今まで、紅葉をみに旅行にでかけたことがあっただろうか。おそらく無かったと思う。そもそも東京育ちの僕には紅葉を観賞しにいくという習慣が無かった。以前、石垣島に行った時、島の人とこんな言葉を交わしたことを思い出す。

島の人「内地の人はお花見、絶対、行くんですか?」
僕「そうですよ。家族同士、親しい人同士、週末、時間を決めて必ずお花見にでかけます。お花見にかこつけて、しばらく会うことのなかった友達にも会うことができて、なかなか便利な習慣なんです。」
島の人「なるほど。紅葉狩りも、やっぱり、同じようにするんですか?」
僕「うーん。紅葉狩りは、少なくとも僕はそうはしませんね。」

 秋の落葉間際の、燃え上がる樹々の姿はもちろん美しいとは思う。しかしながら、ああ問われてみると、僕にとって紅葉は、桜ほど重要ではなかったということに気づく。しかし、今年はなぜか、紅葉を仰ぎにいきたくなってしまった。なぜだろう。3年間、ソウルで生活していたからだろうか。たしかに、ソウルの紅葉は美しかった。秋、気温が急激に落ちていく地域では、ハッとするほど鮮やかに染まる。それと比較すると東京の紅葉はなんだか不完全燃焼だと思う。ソウルで、紅葉のほんとうの美しさに気づいてしまったのだろうか。高速バスで7時間半、東京から北へ500km、盛岡へと向かった。

 岩手県岩手郡雫石町にある網張温泉。

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【2015.10.15】網張温泉にて

 絶景だ。北東北までやってきた甲斐があった。

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【2015.10.15】網張温泉にて

 天気にも恵まれて、幸いだった。

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【2015.10.15】網張温泉にて

 北東北は、人生2回目の訪問となる。2011年の7月に、大学の演習で被災地の復興計画に関するプロジェクトのため、釜石を訪れたのが最後だった。北東北にこれだけ美しい風景があるとは知らなかった。やはり、まだまだ日本を知らないな、と思う。

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【2015.10.15】網張温泉にて

 それにしても寒い。10月中旬にして、すでに盛岡市内の最低気温は4度を記録したという。ここの標高は約760m程度で、盛岡市内よりも650mほど高い。海抜高度が100m上昇するごとに、気温が約0.6℃低下するという法則からすると、すでに最低気温は0度台ということになる。生命が今、燃え尽きようとしている。

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【2015.10.15】網張温泉にて

 網張薬師社という温泉神社も、色彩豊かに囲まれている。

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【2015.10.15】網張温泉にて

 山の上の方はすでに枯木立だった。冬将軍が山から下りてくる。

■網張温泉への行き方
盛岡駅から岩手県交通、網張温泉行きが8:55、10:45、13:45、14:45発。
所要:1時間 運賃:1140円

■網張温泉訪問記
#0002.網張温泉 - 燃え上がる北東北 
#0006.網張温泉 - 人生初混浴体験