武道山駅から西安へと向かう列車に乗る前に、腹ごしらえをする。武道山の駅前には、野菜をメインとした食堂がいくつかあるのだが、「野菜館」というストレートな名前の食堂がある。

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【2016.2.16】野菜館

 列車の発車まで小一時間ある。野菜炒めとご飯をたのむ。田舎の食堂が量をたくさん出すのは、日本も中国も同じなのかなあ(笑)

IMG_4038【2016.2.16】野菜炒め

 お腹にどんどん入れていく。

IMG_4037【2016.2.16】野菜炒め

 それにしても中国の野菜炒めは外れがない気がする。炒めたての野菜炒めだったら、どんな野菜でもたいていおいしい。ご飯と野菜炒めさえあれば、中国旅行は向かうところ敵無しじゃないか。

IMG_4040【2016.2.16】野菜炒め

 旅をしているとしばしば不足する、食物繊維やビタミンも十分に摂取ができる。
 お店の中は近所の人たちなのだろうか、おじさんたちが集まって集まって、何を注文することもなく談笑にふけっていてにぎやかな店内だった。

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【2016.2.16】武当山駅

 もともと無座の乗車券であったが、窓口で硬座のチケットに改簽(#0024.中国の鉄道は乗り遅れても大丈夫! - 改簽(改签))することに成功した。

武当山・西安

 K621列車に乗って、西安へと向かう。5時間23分に渡る旅で、午前0時7分に西安駅に到着する。湖北省武漢市の武昌駅を正午ころに出発し、深夜の日付が変わる頃に陝西省の省都・西安、それから甘粛省の省都・蘭州に翌朝8時ころ、そして青海省の省都・西寧に午前11時半に到着する列車だという。23時間半に及ぶ列車の旅のうちの5時間23分に参加するのである。

2016冬 湖北・陝西

 それにしても23時間半にもおよぶ快速列車とは、さすが大陸スケールである。

IMG_4043【2016.2.16】武当山駅

 車内は満員で、座席に座ってからは、身動きひとつできなかった。5時間23分だから、目を閉じればすぐだと思っていたけれども、車内の販売員があまりにもうるさくて、寝ることなんかできなかった。車両の端から端にまで聞こえるような大声で話すことがデフォルトになっている販売員、雑談をしても声が車両の端から端にまで響き渡る。10時を過ぎたころになると販売員が、ここに寝るからと座っていた何人かの乗客をどかして、毛布をもってきて座席に横たわりはじめた。その座席はもともと販売員用の座席で、販売員が仕事をしている間は座席のない乗客に座らせてやるというもののようだったから、乗客をどかすというのも仕方ないかなとは思っていたけれども、満員列車でひとりくつろぎ、iPhoneをいじったり、「Somewhere over the rainbow♪」とか音痴な歌声を披露したり、靴を脱いで、その汚いくさい靴下を乗客のみんなに見せつけていたのには、辟易した。iPhoneをいじるとき、検索語をわざわざ口に出すくせがあって、「新加坡(シンガポール)」とか「星巴克(スターバックス)」だとか大きな声で叫んでいたときはその口を塞いでやろうかと思ったものだったし、寝る、寝るといいながら、寝もせず、「西安駅に着いたよ!」と叫んだかと思いきや、実はまだ「西安'南'駅」だったりしたときなど、この非文明的な販売員、どうにかならないものか、もう中国鉄路なんか乗ってやるかと思っていたけれども、中国人の乗客はどう思っていたのか分からない。僕と同じように呆れていたのか、それとも、面白い愉快なお兄さんだと思っていたかもしれない。もし後者だったら中国人はたくましいと思う。
 ライトアップされた古塔などが見え始めて、ついに西安駅が近づいていることが分かったときは、本当に嬉しかった。ようやくここから解放される。身動きひとつできず、凝り固まってしまった体を動かすことができる。
 西安駅を降りると、空気が今までとは違うことを感じた。 辛い。辛いというのは香辛料の辛さのことをいうのではなく、乾燥していて鼻の奥や喉を刺激する冷たい空気の感覚をいいたいのだ。湖北省から陝西省にやってきたからだろうか。省が変わると、風土もガラリと変わるものらしい。
 もうすでに深夜の12時を過ぎていたが、駅前にはホテルの客引きがごまんといる。もう、西安陽光国際大酒店という西安駅からほど近いところにあるホテルを予約してあるのだ。分かった分かったといいながら、歩いていく。このホテル5つ星なのだが、閑散期には、ダブルルーム、ツインルームがそれぞれ日本円で5900円程度と、日本のビジネスホテルくらいの価格で泊まることができるのだ。さすが中国、物価が安い。朝早く起床し、武当山を登って降りてから、5時間以上列車に乗り、疲労困憊してしまった体。1日くらいいいホテルに泊まって、休ませてやろうじゃないか。チェックインしてからすぐシャワーを浴びて、大きな柔らかいベッドの上に大の字になって寝てしまった。