夕食を終えるとあたりはもう暗かった。

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【2016.9.18】ヤルカンド市内にて

 ユースホステルへと戻るバスを待っていたが、20分ほど待たなくてはならなかった。新疆時間で7時半になるころだったが、あたりが暗くなるころには路線バスの運行本数も少なくなるようだった。
 ヤルカンド市内の夜は、あまり繁華には見えなかった。
 宿につく。水と果物を買おうと、もう一度外に出ようとする。ユースホステルの人に果物や水を売っているお店の位置をきく。「新疆ではもう外出するには遅すぎる時間だ。早く行って戻ってこい」とかいいながら、しぶしぶと位置を教えてくれる。これは、どういうことなのだろうか。ヤルカンドがそれほど、治安の悪いところには見えないのだが。真意は分からなかった。日没後は警察の職務質問が厳しくなるから、屋内にいた方が無難だということなのかもしれない。
 小さなお店で、西瓜とメロン、ザクロジュースを買い求めた。西瓜は重さにもよるがひとつ2元(約31円)、メロンは小ぶりのものがひとつ5元(約77円)だった。ウイグルで西瓜やメロンは、二束三文である。一方、ザクロジュースは10元(約153円)ほどだったか。
 お店では、女性の店員さんとそのこどもが迎えてくれた。女性は流暢な中国語で「あなたたち、何族?」とたずねてきた。我々が漢族にはみえなかったらしいが、我々が外国人だという発想もなかったようだ。「日本族」、「大和族」とでも答えたらいいのだろうか。「日本人で、東京から来たよ」と付け加えた。
 子どもがスクーターにまたがって、どこかに行こうとしている。

IMG_3188【2016.9.18】スクーターにまたがる少年

 ウイグルでは少年にもスクーターの運転免許が出るのだろうか。ヘルメットをかぶって、安全をこころがけている点については褒めたいと思うが、そもそもの話である。
 特に何のトラブルもなく、ユースホステルへと戻ってきた。中庭でメロンを食べることにする。しかしこのユースホステル、包丁がなかった。スタッフに尋ねたところ、彼の持ち物である小さなナイフを貸してくれた。そのナイフには小さく「英吉沙」と刻印されたいた。英吉沙(イェンギサール)とは、カシュガル市の南部に位置する県で、刃物が特産品なのだ。お土産としてちょうどよさそうな果物ナイフだ。よく切れる。しかし、魚を切った匂いがする。メロンの切り口が、生臭くなってしまった。

IMG_3189【2016.9.18】メロン

 その生臭いところを避けながら、食べる。ウイグルのメロンは、皮のふちのところまで甘くて柔らかく、食べることができる。たった77円のメロンがなぜ、こんなにおいしいんだろう。乾燥地帯のメロンやスイカは糖分が凝縮して、とてもおいしい。日本にはかなわない。
 そうして、ヤルカンドの夜は過ぎていく。

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 朝を迎える。
 朝食はまず、昨晩買った西瓜。 あの魚臭いナイフを使うのをためらわれて、ビニール袋に入れてよくしばってから、地面へと放り投げて割った。

IMG_3192【2016.9.19】西瓜

 少し、熟れ過ぎてはいたがおいしかった。
 それから、包子である。

IMG_3196【2016.9.19】包子

 見た目は中国の他の地域にもよくあるような包子ではあるが、中身が羊肉だったり、香辛料がウイグルの香りだから全く違う。
 空気はひんやりとしている。

IMG_3200【2016.9.19】ユースホステルにて

 しかし、日が高くなればまた前日のようにひどく暑くなりそうだった。
 洗濯をしてから中庭に干し、外に出ることにした。しかし使える洗濯機がなかったため、桶に水を注ぎ、洗剤で手洗いをした。砂埃舞う土地を歩いていたからかほんとうにたくさんの汚れが出てきて、我ながら驚いたのだった。

2016年9月 ウイグル9泊10日
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