地球の覗き方

地球のことをのぞいてみよう

2017年08月

 ベルリンのポツダム広場(Potsdamer Platz)へとやってくる。第二次世界大戦前は、ベルリンの中心部にあって、ベルリンで最も繁華なところの一つであったというが、第二次世界大戦中に空襲で破壊された上、この広場を分断するように東西ベルリンの境界線が引かれ、壁が建てられてしまっため、東西ドイツが再統一される1990年までは、賑わいかれは遠かったところである。

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【2017.3.15】ポツダム広場にて

 今は、広場の周辺は再開発され、ビジネスセンターとして活気を取り戻している。

IMG_9502【2017.3.15】ポツダム広場にて

 そこには、東西ベルリンの境界、ベルリンの壁がモニュメントとして置かれている。

IMG_9515【2017.3.15】ベルリンの壁

 後ろに見えるビルは、西棟と東塔の一対の高層ビルとなっているが、その意匠は、やはり東西ベルリンの境界であったことを意識していると思う。

IMG_9495【2017.3.15】東西ベルリンの境界

 道路に、石畳によって東西ベルリンの境界が示されている。

IMG_9497【2017.3.15】ベルリンの壁

 その近くに、韓国建築がある。

IMG_9513【2017.3.15】韓国建築

 何か、唐突な印象は否めない。

IMG_9505【2017.3.15】統一亭

 その名は統一亭(통일정)とある。

IMG_9506【2017.3.15】統一亭

 여러분이 계시는 한국 통일정자는 과거 독일의 분단 시절 동서 베를린을 나누던 베를린 장벽이 있던 곳입니다.
 1945년 제2차 대전 직후 동서독으로 분단되었던 독일은 1989년 베를린 장벽을 제거하고 통일을 이루었지만, 한반도는 1945년부터 아직까지 남과 북으로 분단되어 있습니다.
 한국 통일정자는 분단된 한반도의 평화통일과 변영을 염원하는 한국인들의 의지를 통일된 독일 수도 베를린에서 표현하고 있습니다.
 이 정자는 유네스코가 세계 문화유산으로 지정한 대한민국 수도 서울의 궁궐 창덕궁 낙선재에 위치한 상량전을 그대로 재현한 건축물로, 19세기 중엽 한국 전통건축의 아름다움을 보여주고 있습니다.

 みなさんがいらっしゃる韓国統一亭は、過去、ドイツが分断されていた時代、東西ベルリンを隔てていたベルリンの壁があったところです。
 1945年、第二次世界大戦直後、東西ドイツに分断されていたドイツは1989年にベルリンの壁を取り除き、統一を果たしましたが、朝鮮半島は1945年から今まで、南と北に分断されたままです。
 韓国統一亭は分断された朝鮮半島の平和統一を繁栄を念願する、韓国人の意志を、統一を為した首都ベルリンに表したものです。
 この統一亭はユネスコ世界文化遺産に指定された大韓民国の首都ソウルにある昌徳宮(창덕궁)の楽善斎(낙선재)に位置する上凉亭(상량전)をそのまま再現した建築物であり、19世紀中葉の韓国の伝統建築の美を見せています。


 ちなみに友人によれば、ドイツ語には「韓国の伝統建築の美を見せています」といった内容は割愛されていて、韓国語とドイツ語の間で、若干の違いがあるという。

IMG_9507【2017.3.15】統一亭

 ドイツは分断を克服したが、朝鮮半島はまだ、克服できていない。
 第二次世界大戦の後遺症に、世界はまだ、悩まされているのだ。

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【2017.3.15】統一亭

 なおこの統一亭は、東西ドイツ統一25周年、韓国独立70周年を記念して、2015年に建てられたものだ。


 ソニーセンター(Sony Center)へと向かう。

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【2017.3.15】ベルリンにて

  そこは、歴史的にはベルリンの中心にあったが、第二次世界大戦において破壊され、ベルリンが東西に分かれていた時には東ベルリンにおける西ベルリンとの緩衝地帯にあって開発がなされなかった土地を、東西ドイツ統一後、ベルリンの都市景観をドイツの「首都」として相応しいものにするべく、力を入れて開発された地域にある。

