<これまで>
#0274.奈良「長谷寺」訪問記1 - 長谷寺駅から長谷寺へ

 入山券と本尊である木造十一面観音立像の特別拝観券を購入する。

長谷寺・表

 それから、境内へと入る。

長谷寺・裏

 境内に入ると、登廊(のぼりろう)という本堂まで続く399段の階段を上ることになる。登廊では日の光が遮られるせいか、風の涼しさを感じる。五月というのはそういう季節だと思う。日の光を浴びていると暑いけれども、日の光が遮られれば涼しくなる。梅雨が過ぎ、真夏になれば、日の光の有無に関わらずひどく蒸し暑くなる。

IMG_7202【2016.5.4】登廊

 ちょうど牡丹の季節で、境内には牡丹が咲き誇っていた。

IMG_7206【2016.5.4】牡丹

 境内には、長谷寺が牡丹の花で有名であることについてこのようないわれがあるとの説明がある。

 「花の御寺」として名高い長谷寺の中で、とりわけ有名な牡丹にはある伝説が知られています。約千年前、中国の唐の国の時代に馬頭夫人(めずぶにん)という工期がいました。夫人はとても心の美しい人物でしたが、その名の通り、顔が長く、鼻が馬に似ていたため、容姿に悩んでいました。ある時、霊験あらたかな大和の長谷寺観音(十一面観音)のうわさを聞きつけた夫人が、海を越えた長谷寺に向かって、美人になることを祈願したところ、その願いが叶って絶世の美女に変身を遂げることができました。願いが叶った夫人は観音様に感謝し、お礼にもろもろの宝物を長谷寺に送り、それに数株の牡丹が添えられていたそうです。これが、長谷寺に咲く牡丹の始まりと言われています。

 馬頭夫人というのはなんとも豪快な名前である。ところでお寺だとか観音様というものは、ただそれがある方向に向かって祈願するだけでも、ご利益があるのだろうか。僕は日本にいながら、その方向を方位磁針で測って祈願することで、韓国や中国や台湾、それから東南アジアの仏教寺院のご利益を授かることができるのだろうか。東京にいながら、チベットにある寺院のご利益を授かることができるのだろうか。直接、参拝しなくてもよいのだろうか、疑問に思う。

IMG_7208【2016.5.4】長谷寺にて

 登廊にはたくさんの人がいたので、他の道から境内を目指すことにする。

IMG_7210【2016.5.4】長谷寺にて

 寫経殿がある。
 国宝である本堂が見えてくる。

IMG_7215【2016.5.4】長谷寺にて

 新緑が美しいと、たくさんの人が歓声を上げていた。

IMG_7221【2016.5.4】本堂

 本堂には舞台がある。

IMG_7222【2016.5.4】舞台

 そこから谷を覗き込むと、新緑が目に眩しい。

IMG_7228【2016.5.4】本堂からの景色

 長谷寺が、谷の奥まったところにあるということが分かる。
 谷下から風が吹き上げてきて心地がよい。

IMG_7254【2016.5.4】長谷寺本堂

 長谷寺では、新緑の五月を満喫できる。

IMG_7306【2016.5.4】擦り減った木材

 ふと、目をおろすと、たくさんの人が座ったためだろうか。本堂の木材が、お尻の形に擦り減っている。ここに座ってみる新緑の景色はたしかに、絶景である。こういうところに歴史というものを感じる。今の人も過去の人も、同じようにしてきたに違いない。
 鳥が啼いている。

IMG_7244【2016.5.4】長谷寺にて

 とても気持ちがよい、晩春の日だ。

<つづき> 
 #0276.奈良「長谷寺」訪問記3 - 観音様のお御足に触れる