夜、マンションの一室をゲストハウスに改造した、ゲストハウスへと戻ってくる。
 カザフスタンからやってきた男二人組、湖北省武漢からやってきた大学生の男女、それから、何人かの西洋人などと夜まで話していた。

 武漢からやってきた女性 : 「いいカメラ持っているわね。私、撮影技術も勉強しているの。広告用の写真を撮る方法とか、実務的なものよ。あなたのカメラ、使ってみてもいいかしら」

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【2017.1.23】ゲストハウスのベランダからの夜景

 そういいながら、ゲスロトハウスのベランダに出て、写真を撮った。
 武漢からやってきた女性 : 「ほら、こうやって道路に走る車を線にして見せてみたりね」

IMG_5692【2017.1.23】ゲストハウスのベランダからの夜景

 夜景が案外、綺麗だったから、僕も何枚か写真に残してみた。

IMG_5695【2017.1.23】ゲストハウスのベランダからの夜景

 それから、また話をつづけた。
 ゲストハウスは、世界各地から集まった知らない人たちと、話を交わせることがいい。

 女性 : 「私、日本好きよ。武漢にイオンモールがあって、そこに行くのが好きなの。日本のものがたくさんあるわ。この前は、新海誠監督の『君の名は。』を友達と見に行った。あの作品の監督は、いつも時間と場所に関係した作品を作る」
 僕 : 「日本には行ったことあるの?」
 女性 : 「行ったことないから、行ってみたい。でもまずは、大学の勉強ね。私、日本に行きたいの。でも、日本は中国人のこと歓迎してくれないかしら?ほら、マナーが悪いと思われていそうで」
 僕 : 「それは、人による。マナーのいい人も、悪い人もいる。観光地には中国語の表示がたくさんあるから、たいていは歓迎していると思う。そのため、観光で日本に行く程度なら、両国の政治的関係が悪いということを感じることはないと思う」
 女性 : 「そうだといいわ。政治的関係ねえ。たしかに、歴史認識の問題では政府間ではよく争っているけれども、私は気にしていないわ。もう、70年も経っているじゃない。私は、過去にはとらわれたくない。だって、その時代に生まれたわけじゃないんだもの。そんな、昔のことを気にして、新しいことを知ることを拒むだなんて、私はそんな生き方はゴメンよ。まあ、中国の若い人はそう考える人が多いとは思うけれども」
 僕 : 「とはいえ、人によっては、おじいちゃんやおばあちゃんが日本軍に殺されたりした人もいるから、70年という時間で克服できることでもないのかもしれない」

 また、彼女は日本のデザインなどに関心もあるといって、草間彌生やイッセイミヤケの名をあげた。

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【2017.1.23】ゲストハウスにて

 他に、自分たちはどんな言語を話せるかとか、そういう話をした。カザフスタン人は、カザフ語とロシア語、中国語(これは中国留学中に学んだものだという)、それから少しの英語が話せる。僕は、日本語と韓国語と、英語が話せる。武漢からやってきた男女は、北京語(普通話)と湖北省の方言と英語の3つが話せると言った。北京語と湖北省の方言の違いについて周囲にいる外国人が説明を求めて、いくつかのフレーズを発音させたところ、「ほぼ同じ」ものと判断されていたが、湖北人にとっては明確に区別されているもので、北京語の声調で単語を発音されてもピンとこないことがあるという。
 盛り上がっていると、すでに夜12時を過ぎていた。我々の会話に加わることなくすでに寝室に入っていたある太った西洋人のおじさんが出てきて英語で、「どういえばいいか…。もう12時を過ぎている。sleeping timeだ。静かにするのが、常識だろう」と文句を言った。そのことがきっかけになって、我々の会話は終わったのだった。
 そのおじさんが寝ている部屋は、一番、安い部屋で居間とロッカーで隔てられているだけで、ドアがない部屋だった。そのためみな内心、一番、安い部屋なのだから、それくらいの騒音は仕方ないと思うべきではないのだろうか。もう10元(160円)出せば、ドアのついている静かな部屋で寝ることができただろうにと、思った。しかし、誰も口答えはせず、そのまま、寝る準備を始めたのだった。