地球の覗き方

地球のことをのぞいてみよう

カテゴリ:中国 > 上海市

 春秋航空9C8515便。上海浦東空港21:10発、羽田空港1:00着の深夜便。浦東空港周辺は夜になり、霧が深くなっていた。30分ほど遅れて、搭乗が開始された。

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【2016.3.7】浦東国際空港にて

 中国人乗客と日本人乗客の割合は2対1程度で、春秋航空の路線としては日本人が多いという印象だった。深夜便であるためか機内販売などは控えめで、終始、静かな機内であった。途中、乗客全員にチラシが配られた。

炊飯器表

 ようこそ日本とのメッセージとともに、Panasonicの炊飯器が紹介されている。

炊飯器裏

 日本製の炊飯器はたしかに人気があるようで、上海の伊勢丹でも日本製の炊飯器のコーナーに上海市民が集まってはいたが、そもそも日本と品質の異なる中国のお米をうまく炊けるものなのかはよく分からない。中国では米の消費が、インディカ米からジャポニカ米に移行しつつあるというが、インディカ米はうまく炊けるのだろうか。
 離陸してからは順調な飛行で、約2時間と少しで羽田空港に到着してしまった。中国が、東京からこんなに近いとは思わなかった。羽田空港についてからは3時間ほどカフェで本などを読みながら、始発電車を待った。羽田空港の国際線ターミナルには24時間営業のカフェがあり、こういう時は重宝する。
 なお上海浦東空港は濃霧のため、次の日の朝にかけて多くの便が欠航したそうで、霧が本当に深くなる前に帰ってこれたのは運がよかったと思う。 



 地下鉄2号線「陸家嘴」駅を出ると、浦東新区のオフィス街のど真ん中に出てくる。

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【2016.3.7】上海の高層ビル街

 ビルとビルの間は空中通路でつながっていて、自動車を気にせずに安全に歩くことができる。

IMG_5372【2016.3.7】上海の高層ビル街

 完全に歩車分離がなされているのだが、味気ないと言えば味気ない。全てのものが設計され尽くしている。
 清潔でゴミすら落ちていない。そもそも捨てるゴミがないんだろう。道路上には中国によくありがちな露店がなければ、路面店もない。全てが超高層ビルの中に閉じ込められている。
 IFCモールのお店は何もかもが高い。たまたまIFCモールにCity' Superというスーパーがあったので水でも買おうと思ったら、なんと輸入物の水しかない。欧州産のミネラルウォーターだとか、日本産の富士山のおいしい水がとても高い値段で売られている。僕はあの、2、3元(30円~50円)で買える中国産のミネラルウォーター、農夫山水があればいいのに、中国産のものがない。200円、300円ものお金を出してまで水を買おうとは思わない。ここでは中国産のものが徹底的に排除されているように思える。数少ない中国らしいもの、例えば中国茶の茶葉でさえ台湾のものが並ぶ。
 たしかに中国には、自国の食品に対する漠然とした不安が存在するとは言うが、これだけ自国産のものを排斥してしまうというのは病的に思える。これが中国経済の発展がたどりついた先なのだろうか。経済発展を通じて自国に対する自信を深めるのではなく、自国に対する疑心を深める。

IMG_5376【2016.3.7】上海の高層ビル街

 PM2.5が気になるのか、本格的なつくりのマスクをして歩いている人が多い。 そのマスクはひとついくらするのだろうか。
 中国の経済発展の象徴である浦東新区は、中国人の自国に対する不審というものを象徴的に映しだす場所でもあったのだ。そのような歪みを、僕は好きになれない。



■これまで
#0222.上海の古鎮めぐり - 七宝古鎮 1

 七宝古鎮の奥の方を散策する。

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【2016.3.7】七宝古鎮にて

 左手前に見える、銀杏の木があるところは、南七宝寺という小さなお寺だ。
 ボンネットの上で野菜を干すようすが見える。

IMG_5328【2016.3.7】七宝古鎮にて

 よくみたら車の屋根では靴を干している。なぜ車の上なんだろう。地べたで干すよりは多少、清潔だからかな。
 古鎮の商業化したゾーンと比較すると、生活の臭いが一気に濃くなってくる。

IMG_5330【2016.3.7】七宝古鎮にて

 路地へと迷いこんでみる。

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 抜け出る。

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【2016.3.7】七宝古鎮にて

 カトリック教会(天主堂)を見つける。

IMG_5334【2016.3.7】七宝天主堂

 七宝天主堂はもともと1866年に建てられたが、元の建物は国共内戦により攻撃を受けて崩れたため、1982年に再建したものだという。
 中国の伝統的な街並みの中にカトリック教会があると考えれば異質のように思われるが、その色彩などは周囲とうまく調和していて、異質さは感じられない。異質のように思われながらも、異質ではないという不思議さがある。観光客として中を見学することもできる。

IMG_5339【2016.3.7】七宝古鎮にて

 この街の一番高いところにあるものは、カトリック教会の十字架である。古鎮で庶民の生活を感じられるという点では、とても面白い。
 最後に、ドリアンケーキなるものを売っていたのでひとつ買って食べてみた。

IMG_5347【2016.3.7】七宝古鎮にて

 お金を出そうと財布を開いたとき日本円のお札がみえて、おじさんが「そのお金、どこのお金か」と尋ねてくる。日本円だよといって見せてあげたら、不思議がっていた。

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 中に生クリームがたっぷり入っていて、思ったよりもおいしかった。

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 それにしても上海の都心の駅から地下鉄で6駅という立地に、このような街があるとは思わなかった。

IMG_5351【2016.3.7】七宝古鎮にて

 上海というのは日本で一般的に語られるイメージほどの「経済都市」や「大都会」とは異なるように思う。

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 また、木桶屋さんなどがいくつか見られた。大小さまざまの木桶があって、中には浴槽として使えそうなものまでもある。七宝の名産品だというが、木桶を日本に持って帰るわけにもいかないと思って、ただ見ておくだけにした。

■七宝古鎮
 地下鉄「七宝」駅から徒歩10分
 開放時間:午前8時半~午後9時



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