ふと思う。自動車や電車の窓からの景色は「車窓」というが、飛行機の窓からの景色はなんていうんだろう。飛行機は「車」ではない。調べてみると、「機窓(きそう)」という言葉を使えばよいという。
 飛行機に乗り慣れた人は、窓側よりも廊下側を好むという。トイレに行くのに苦労しないからだ。窓側に座ってしまうと、トイレに行くときに苦労する。もし廊下側に座っている人が寝てしまったらどうだろう。
 けれども、ソウル(仁川)発タシュケント行きでは、窓側を選択した。そもそも搭乗率が3分の1ほどだったし、隣に座っていたのは友人だったから、窓側であれ、廊下側であれ、トイレ問題は重要ではなかった。7時間半に及ぶ飛行。中国の沿岸部から、内陸部、新疆ウイグル自治区、そして、キルギス、ウズベキスタン、みたことのない景色が眼下に広がり、興奮した。

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【2014.7.14】中国のどこか

 どこだろう。木、ひとつない都市。人生、初めて目にする砂漠でもあった。砂漠といえば砂の広がるだだっぴろい平野のイメージがあったが、砂漠にも山あり谷ありで、思ったよりも地形の変化が豊富だった。考えてみれば当然のことだけれども、直接目にするまでは、思いつかなかった。

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【2014.7.14】中国のどこか

 これもまた中国のどこかだ。それにしても中国は広い。新疆ウイグル自治区ひとつとっても、日本の4倍を超える面積を有する。

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【2014.7.14】中国のどこか

 午後5時半に離陸し、飛行機は西へ西へと進む。東側からせまりくる夜を逃れ、太陽を追いかけていく。いつまで経っても日が沈まない。

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【2014.7.14】天山山脈

 離陸から5時間が経過した。ようやく、天山山脈が見え始めたが、まだ中国だ。7月の中旬にして山頂には雪が積もっている。万年雪だろうか。万年雪というものも、機窓ではあるが、人生初めて目にした。

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【2014.7.14】天山山脈

  山々はさらに高くなり、峰にはさらにたくさんの雪がみえるようになる。中国とキルギスの国境は7000m級の山々が連なっているという。どうやら、キルギス領に入ったようだ。

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【2014.7.14】天山山脈

 エンジンが夕焼け色に染まっている。キルギス領からウズベキスタン領に入ると、山々に囲まれたフェルガナ盆地という盆地がみえてきた。そして着陸態勢に入るころになり、東からせまりきた「夜」に追いつかれ、機窓はみえなくなってしまう。
 着陸前の軽食として小さな長方形のチーズのピザが出されたが、前に座っていたウズベキスタンのおじさんが「いらないからあげるよ。」というので、ありがたくいただく。友達と話すのも、ウズベキスタンのおじさんたちと話すのも楽しかったし、機窓は絶景の連続であったが、7時間半のフライトはやはり短くはなかった。

2014年 夏ウズベキスタン7泊8日
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