古鎮内の小学校の前を通り過ぎる。塀の向こうからは小学生たちの威勢のよい歌声が聞こえてくるが、何を歌っているのかはよく分からない。ただ、元気なことだけは分かる。

Office Lens 20160527-102534

 「古城区大研中心校新華小学」
 トンパ文字もしっかりと併記されている。
 校門の前には、お母さんたちが集まっていた。子どもを迎えに来たのだろうか。子どもを迎えに来ることにかこつけて、ママ友同士、おしゃべりに来たのだろうか。
 バスケットコートを見つける。

IMG_8121【2016.5.26】バスケットコート

 しかし、その時は誰ひとりもいなかった。
 獅子山公園へ行く。獅子山は、大研古鎮内で最も標高の高い丘だ。50元(約825円)の入場料がかかる。

IMG_8175【2016.5.26】大研古鎮にて

 玉龍雪山の方を眺めてみたが、相変わらず雲がかかっている。大研古鎮内から玉龍雪山が眺められるところは案外少なく、獅子山周辺くらいだと思う。
 瓦屋根の街並みを見下ろす。

IMG_8130【2016.5.26】獅子山にて

 これだけの瓦屋根が延々と続く街並みと言うのは、世界にも多くはないと思う。ユネスコの世界文化遺産に登録されているくらいだから、そうなんだろう。

IMG_8132【2016.5.26】獅子山にて

 ふと、口ずさみたくなる。

 甍の波と 雲の波
 重なる波の 中空を
 橘かおる 朝風に
 高く泳ぐや 鯉のぼり

 しかし、鯉のぼりはいないし、麗江の甍の波は日本の原風景の甍の波とは異なるようにも感じられた。なんだろう。日本の屋根並みはもっと直線的で、光沢があり、日の光を浴びて輝き、何か、清らかで凛々しい、ぴしっとした感じがあるのだけれども、麗江の屋根並みはどうだろう。日本のものより、曲線的で、丸みがあり、女性的でやんわりとしていて素朴な印象があって、「高く泳ぐや鯉のぼり」という勇ましい表現は、何か似つかわしくないようにも思う。
 だから、口ずさまなかった。 

IMG_8139【2016.5.26】獅子山にて

 獅子山の頂上には、万古楼という楼閣がある。

IMG_8142【2016.5.26】万古楼

 1997年末に建てられた、33mの高さを誇る木造5階建ての建物だという。ナシ族の言葉で「山の上」を意味する言葉の発音に因み、「万古楼(Wangulou)」と名付けられたという。1万個の龍の彫刻が施された、お金のかけられた建物だ。1996年2月3日夜7時に麗江地震(M7.0)が発生し、当地域は大きな被害を受けたが、その復興のシンボルにもなったに違いない。

IMG_8149【2016.5.26】万古楼から

 建物はいくらかの展示と、最上階に小さなお土産屋さんがあったくらいには、特に見るものはなかった。あくまでも、展望台である。

IMG_8154【2016.5.26】万古楼から

 麗江の新市街地がも見える。

IMG_8157【2016.5.26】麗江新市街

 玉龍雪山の麓の、水の豊かな盆地に広がる街だということが分かる。

IMG_8166【2016.5.26】万古楼から

 管理人がもう閉める時間だから、階段を降りなさいというので、降りていく。

IMG_8173【2016.5.26】工事中のおじさんたち

 工事中のおじさんたちがいる。
 古鎮内では、どこかしこでいつも何かしらの工事をしている。伝統的な街並みを保全するためとも言えるし、一方では、伝統的な街並みを再生産し、拡張するということが起こっているようにも見える。このことについての考察は、後の記事で改めて書こうと思う。

IMG_8177【2016.5.26】獅子山から

 それから、獅子山をあとにした。