市での生活は厳しいのではないだろうか。

僕 : 「ところで、英語を話す国は、初めてなんだ」
男 : 「そうかい。君は、何語が話せるんだい」
僕 : 「Japanese、Korean、それから、English」
男 : 「君は日本人なのに、なんでKoreanを話せるんだい」
僕 : 「Koreaに住んだことがあるんだ」
男 : 「本当?とっても、閉鎖的な国だと聞いたことがあるけれども、そこでの暮らしはどうなんだい」
僕 : 「僕が住んでいたのは、金正恩の国ではありません!」
男 : 「ああ、南の方か!」

 そういう話をしていると、バスがやってきた。
 Hatton Crossの駅まで無料で乗車し、まだ営業中だったその駅で、交通カードを購入した。

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 それから、90番バスに乗りかえて、ホテルへと向かう。

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【2017.3.10】ホテルへの道

 バス停を降りて、少し歩く。
ヒースロー空港は周辺に、住宅街が広がっている。イギリスに入国してからすでに1時間ほどが経過した、午前0時半だった。長い長いフライトのあと、一刻も早く横たわりたいという状態であったのに、見慣れない異国の真夜中の道を歩かなくてはならずしんどかったけれども、それでも見ず知らずのイギリス人の力を借りてどうにか到着できそうだったから、肩の荷が下りたのだった。


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