深圳北駅から、廈門北駅まで行く高速鉄道の切符を手に入れたものの出発は午後5時10分。4時間ほど、時間をつぶす必要があった。しかし、深圳北駅の周辺には何もない。

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【2015.10.28】深圳北駅

 それもそのはず深圳北駅は2011年に開通したばかりで、深圳市の新市街地にあるのだ。まだ駅の周辺は整備の最中といったところ。整備が終わったからといって「何かがある」場所になるのかは疑問ではあるが。
 駅前には大きな公園があった。

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【2015.10.28】深圳北前の公園
 
 公園の中心になぜか、建物が取り残されているようにみえる。
 
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【2015.10.28】深圳北前の公園

 近づいてみるとと、人民がこの建物を観賞しつつ談笑にふけっていた。

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【2015.10.28】深圳北前の公園

 公園の中にぽつりと取り残されているようにみえたが、この建物の周辺はまだ公園としての整備が終わっていない空き地のようだった。この建物はこれから立ち退かされて、公園になるのだろうか。中には人影があり、まだ生活が営まれているようにみえた。これはなかなか不思議な風景だから、この建物を残したまま公園としてしまうのも悪くはないかもしれない。

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【2015.10.28】深圳北前の公園

 共産主義的な標語がみえる。

「緑是生命 緑色希望」

 しかし、この公園はどちらかというと荒涼としている。むしろ公園としての整備が終わっていない、建物のぽつんと取り残されている空き地側の方がよっぽど緑豊かに思われる。ちっとも生命力は感じられないし、希望だって尽きているように思う。なぜこんな標語を立てて風景をシュールにしているんだろう。

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【2015.10.28】深圳北前の公園

 公園を見回してみるとやたらゴミ箱が目につく。さながら何かのアートのようである。なぜ、こんなに多いんだろう。
 芝生は枯れている。深圳のとなり、香港の公園の芝生は青かったぞ。こういうところで香港に差をつけられるのだ。もはや人口にしろ、地下鉄の路線距離にしろ深圳は香港を上回ったというけれども、深圳はちっとも洗練されていない。

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【2015.10.28】深圳北前の公園

 公園は無理な盛土をしたせいか、地盤沈下を起こしているようだった。マンホールが外へと飛び出したり、表土が陥没していたりしている。だから、公園の一部区域が立入禁止になっていた。この公園は深圳という都市が、「量的には急速な発展を遂げているものの質的発展がそれに伴っていない」という事実を象徴しているかのように思われる。
 こういったシュールなものも最初のうちは面白いがすぐに飽きてくる。駅の近くにあるwifi無料のカフェでランチをとり、ノートパソコンを開き旅行前にやり残した仕事をこなしながら、 列車の発車時間を待った。