IMG_9474【2017.3.15】図書館

 ソニーセンター(Sony Center)へとやってくる。

IMG_9477【2017.3.15】ソニーセンターにて

 オフィス、ホテル、ショッピングの機能が複合した複合商業施設で、2000年に竣工した。

IMG_9478【2017.3.15】キリン

 ソニーはヨーロッパにおける本社を2000年にベルリンに移した。ベルリンが、西欧と東欧の接点にあって、ヨーロッパ全体におけるビジネス展開に、地の利があると考えたからだという。
 もともと、ソニーセンターはソニーによって保有されていたが、2008年に売却され、2010年には大韓民国国民年金の所有になっている。

IMG_9479【2017.3.15】看板

 看板には、

 소니센터에 오신 것을 환영합니다. 대한민국 국민연금
(ソニーセンターにいらっしゃったことを歓迎します。大韓民国国民年金)

 ベルリン在住も2年が経った友人は言う。
 友人 : 「ドイツでも、韓国語が分かると、いいことがあるもんだね。こういうことを知ることができる。俺は今まで、知らなかった」
 僕 : 「他に、ドイツで韓国語が分かると、いいことがあるだろうか」
 友人 : 「ほとんどないけれども、韓国からの留学生は少なくないから、彼らと意思疎通ができる」
 僕 : 「ベルリンに韓国人の友達がいるの」
 友人 : 「いるっちゃいるけれども、相当の変わり者だ。北朝鮮に憧れをもつような、韓国人なのだが」
 僕 : 「へえ」
 友人 : 「本人はまだ学生なんだけれども、年上の女性と結婚してね。彼女は韓国での仕事をやめて、ベルリンに来たんだって。家に遊びに行くと、おいしい料理でもてなしてくれる」

IMG_9480【2017.3.15】ソニーセンターにて

 所有が大韓民国国民年金になってからも、ソニーセンターの名前はソニーセンターであって、サムスンセンターになったりはしていない。

IMG_9481【2017.3.15】ソニーセンターにて

 ベルリンを代表する、複合商業施設のひとつだという。

IMG_9482【2017.3.15】ソニーセンターにて

 友人の、ドイツ人の友人とコーヒーを飲むことになった。
 コーヒー代はそのドイツ人の友人が払ってくれた。

IMG_9487【2017.3.15】ソニーセンターにて

 まだベルリンにやってきてからたった1日しか経っていないが、率直な感想を述べる。

IMG_9489【2017.3.15】ソニーセンター

 「ベルリンは首都ではあるが、思ったよりずっと小さな都市だった。都市景観は、共産主義国家のそれと似ているところもあって、かつてウズベキスタンやグルジア、アルメニアなどを旅行した時のことを思い出した」

 そう言うと、そのドイツ人は言う。

 「ベルリンはドイツの中でも、特殊なところだから、ね。ドイツの代表とは言い難いところだし、ドイツらしいことをどれだけ経験していけるかも、分からない」

IMG_9493【2017.3.15】ソニーセンターにて

 たしかに日本からドイツに旅行をするといって、それが首都とはいえ、まずベルリンを選択する人は多くはないと思う。ミュンヘンだとか、ケルンだとか、ロマンチック街道がある旧西ドイツ側の方がたくさん行かれているように思う。もちろんベルリンも、東西分裂と再統一の歴史など、現代世界史において重要な都市であって、非常に興味深いところではあるのだが、ドイツ人にとってはさほどドイツらしいところではないというのも、うなずける話である。


 ベルリンで留学生活を送っている友人は、春休みだったが、遅く寝て遅く起きる生活を送っていたから、朝から僕のベルリン観光には付き合わず、午後1時に合流することにしたのだった。
 冬のベルリンは、午後4時には日が暮れてしまうから、寝坊してしまうと太陽の光にはほとんど当たれないというが、3月になると昼が長くなって、そういう憂鬱さは軽減するそうだ。

