シュエダゴン・パゴダ(Shwedagon Pagoda)といえば、ヤンゴンにあるものがミャンマー人の心の拠り所として有名ではあるが、タチレクの町にも同名のパゴダが存在し、タチレクの町でもっとも大きいパゴダである。
 トゥクトゥクは坂を上がっていく。上がっていく途中、トゥクトゥクドライバーの家があるらしく、「This is my บ้าน(baan)」と紹介してくれる。「home」という英語の単語が出てこなかったらしく、タイ語で「บ้าน(baan)」と言っている。
 トゥクトゥクを下りる。

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【2016.7.7】シュエダゴン・パゴダ

 入口で女の人が花と線香が10バーツ(約30円)だというから、支払って受け取る。
 それから靴を脱いで敷地内へと入る。湿度の高い天候では、靴を脱ぐと気持ちがよい。そうすると、日傘を持った別の頬にタナカをつけた若い女の子がやってきて、英語で案内をしてくれる。

IMG_0842【2016.7.7】花と線香

 女の子「誕生日は何曜日ですか」
 僕「木曜日です」

 そう、ミャンマー(そしてタイなどを含む東南アジアも同様)では、誕生日が何曜日であるかということが重要なのである。曜日によって、八つに分けられる。一週間は7日しかないのになぜ、八つに分けられるのかというと、水曜日は午前と午後で別のものに分けられるので7よりもひとつ多いのである。そして、各曜日を象徴する動物と、方角が定められている。

曜日 動物 方角
ガルーダ(鳥) 北東
ライオン 南東
水(午前) 牙のある象
水(午後) 牙のない象 北西
ねずみ 西
もぐら
南西

 ミャンマーでは何曜日に生まれたかということが、その人物の性格や人生に影響を及ぼすと信じられていて、その性格は各曜日を象徴する動物に大体、準ずるという。ミャンマーに旅行に行く前には、自分が何曜日生まれなのか、水曜日生まれなら午前に生まれたのか午後に生まれたのかを把握してから行くようにしよう。

IMG_0845【2016.7.7】木曜日生まれ

 木曜日生まれの人は、ここで祈ればよいという。花と線香を捧げてから、大きな像に銀色のコップで数回ずつ水をかけ、それから仏さまにも数回ずつ水をかけ、最後に木曜日を象徴するねずみの像(写真には写っていないが仏さまの下方にある)にも数回ずつ水をかける。

IMG_0843【2016.7.7】仏さま

 水をかける回数というものは、自分の年の数だけかけるのがいいそうなのだが、26回ずつかけているわけにもいかないから、数回ずつでいいよということだった。
 それから、仏様のいる部屋へと案内される。

IMG_0847【2016.7.7】仏様のいる部屋

 部屋の端にいる僧侶の像が、かわいらしかった。

IMG_0850【2016.7.7】僧侶の像

 うちわを持っていて涼しげだ(笑)
 それから外に出て、鐘をつくこととなる。9回撞けばいいんだという。

女の子「写真、撮ってあげましょうか?」
僕「デジタル一眼レフの使い方、分かりますか」
女の子「大丈夫!」

IMG_0851【2016.7.7】鐘をつく自分

 次に、「happy men」がいるから、来てねと言うからついていく。

IMG_0858【2016.7.7】ハッピーマン

 これが、ハッピーマンか。たしかに幸せそうだ(笑)
 シュエダゴン・パゴダは丘の上にあって、景色がよい。

IMG_0855【2016.7.7】タチレクの町

僕「タチレクで生まれたの?」
女の子「そうよ。タチレクで生まれてから、ずっとタチレクにいるの」

 ほほ笑むと、ほほ笑み返してくれた。

IMG_0857【2016.7.7】タチレクの町並み

 丘の上からながめてみるとタチレクは小さな町ではないが、一つのように見える町の中に実は、サーイ川と国境があり、向こう半分はタイである。
 そして、最後の建物を案内してくれる。

 女の子「ここには3つの国の仏様がいるの」
 僕「ミャンマーと、それからどこ?」
 女の子「ミャンマー、タイ、それから中国」

IMG_0862【2016.7.7】仏像

 女の子の説明によれば、真ん中がミャンマーの像、その真ん中の像の両側にいるのがタイの像であるという。さて、中国はとこにいるのかというと…。
 右側にある小さな像が、それである。

IMG_0859【2016.7.7】中国の仏像

 僕「これ、僕の故郷、日本の仏像と似ている」

 タチレクのあるシャン州は、タイ、ラオス、中国・雲南省と接する。100をゆうに超える多様な民族が住む地域だが、民族ごとに、人ごとに、親近感を感じる仏像は違うから、こうやって様々な仏像が置かれていると便利なのだろう。
 タチレクの町はミャンマー、タイ、中国が交差する地域である。町を歩いているとミャンマー文字、タイ文字、それから漢字を目にすることができることも、この三つの国の仏像もそのことを物語っている。
 最後に、女の子がお土産を見せてくれた。頬につけるタナカと、ミャンマーの旧札のセットなどを買った。旧札のセットには、日本軍が発行したビルマ方面の5ルピー軍票も含まれていた。それから、アウンサン・スーチーの顔写真もつけてくれた。民主化してからまもないころに行ったミャンマーのお土産として、大事にしておきたいと思う。

アウンサンスーチー

僕「彼女のこと好き?」
女の子「ええ」
僕「日本でも有名だよ」

 それから、お金を払う。

女の子「あくまでも、お寺のための寄付としてやっているの。ひとつ売っても、私に入ってくるお金は10バーツ、20バーツくらいにしかならないわ」

 そう言われるとなんだか、お釣りは受け取れず、結局合わせて300バーツ(900円)ほどを渡していた。

IMG_0866【2016.7.7】シュエダゴン・パゴダにて

 なお、境内は裸足で入らなくてはいけないのだが、常に陽の照りつける乾季や暑季にはとても熱くなると思うので、毎日、雨に濡れて温度の下がる雨季に来たのは正解だったと思う。
 ところで、ポケットに入れておいたはずのスマートフォンがない。一体、どこに行ってしまったのだ。焦って境内を探す。 しばらくしてから、トゥクトゥクの激しい振動が、ポケットの中のものが外に出て落ちてしまうほどのものだったことを思い出し、トゥクトゥクに戻ってみると座席のシートの後ろにスマートフォンが落ちていたのを見つけ、胸をなでおろす。ミャンマーで無くてしてしまったら、もう二度と手に戻ることはなかっただろうから、シュエダゴン・パゴダには感謝するしかない。

2016年7月 タイ北部6泊7日
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