上海料理といえば「小籠包」が有名だ。日本では小籠包のことを「ショウロンポウ」と呼ぶ。北京語の発音で読むと「シャオロンパオ」が近いのだが、なぜ「ショウロンポウ」と呼ばれるのかといえば、それは上海語の発音に由来しているからだ。つまり小籠包はれっきとした上海料理なのである。
 日本国内で「小籠包」といえば台湾のものも有名だが、1945年以降、国共内戦の混乱において、台湾に流入した大陸人によって持ち込まれた料理であり、台湾の土着の料理ではない。

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【2016.3.5】呉江路

 小籠包の発祥の地は、上海郊外にある「南翔」といわれている。その南翔で創業し、その後、上海市の都心へと移転した南翔饅頭店の店舗が、呉江路にある。豫園にある店舗が本店だそうだが、ひどく混雑していたから、呉江路へとやってきた。地下鉄南京西路駅からすぐのところにある。呉江路はレストラン街として商業開発されていて、たくさんの人で賑わっている。日本、韓国、台湾ブランドのレストランが目立つ。特に韓国系の勢いが強いようにみえる。上海という都市を、日本と韓国と台湾が競い合って攻略しようとしているようにみえる。
 お店には並ぶことなく、すぐ入ることができた。南翔饅頭店は、創業100年以上が経っているという。僕は知らなかったが、すでに海外にも進出をしていて、東京、川崎、大阪、福岡などにも店舗があるという。
 まずは、上海炒飯が出てくる。

IMG_5001【2016.3.5】上海炒飯

 茶色の炒飯が出てくる。どこが、上海的なんだろう。海産物、海老が入っているあたりだろうか。パラパラというよりは、やや重みのある仕上がりで、味も濃いめであった。
 次に、小籠包が出てくる。

IMG_5004【2016.3.5】小籠包
 
  しっかりとした皮の中に、しっかりとした肉の塊と肉汁が入っている。日本で小籠包といえば、「薄皮」「多汁」が正義のように言われているが、それを正義だと思っていると、ややもの足りない味かもしれない。箸でつまんでも、破れたりはしなかった。そもそも日本における小籠包は、日本人の好みに合わせ、極端な方向に進化しすぎてしまったのかもしれない。

IMG_5005【2016.3.5】蟹味噌小籠包

 最後に、蟹味噌の小籠包が出てくる。さきほどの小籠包の2倍の値段である。蟹味噌だから、お酢とよく合う。ただ、僕には少し、塩辛かったかな。
 僕も薄皮多汁を正義だとしている人間だからか、上海初の小籠包体験は、大満足というわけには行かなかった。

■南翔饅頭店 呉江路店
住所:呉江路269号2階
地下鉄2, 12, 13号線南京西路駅4番出口徒歩1分
営業時間:午前10時~午後10時