5月28日の朝がやってきた。この日は2泊をした麗江を離れ、シャングリラ(香格里拉)に行く日だ。
 ふたつの方法があった。一つは、まず麗江のバスターミナルに行き、そこからシャングリラ行きのバスに乗ることで、運賃は60元~70元(約990円~1155円)ほどである。
 もうひとつの方法は、宿の裏手にあるガソリンスタンド前から、宿の人に予約してもらうワゴンの乗合タクシーに乗って行く方法で、運賃は100元(約1650円)ほどである。
 乗合タクシーで行けば、途中、景色のよいところで車を停めてくれるというし、重い荷物をかついでバスターミナルまで行くのも楽ではないと思い、100元を払って行くことにした。
 ガソリンスタンドの前で、朝食として、肉まん、油條、ゆで卵、花生湯(アーモンドスープ)を買ってから、乗合タクシーに乗り込む。

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【2016.5.28】麗江にて

 これから約4時間の旅程が始まる。

雲南9泊10日

 約180kmほどではあるが、山道なので4時間はかかる。麗江市街の標高は約2400mであるが、シャングリラの市街の標高は約3200mから3300mと、800mから900mほど標高が上がる。
 乗客はみな、中国からの旅行客だった。窓を開けて、外の景色でも眺めようかと思っていたが、隣にいた旅行客が風が冷たくて寝られないというので、仕方なく窓を閉めた。
 しばらくしてから、サービスエリアで休憩をする。

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【2016.5.28】サービスエリアにて

 万里長江第一湾観景台(万里长江第一湾观景台)とある。まだそこは麗江市内(麗江市の面積は約2万平方キロメートルを超える。中国で「市」というのは日本では、都道府県に相当する単位である)であるが、サービスエリアの建物は、チベットを意識した意匠となっている。チベット文化圏(その定義は曖昧ではある)が近づいていることに、胸が躍る。
 トイレ休憩だということだったが、トイレには行かず、一番上まで、駆け足で行って景色を見てくる。なお、最上階に入るには、5元だか10元だかのお金が徴収される。さすがに標高が高いのか、息は切れやすい。

IMG_8636【2016.5.28】展望台からの景色

 標高2500mを超えているのに、すでに川幅がこれだけ広い。さすが、長江(上流では、金沙江と名を変える)といったところか。このあたりは上流部にありながら距離に対する高低差が小さく、水の流れが緩やかな部分であるから、水運が発達し、村が発達したという。

IMG_8643【2016.5.28】展望台からの景色

 サービスエリアでは、たくさんの果物が売られている。

IMG_8654【2016.5.28】サービスエリアにて

 雲南は果物が豊富な土地だと思う。標高差があり、ひとつの地域にさまざまな気候帯を抱え込んでいる地域だから、果物の種類も多い。
 さらに、乗合タクシーは進んでいく。

IMG_8657【2016.5.28】集落

 斜面に見えるのは麗江市内でみたものと同じだから、ナシ族の集落なのだろうか。
 絶景の連続であったが、窓を閉め切っていたからあまり写真は撮れなかった。麗江からシャングリラへと向かう区間では、進行方向に対し右側、つまり東側に絶景がよくみられる。拉市海や、玉龍雪山などは東側に見える。
 出発から一時間半ほどが経ち、金沙江を渡る。

IMG_8658【2016.5.28】シャングリラ市へ

 いよいよ、デチェン(迪慶)チベット族自治州シャングリラ(香格里拉, སེམས་ཀྱི་ཉི་ཟླ་གྲོང་ཁྱེར།)市に入る。チベット族自治州だ。「香格里拉歡迎您」の文字の下に、チベット文字が見える。トンパ文字の領域から、チベット文字の領域に入ったのだ。デチェン(迪慶)チベット族自治州は、チベット族が人口の33%の占める地域だ。
 道は、川の右側を走っていたものが、左側を走るようになる。チベット族自治州であるためか、公共の建物などもチベットを意識した意匠となっていて、目に新しい。我々を乗せたワゴンは、さらに標高を上げていく。