IMG_9440【2017.3.15】ベルリンにて

 友人との待ち合わせ場所になっていたレストランへと向かう。
 大型建築物がたくさん立ち並んでいるあたりを通る。

IMG_9442【2017.3.15】図書館

 ベルリン中心にあるこういった地域は、かつて東ベルリン側にあった西ベルリンとの緩衝地帯が、東西ドイツ統ー後に開発されたものだという。

IMG_9445【2017.3.15】ベルリンにて

 まだ空き地もあって、全てが開発されているようではなかった。

IMG_9446【2017.3.15】ベルリンにて

 教会がある。

IMG_9447【2017.3.15】セント・マシュー教会(St.Matthäus Kirche)

 セント・マシュー教会(St.Matthäus Kirche)といって、1844年~1846年に建てられたが、第二次世界大戦中に破損し、修復されたという歴史を持つものだそうだ。今は、現代アートの展示施設として利用されている。

IMG_9451【2017.3.15】ベルリンにて

 広々として、ゆったりとしている。

IMG_9453【2017.3.15】ベルリンにて

 約束の時間から少し遅れて、レストランに到着する。
 そもそも、初めてやってきたヨーロッパの都市であるというのに、住所だけを与えられて、午後1時ぴったりに待ち合わせようというのは、難しい。
 ヨーゼフ・ロート・ディーレ(Joseph Roth Diele)というレストランだった。レストランというと敷居が高いように感じられるけれども、カジュアルな身なりでふつうに入ることのできる一般的な食堂である。

IMG_9466【2017.3.15】店内

 店内はレトロで、その雰囲気を味わうためだけでも、訪問する価値があると思う。
 代表的なドイツ料理ともいえる、ザウアーブラーテン(Sauerbraten)を食べる。

IMG_9456【2017.3.15】ザウアーブラーテン

 ザウアーブラーテンとは、牛肉の蒸し煮であるが、酢の入った調味料の漬け汁で調理をおこなうという点において、日本人には独特である。
 その柔らかく煮込まれた肉を、酸味のきいた紫キャベツと、シュペッツレ(Spätzle)と呼ばれる卵の麺と一緒に食べる。
 牛肉は驚くほど柔らかかったが、紫キャベツにしろ牛肉にしろ「酸味のあるものが温かい状態で食べる」ということに慣れていないと、その違和感を克服できないうちに、食事が終わってしまう。僕も、そういう傾向があった。

IMG_9459【2017.3.15】梨ジュース

 飲み物は梨ジュースを注文した。
 多くのドイツ人は昼から、ビールを飲んでいた。ビールは大きなジョッキででてきていて、いかにも「正真正銘のドイツ」といった感じだった。一人でやってきている客も多く、彼らもまた、ビールを飲んでいた。たくさんの人が真昼間から、アルコール類を摂取している。
 価格はどう注文しても、10ユーロ(約1300円)から20ユーロ(約2600円)ほどにおさまる。ヨーロッパにしてはさほど、高くはないと思う。
 量が多く、お腹がいっぱいになる。ドイツの料理は一品一品が大きい。そして一人が、一枚の皿に盛られた料理を全て食べきる。複数人で取り合分けたりすることは、家庭内ではあるかもしれないが、外食の場ではあまり見られなかった。

IMG_9467【2017.3.15】ヨーゼフ・ロート・ディーレ

 お店の外に出た時、通行人がお店の前に飾られていた塩の入ったガラス容器に触れて、落として割ってしまった。それを、必死に片付けていた。ガラスを、手で片付けることは危ないことだし、通行人が触れかねないところにそういったものを置く店側にも落ち度があるような気がして、店内の人を呼んで謝るだけでよさそうだけれども、落としてしまった本人たちが素手で片付けていたから、ずいぶん、律儀な人たちだと思った。
 いずれにしろ、ドイツ料理やドイツのレトロなインテリアをリーズナブルに楽しむには、ちょうどよいレストランだと思った。ただし、英語のメニューなどが特別、用意されているようすはなかったから、ドイツ語が分からなければ、注文には苦労するかもしれない。

■ヨーゼフ・ロート・ディーレ(Joseph Roth Diele)
 住所 : Potsdamer Straße 75, 10785 Berlin
 休業日 : 土日・祝日
 営業時間 : 午前10時~午前0時


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