島の中央には、旧・南大東空港の建物がある。
【2017.2.12】旧・南大東空港
現在は、島の東部に1500mの長さの滑走路を持つ空港があるが、1997年に新しい空港が開港する前までには、島の中央部に空港があった。旧空港は1934年に日本軍によって開港されたが、滑走路の有効長が800mしかないことから、航空機の離着陸には不十分であったため、廃止された。
現在、旧空港の建物はグレイスラムという会社の本社および工場として利用されている。南大東島で生産されたさとうきびを用いて、ラム酒を生産している。
次に、南大東島まるごと館へと向かう。
【2017.2.12】南大東島まるごと館
島の歴史や自然、文化などについて知ることができる。
入場料は200円だ。
島の概要について知ることをできるから、よい施設だと思う。例えば、南大東島は海の底から立ち上がった2000m山のてっぺんであるだとか、島はフィリピン海プレートに乗って移動していて、いつかは海へと沈んでいく運命にあるだとか、そういう説明をみていると、絶海の孤島であるこの島の存在自体がなんだか奇跡のように感じられる。
訪問客はみな、記名をするようになっている。展示館は午前9時から午後4時まで開いているというが、午後2時に訪問した自分が、その日初めての訪問客のようだった。名簿をみると、その前の日の訪問客は、二組だけだった。
まるごと館の職員と、その友人がいた。職員はいう。
「私、いつもきくの。南大東島に、何で来たのってね。高い飛行機代まで払って、何もない島にくるなんて」
その質問は、答えにくい質問だった。NHKで台風の進路の説明をする時に「南大東島」という地名がよくでていたから島の存在をもともと知っていて、地図を見ると、周囲300km以内に人の住んでいる陸地がないという立地にあって、それが興味深かったから。そうとしか、言えなかった。
「でも、いいところでしょう。他の沖縄の島とは違って、白い砂浜はないけれども。今は、さとうきびの収穫の季節だから、とても忙しいけれども、ふだんはとてものんびりとしているところなの。そう、今はとても忙しくて、猫の手も借りたいくらい。あなたも、島で働いてもいいのよ(笑)」
それから、小一時間、島の人たちと話をした。興味深い話をたくさん聞いた。さとうきびの収穫のシーズンは毎月の稼ぎがとてもよいんだという。それからオフシーズンの5月から10月には、そのお金をパーッと使うんだという。南大東島にはこれといってお金を使うところがないから、那覇に行って、パチンコでもしてパーッと使ってくるのだけれども、そういうことをするのは大体、男で、南大東島の女性はなんでそういうムダなことをするのかと年毎に、思っているそう。半年、働き、半年がオフシーズンか。
「今年は、前の年の、さとうきびが生育する時期にちょうどよいタイミングで雨が降って、ちょうどよい量の日差しが注いで、豊作でね。毎日が忙しいけれども、村中、わくわくしてるの」
沖縄県の市町村のうち、1人当たりの収入が最も多いのが、北大東村であり、次に多いのが南大東村である。そのことについては、「北大東の方が、ムダな建物建てたりしないで、堅実なところがあるからね」と語る。海を挟んで、8kmしか離れていない、二つの島。しかし、二つの島の間にはあまり交流がなく、1年に1回、両島の住民が参加しておこなう大運動会で会うことを除けば、お互いが顔を合わせることはないんだという。大運動会は海上を、南大東島、北大東島と交互にうつして行われるから、相手の島に行くことは2年に1度しかない。
東京から来たというと、ある島人は、東京行きたい、おばあちゃんになってもディズニーランドで遊びたいのと言う。
「東京はピカピカ!南大東島は、土で汚れてるじゃん。いいなあ、東京。メリーゴーランド乗りたい。あれは夢がある」
それと面白かったのが、島の住民が、ハワイ旅行のツアーに参加して、ハワイに行った時の話である。
「ハワイ旅行に行って、綺麗な海だとか、魚だとか、星空を見せられるの。東京とか、都会から来ていた人はいちいち声を出して喜んでいたけれども、私は普段、南大東島で見ているし、南大東島から見えるものの方がきれいだから、さほど、感動しなかったわ。『ハワイ』っていえば、何もかもが綺麗ってイメージがあったけれども、南大東島の方がいいわ。まあ、ホノルルの砂浜沿いに高いビルが並んでいたのは感動したけれども」
夕食はどこで食べるのがいいのかということを相談したら、ある島の人が、「ちょうどサワラのヅケが手に入ったから、大東寿司が作れるわ。それなら家で食べていきなさいよ」と招待してくれることになり、またあとで、話すことになった。
【2017.2.12】南大東島にて
それからまた、自転車に乗る。
【2017.2.12】南大東島にて
少しずつ、夕方が近づいていた。
【2017.2.12】南大東島にて
さとうきび畑には、さとうきびの穂が揺れる。
先ほどある島の人が、「東京に住んでいた時、秋にすすきの穂を見ると、故郷を思い出したりもしたわ。だって、あれ、さとうきびの穂に似てるじゃないの―いや、そんなこといったらご先祖様に怒られちゃうか。すすきは何にも役に立たないけれども、さとうきびはお金になるから、よっぽど役に立つ。すすきと似てるだなんて、さとうきびに失礼だって」。そんなことを言っていたことを思い出す。
【2017.2.12】南大東島にて
そして、さとうきびの穂の向こうに、飛行機が飛んでいた。
1日2便の飛行機の離着陸で、島の人は時刻を知ることができるのだ。
