一日中、自転車をこいでいたし、雨に体もぬれて宿でしばらく休んでいた。夕食を食べるには、やや遅い時間になっていた。宿の近くのお店はもう、大体、しまりかけていた。それでもまだ、お客さんのいたお店に入ると、お店の人が見えなかった。常連客と見える人が、「お、お客さんいるぞ」と奥から、お店の人を呼んだ。まだ、夕食は出せるとおっしゃったから、大東そばを頼んだ。そうすると、「今日は大東そばは売り切れちゃって、沖縄そばしかないけれども言いかしら」とおっしゃったので、それでよいと言った。

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【2017.2.13】沖縄そば

 それから、お酒とつまみをやっていた常連客が出ていって、店じまいの時間となった。
 お店の人が、常連客が手をつけなかったお皿を持ってきて、食べなさいと言った。お腹が空いていたから、ちょうどよかった。

IMG_7112【2017.2.13】夕食

 野菜やら、貝やら、白身魚の刺身があった。

IMG_7114【2017.2.13】夕食

 それから、炊飯器に残っているご飯も全部食べていいと言ってくれたから、平らげて、お腹がいっぱいになってしまった。お腹がいっぱいになるほど食べたのに、料金は、もとの沖縄そば分の代金しかもらってくれなかった。
 思えば、人が手をつけなかった皿とはいえ、残ったものをよこして食べてよいと言ってくれる、そういうことは日本国内ではあまり経験したことが無かった。むしろ、韓国ではときどき経験したことであるから、かつて韓国で留学した日々をつい、南大東島で思い出して、しみじみとしてしまった。
 それから、しばらく外を散歩した。暗い道を歩いて、星を見に行った。いまいち風が強かったし、24時間稼働している製糖工場の音が島中に響き渡っていて、あまり星を見るのには集中できなかったけれども、気持ちがよかった。適度に湿った空気に適度な気温、それから、さとうきび畑のさとうきびが風によって擦れあう音。日本のどこでも体験できることではない。