京都にやってくるのは、2016年5月以来1年3か月ぶりだった。
 横浜駅から高速バスに乗り、京都駅八条口へと向かう。滋賀県内から京都府内にかけて、大雨による速度制限がかかっていたけれども、約7時間で到着することができた。
 しばらく強い雨に見舞われていたけれども、カフェで朝食を食べながら待っていると、雨はやみ、晴れ間が見えるようになった。

IMG_3744
【2017.8.18】京都駅

 10年も前の話になるが高校3年生の時は、東京に住みながら、かつては京都の大学に進学することも考えていた。

IMG_3746【2017.8.18】七条通

 しかし、それはただ「京都に住んでみたい」という気持ちが先立っていて、何を勉強するために京都に行きたいのかという点についてなんら説明ができていなかったから、東京をあえて出て京都に行くということについて、親や教師を説得させることはできなかった。

IMG_3749【2017.8.18】七条通

 心の中では当時、どうせ「大学で何を学びたいか」という意識がないのだから、それだったら、東京でも京都でも変わらないではないかという気持ちはあったのだけれども、親や教師に「東京にもいい大学がある」と言われれば、その考え方をのまざるを得なかった。

IMG_3751【2017.8.18】堀川通

 当時はなぜ、京都に憧れていたのだろう。

IMG_3753【2017.8.18】槿の花

 家族旅行や修学旅行、部活動の表彰式で訪れたことのある京都の街の雰囲気が好きだったということ、それは正しい。

IMG_3758【2017.8.18】京都市内にて

 東京のようなひどい通勤ラッシュはなさそうだったし、環境もよさそうだった。

IMG_3763【2017.8.18】無花果(いちじく)

 しかし、それよりももっと重要だったのが、家から離れて自由になりたい、そういう気持ちが強かった。

IMG_3766【2017.8.18】京都市内にて

 両親の目をうかがう、そういう癖があったから、東京にいたら、大学生活が不自由になるのではないかと思った。

IMG_3769【2017.8.18】京都市内にて

 京都は、そういう自由の受け皿としてよさそうだった。

IMG_3773【2017.8.18】京都市内にて

 いろいろな妄想ができた。

IMG_3774【2017.8.18】京都市内にて

 苦しい通勤電車ではなく、古都をかろやかに自転車で通学してみたい。

IMG_3776【2017.8.18】京都市内にて

 週末は、寺院に癒されに行きたい。

IMG_3778【2017.8.18】京都市内にて

 鴨川でデートもしてみたい。

IMG_3782【2017.8.18】鴨川

 そして、夜遅くに帰宅したからといって、誰にも何も思われない。

IMG_3784【2017.8.18】セブンイレブン

 アルバイトも自分のやってみたいことをやってみる。その職種について、何か、口を挟まれることもない。そういう自由が欲しくて、京都はそういう妄想の受け皿として、よかった。 
 しかし、親や教師のいう言葉を「絶対的なもの」として飲みこみがちだった僕は、当時、その妄想を現実のものに変えていくことはできなかった。妄想はあくまでも、妄想のままだった。 
今も京都にやって来ると、そういうことを考えていた高校時代のことを思い出す。
 それから4年が経ち、大学4年生になると「次こそは」という気持ちを自然と抱くようになった。当時の妄想の対象は、韓国・ソウルだった。韓国へ留学をすることを考えた。それについては周囲の人がみな積極的支持を示したわけではなく、「突飛な考え」と思われることも少なくなかったのだが、東京にいて東日本大震災を経験し、「願望を心の中に秘めたまま死んでは、人生とは一体何なのか」という思いを強く、結局、実現させたのだった。韓国での生活は、決してたやすくはなかったけれども、人の縁に恵まれて、とてもよい経験をすることができた。
 思えば僕は、自分の将来のことを考える時、都市のイメージを借りて考えることが多い。そう思う。