【2017.2.12】旧・南大東空港
現在は、島の東部に1500mの長さの滑走路を持つ空港があるが、1997年に新しい空港が開港する前までには、島の中央部に空港があった。旧空港は1934年に日本軍によって開港されたが、滑走路の有効長が800mしかないことから、航空機の離着陸には不十分であったため、廃止された。
現在、旧空港の建物はグレイスラムという会社の本社および工場として利用されている。南大東島で生産されたさとうきびを用いて、ラム酒を生産している。
次に、南大東島まるごと館へと向かう。
【2017.2.12】南大東島まるごと館
島の歴史や自然、文化などについて知ることができる。
入場料は200円だ。
島の概要について知ることをできるから、よい施設だと思う。例えば、南大東島は海の底から立ち上がった2000m山のてっぺんであるだとか、島はフィリピン海プレートに乗って移動していて、いつかは海へと沈んでいく運命にあるだとか、そういう説明をみていると、絶海の孤島であるこの島の存在自体がなんだか奇跡のように感じられる。
訪問客はみな、記名をするようになっている。展示館は午前9時から午後4時まで開いているというが、午後2時に訪問した自分が、その日初めての訪問客のようだった。名簿をみると、その前の日の訪問客は、二組だけだった。
まるごと館の職員と、その友人がいた。職員はいう。
「私、いつもきくの。南大東島に、何で来たのってね。高い飛行機代まで払って、何もない島にくるなんて」
その質問は、答えにくい質問だった。NHKで台風の進路の説明をする時に「南大東島」という地名がよくでていたから島の存在をもともと知っていて、地図を見ると、周囲300km以内に人の住んでいる陸地がないという立地にあって、それが興味深かったから。そうとしか、言えなかった。
「でも、いいところでしょう。他の沖縄の島とは違って、白い砂浜はないけれども。今は、さとうきびの収穫の季節だから、とても忙しいけれども、ふだんはとてものんびりとしているところなの。そう、今はとても忙しくて、猫の手も借りたいくらい。あなたも、島で働いてもいいのよ(笑)」
それから、小一時間、島の人たちと話をした。興味深い話をたくさん聞いた。さとうきびの収穫のシーズンは毎月の稼ぎがとてもよいんだという。それからオフシーズンの5月から10月には、そのお金をパーッと使うんだという。南大東島にはこれといってお金を使うところがないから、那覇に行って、パチンコでもしてパーッと使ってくるのだけれども、そういうことをするのは大体、男で、南大東島の女性はなんでそういうムダなことをするのかと年毎に、思っているそう。半年、働き、半年がオフシーズンか。
「今年は、前の年の、さとうきびが生育する時期にちょうどよいタイミングで雨が降って、ちょうどよい量の日差しが注いで、豊作でね。毎日が忙しいけれども、村中、わくわくしてるの」
沖縄県の市町村のうち、1人当たりの収入が最も多いのが、北大東村であり、次に多いのが南大東村である。そのことについては、「北大東の方が、ムダな建物建てたりしないで、堅実なところがあるからね」と語る。海を挟んで、8kmしか離れていない、二つの島。しかし、二つの島の間にはあまり交流がなく、1年に1回、両島の住民が参加しておこなう大運動会で会うことを除けば、お互いが顔を合わせることはないんだという。大運動会は海上を、南大東島、北大東島と交互にうつして行われるから、相手の島に行くことは2年に1度しかない。
東京から来たというと、ある島人は、東京行きたい、おばあちゃんになってもディズニーランドで遊びたいのと言う。
「東京はピカピカ!南大東島は、土で汚れてるじゃん。いいなあ、東京。メリーゴーランド乗りたい。あれは夢がある」
それと面白かったのが、島の住民が、ハワイ旅行のツアーに参加して、ハワイに行った時の話である。
「ハワイ旅行に行って、綺麗な海だとか、魚だとか、星空を見せられるの。東京とか、都会から来ていた人はいちいち声を出して喜んでいたけれども、私は普段、南大東島で見ているし、南大東島から見えるものの方がきれいだから、さほど、感動しなかったわ。『ハワイ』っていえば、何もかもが綺麗ってイメージがあったけれども、南大東島の方がいいわ。まあ、ホノルルの砂浜沿いに高いビルが並んでいたのは感動したけれども」
夕食はどこで食べるのがいいのかということを相談したら、ある島の人が、「ちょうどサワラのヅケが手に入ったから、大東寿司が作れるわ。それなら家で食べていきなさいよ」と招待してくれることになり、またあとで、話すことになった。
【2017.2.12】南大東島にて
それからまた、自転車に乗る。
【2017.2.12】南大東島にて
少しずつ、夕方が近づいていた。
【2017.2.12】南大東島にて
さとうきび畑には、さとうきびの穂が揺れる。
先ほどある島の人が、「東京に住んでいた時、秋にすすきの穂を見ると、故郷を思い出したりもしたわ。だって、あれ、さとうきびの穂に似てるじゃないの―いや、そんなこといったらご先祖様に怒られちゃうか。すすきは何にも役に立たないけれども、さとうきびはお金になるから、よっぽど役に立つ。すすきと似てるだなんて、さとうきびに失礼だって」。そんなことを言っていたことを思い出す。
【2017.2.12】南大東島にて
そして、さとうきびの穂の向こうに、飛行機が飛んでいた。
1日2便の飛行機の離着陸で、島の人は時刻を知ることができるのだ。