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カテゴリ: タイ

 タイ・チェンラーイ県のメーサーイから、ミャンマー・シャン州のタチレクへは陸路での入国が可能だ。国境のミャンマー側の事務所で500バーツ(約1500円)あるいは10ドル(約1050円)を支払い、入域許可証(entry permit)の交付を受けることで、ミャンマーへの入国が可能なのだ。

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【2016.7.7】タイ側国境

 まずはタイ側の国境で出国手続きをする。
 それから橋を渡る。

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【2016.7.7】Go To Myanmar

 橋自体は短い。

GoToMyanmar

 ไปประเทศพม่า
 Go To Myanmar

IMG_0814【2016.7.7】国境

 上の写真で左がタイで、右がミャンマーだ。

IMG_0988【2016.7.7】国境

 上の写真では、左がミャンマーで右がタイだ。いわば、お隣さんは「外国に住む外国人」という状態だ。
 この川の名前はタイの名前で、サーイ川(แม่น้ำสาย)という。雨季は流量が多く、川の水も泥の色をしているが、乾季になると水位がぐっと下がって、無理をすれば歩いて渡れるくらい流量も減るという。そうなると、ミャンマー側からタイ側への麻薬の密輸がおこなわれるようになり、国境警備が忙しくなるそうだ。
 ついに、ミャンマーへと足を踏み入れる。

IMG_0815【2016.7.7】ミャンマーへの入口

 タイ人でもミャンマー人でもない第三国人はミャンマー側のゲートで、入国手続きを済ますことになる。手続きは簡素なもので、何日間滞在する予定かとの質問に答えたあと、パスポートの提示し、入域許可証発行手数料にあたる500バーツあるいは10ドルの支払い、写真撮影をするだけだ。(なお、この入域許可証発行手数料をミャンマーの通貨で支払うことができるのかは分からない。)
 入国審査官同士がミャンマー語で談話しているのを聞き、ミャンマーにやってきたということを実感する。しばらくすると、パスポートの代わりに、入国許可証を渡される。

エントリーパーミット外側

 パスポートは出国時にこの入域許可証を提示することで返却してくれるという。
 入域許可証はこのようになっている。

ミャンマーエントリーパーミット内側

 2016年7月7日から2016年7月20日までの14日間の滞在を許可されている。滞在しようと思えば、2週間、タチレクの町に滞在できるのである。しかし、この許可証だけではタチレクの町の外に出ることができず、町の境界にある検問所を越えさせてくれないそうだ。もし正式なミャンマーへの入国ビザを持っていればタチレクからミャンマーの旅を始めることができるというが、民族紛争の絶えないシャン州内の移動も外国人には制限がかかるそうで、タチレクからヤンゴンなどミャンマー内の他の都市へと航空機で移動するという方法を除くと、さほど旅行の選択肢が多いとは言えない。
 ところでエントリーパーミット、見てみると、何かがおかしい。

Name : N
Father's Name : 27-07-1989
Occupation : JPN

 名前は「N」、父親の名前は「27-07-1989」、職業が「日本」になっている。おい、一つずつずれているぞ。
 テキトーだなあ。

2016年7月 タイ北部6泊7日
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 宿を出て、北へと歩いていく。あと800m、北に歩いていったらタイは終わり、ミャンマーになってしまうのだが。

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【2016.7.7】メーサーイにて

 ふと、トラックの荷台に鮮やかなものが目に入る。

IMG_0774【2016.7.7】メーサーイにて

 なんだろう。ウリ科の植物だとは思うけれども、カボチャなのかメロンなのかはよくわからない。

IMG_0776【2016.7.7】メーサーイにて

 国境付近には市場が広がっている。

IMG_0779【2016.7.7】メーサーイにて

 青いバナナが売られている。こういうバナナは追熟させて黄色くなってから食べるというよりは、調理用のバナナとして青いうちに食べてしまうものなのだとか。
 民族衣装を纏った女性が何かを売っている。

IMG_0780【2016.7.7】メーサーイにて

 籠に売りものを入れてやってきたのだろうか。
 女性の頭の上へと目をやると、電信柱の電線に、傘がかけられている。電線を雨よけに使うこともできるのか。そういえば上海では、電線に洗濯物をかけていたっけ。(#0194.上海は洗濯日和)
 メーサーイ(แม่สาย)の目抜き通りであり、国道1号線へと出る。

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【2016.7.7】メーサーイにて

 このあたりはお土産屋さんのほか、華僑が経営している、銀行、薬局、電器店などが目立ってみられた。メーサーイには華僑が目立つ。近くには、清萊府美賽光明華僑公學(チェンラーイ県メーサーイ光明華僑学校)という華僑の学校や、Chao Por Tham Kob Shrine(ศาลเจ้าพ่อถ้ำกบ)といった廟がみられたりもする。
 奥に見える青い屋根の建物が、タイ側の国境ゲートである。

