地球の覗き方

地球のことをのぞいてみよう

カテゴリ: タイ

 バンコクのスワンナプーム空港にあった銀行の広告が印象深かったから、紹介する。

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【2017.11.11】スワンナプーム空港にて

 サイアム商業銀行(ธนาคารไทยพาณิชย์, Siam Commercial)はタイで第3の規模を誇る銀行で、王室系の銀行である。(第1の規模を誇るのが華僑系のバンコク銀行で、第2の規模を誇るのが政府系のクルンタイ銀行とされる)
 僕がタイで愛用する銀行でもある。

IMG_5879【2017.11.11】広告

 広告には、
 
 The Best Thai Bank
 for Opportunites in AEC

 タイ最高の銀行
 ASEAN経済共同体における機会ために

 とあるが、その広告に描かれている国が、

 ミャンマー
 シンガポール
 ベトナム
 日本
 タイ
 ラオス
 中国
 カンボジア

 なのである。
 ASEANに加入されているインドネシア、マレーシア、フィリピン、ブルネイは省略されていて、そこにASEANには加入していないはずの日本と中国が加わっている。特に、マレーシアはタイと国境を接する隣国であるはずだが、国旗がない。
 そこにタイの人々の意識を垣間見ることができると思う。タイがいくらASEANの一員であるとはいっても、同じASEANの加盟国であるインドネシア、マレーシア、フィリピン、ブルネイはさほど重要な隣国とは考えていない。むしろ、相対的に距離の離れた日本や中国に彼らの意識は向いている。
 EUはヨーロッパの地域統合体であり、そこに属する人々は自分たちがEUすなわちヨーロッパ市民の一員であるという自負を持っているように思えるのだけれども、ASEANに関しては各国国民がASEAN市民の一員であるという自負を抱いているようには見えず、さほど求心性のある地域統合体ではなさそうだと常日頃思っていたのだが、こういう広告を見ると、そのことを再確認する。

IMG_5877【2017.11.11】広告

 こちらは各国の伝統的な「お面」で、国際性を強調する広告でとても鮮やかな広告なのだが、そこに表れている国は、

 ミャンマー
 日本
 ベトナム
 中国
 タイ
 カンボジア
 韓国
 ラオス

 である。ここでも、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ブルネイが登場することはない。
 やはりタイ人の意識はASEANというよりは、日中韓の東アジアの方を向いている。


 11月3日がローイクラトン(ลอยกระทง)で、それに続く土日である11月4日と11月5日までチャオプラヤー川の周辺の寺院などで、リバーフェスティバルがおこなわれていた。

 参照 : #1091.ベンジャシリ公園のローイクラトン

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【2017.11.4】ワット・アルン周辺にて

 まず、会場の一つであるワット・アルン(วัดอรุณราชวราราม, Wat Arun)に行く。

IMG_5774【2017.11.4】ワット・アルンにて

 バンコク市内のチャオプラヤー川以西へとやってきたのは、久しぶりだった。
 普段、チャオプラヤー川以東で暮らしているから、このあたりまで足を伸ばすことはまずない。

IMG_5788【2017.11.4】ワット・アルンにて

 ワット・アルンは、2015年に観光目的で初めてタイにやってきた時以来の訪問となる。
 すばらしいところではあるけれども、観光客としては行くところは、居住者になってしまうと疎遠になるものだ。

IMG_5795【2017.11.4】ワット・アルンにて

 仏塔が、ライトアップされている。

IMG_5800【2017.11.4】ワット・アルンにて

 ワット・アルンは10バーツ硬貨にも描かれている、由緒正しい寺院だ。

IMG_5806【2017.11.4】ワット・アルンにて

 各会場には、屋台などが出てにぎわっている。

ロイクラトン3

 開催期間中、午後5時から午後11時まで各会場を結ぶ無料のシャトルボートが運行される。

ロイクラトン2

 その無料のシャトルボートに乗って、会場をめぐることになる。

ロイクラトン1


 スタンプラリーが開催されていて、3つの会場のスタンプを集めると賞品のろうそくがもらえる。しかし、予定より参加者が少なかったのか、1つのスタンプだけでろうそくを一つもらえてしまった。
 また外国人観光客向けの筆記によるアンケートがおこなわれていて、協力したところ、他の賞品ももらえた。

IMG_5808【2017.11.4】ワット・アルンにて

 このイベントはまだ知名度があまり高くないのか、賑わってはいるものの、混雑はしていなかった。

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 ココナッツミルクのアイスクリームを食べる。

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 乾季に入って、夜が蒸し暑くない。
 風がさらさらと吹く。

IMG_5815【2017.11.4】ワット・アルンにて

 チャオプラヤー川を眺める。

IMG_5821【2017.11.4】ワット・アルンにて

 チャオプラヤー川にはたくさんの寺院があって、それらがライトアップされる。

IMG_5826【2017.11.4】ワット・アルンにて

 せっかく、ローイクラトン祭りに来たのだから、クラトンを流すことにする。

IMG_5832【2017.11.4】クラトン

 ろうそくに火をつけて、水に浮かべる。

IMG_5834【2017.11.4】クラトン

 川に流すのではなく、会場に設営された水槽に流す。

IMG_5836【2017.11.4】クラトン

 火は風によって、間もなく消えてしまった。
 それからも、いくつかの会場を回る。

IMG_5847【2017.11.4】ローイクラトンリバーフェスティバルにて

 チャオプラヤー川沿いの寺院を回るには、ちょうどよいイベントだった。

IMG_5854【2017.11.4】ローイクラトンリバーフェスティバルにて

 境内には、賑やかな音楽がかかっていた。


 ローイクラトン(วันลอยกระทง, Loy Krathong)は、タイ陰暦の12月の満月の日に行われる祭りであり、陽暦でいうと大体、11月に行われる。
 2017年は、11月3日がローイクラトンの日だった。

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【2017.11.3】満月

 雨季が明けたばかりの川の水位が最も高い季節に、川の女神「プラ・メー・コンカー(พระแม่คงคา)」へ感謝の気持ちを伝えるために、クラトン(กระทง)と呼ばれる灯篭に火を灯し、流す。

IMG_5632【2017.11.3】ベンジャシリ公園にて

 クラトンは伝統的にはバナナの葉など、自然のものを用いて作られる。

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 そのため最後には魚に食べられて、河川を汚さないことになっている。

IMG_5698【2017.11.3】ベンジャシリ公園にて

 しかしこの頃は発泡スチロールなどの、人工物をまぜたクラトンも少なくなく、ロイクラトンが終わった後に、自治体は河川のクラトンの回収に追われたりするそうだ。
 パンなど魚の餌になるものを用いたものはいいとして、発泡スチロールで作ったものはできるだけ購入しない方がよいと思う。

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 ロイクラトンの日には、バンコクの各地の水辺で祭りがおこなわれる。

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 プロンポン駅前にあるベンジャシリ公園(สวนเบญจสิริ, Benchasiri Park)にも水辺がある。

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 その水辺は川ではなく、池ではあるが、たくさんの人が集まっている。

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 その場でクラトンを買い求めて、クラトンのろうそくに火を灯し、水面に差し伸べる。

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 さらさらとした風に乗って、少しずつ動いていく。

IMG_5685【2017.11.3】ベンジャシリ公園にて

 火はしばらくすると、消えてしまう。

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 まだ火がついているクラトンが、火の消えてしまったクラトンを映し出す。

IMG_5743【2017.11.3】ベンジャシリ公園にて

 深夜10時を回ってからも、たくさんの人が祈りを捧げている。 

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 バンコクの夜は更けていく。


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