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【2016.7.7】メーサーイにて

 全長1005kmの国道1号線の最北端であり、終点である。

IMG_0793【2016.7.7】メーサーイにて

 ミャンマーとの国境といえば、地の果てというイメージを持っていたけれども、いざ来てみると国境ゲートまで建物は密集しているし、銀行もあれば、セブンイレブンもあって、なかなか拓けたところである。

IMG_0809【2016.7.7】国境ゲート(タイ側)

 車両が列を為している。ソンテオやトゥクトゥクなども国境を跨ぐのだが、メーサーイの町にはミャンマーのナンバープレートをつけたソンテオやトゥクトゥクなどを見ることができる。人々の生活は国境を跨いでいるのである。
 国境は川で、その上をかかっている橋を渡ることでミャンマーへと行くことができる。ミャンマー側の町の名前は、タチレク(Tachileik, တာချီလိတ်မြို့)という。

IMG_0804【2016.7.7】タイ・ミャンマー国境

 陸続きの国境というものを持たない日本に住む我々にとって、国境というと何か「すごい」もののように感じられるけれども、実際、来てみるとあっけないものだと思う。
 タイ人、ミャンマー人以外の外国人がこの橋を渡りミャンマーに入国するには500バーツ(あるいは10ドル)を支払い、入国許可証を交付される必要があるが、メーサーイ在住のタイ人は10バーツ、それ以外のタイ人は50バーツを払えばこの橋を渡りミャンマーに入国できるというし、ミャンマー人はタイ側で入国許可証と20バーツを支払うだけで入国できるというから、国境の橋も彼らの感覚からしたら、通行料のかかる橋程度でしかなさそうだ。

IMG_0801【2016.7.7】タイ・ミャンマー国境

 橋のふもとには、国境をながめられる食堂などがある。「国境をながめられる」といえばなんだかすごいような気がするが、先ほど述べたように、それはただの泥の川であり、言われてみれば国境だったという程度のものでしかないのだが。

IMG_0800【2016.7.7】メーサーイにて

 それでも木の向こうにみえるピンク色の看板にはビルマ文字がみえるので、向こう側がミャンマーであることも事実なのだろう。
 さて、この橋を渡ろうではないか。

2016年7月 タイ北部6泊7日
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 メーサーイ(แม่สาย)で泊まったホテルは、ピヤポーンプレイスホテル(Piyaporn Place Hotel)というホテルで、タイ・ミャンマー国境から800m、徒歩約10分の距離にある。
 ダブルベッドの部屋が1泊800バーツ(約2400円)で、部屋は清潔で広く、窓が大きい。バスタブもあって、温かい水がきちんと供給されているので快適に過ごすことができる。 
 タイ最北部の町で迎える七夕の日の朝は、生憎の雨模様だった。日本にいても、タイにいても、彦星と織姫は結ばれないものらしい。

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【2016.7.7】メーサーイの町

 朝になると、夜には見ることのできなかった町の全容が明らかになるから面白い。
 ところでホテルの裏手にあるあのお寺は何だろう。

IMG_0759【2016.7.7】ホテルの裏手の寺院

 法輪に、鹿。チベット仏教の象徴ではないか。
 
 ■参照
 #0319.石蓮寺 - 束河古鎮を見下ろすチベット寺院

 雲南省の麗江や、シャングリラ(香格里拉)でみた、チベット寺院で見慣れたあの法輪と、鹿のすがたをタイ、ミャンマー国境のこの町で目にすることになるとは思わなかった。
 地図をみると、このメーサーイという町、バンコクから直線距離で750kmであるのに対し、中国の雲南省昆明に対しては約580km、雲南省麗江に対しては約710kmであるなど、タイの文化の中心バンコクよりも、昆明や麗江の方が近いことを考えると、チベット的なものがタイ最北部の地に入り込んでいたとしても、さほど不思議ではないし、そもそもあのような意匠を寺院に用いているからといって、それがチベット仏教の寺院だと断定できるものではないが。
 ホテルは幹線道路沿いにある。タイの国道1号線で、バンコクからこのメーサーイの町を結ぶ総延長1005kmの道路である。

IMG_0765【2016.7.7】国道1号線

 その1005kmも、ここから800m先にあるタイ・ミャンマー国境で終わるわけである。パホンヨーティン通り(ถนนพหลโยธิน)とも呼ばれている。
 ビュッフェ形式の朝食がついている。

IMG_0766【2016.7.7】朝食

 生姜のきいたお粥が一番、おいしかった。

IMG_0769【2016.7.7】ホテルにて

 外にでかける準備をする。

IMG_0770【2016.7.7】ホテルにて

 ホテルは華僑によるものなのか中国語で「歡迎光臨」と書かれている。そして、ミャンマー国境の町らしく、ミャンマー語の表記もある。 
 雨が降りやんでいたので、タイ・ミャンマー国境へ向けて歩いていくことにした。

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