地球の覗き方

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カテゴリ: ジョージア(グルジア)

 昨日は貸切浴場を満喫したので、次は公衆浴場に行くことにした。リラックスするには貸切浴場が一番だろうが、ジョージア人の生態を観察するには公衆浴場でなければならない。まず向かったのは「Bath №5」。

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【2015.8.23】Bath №5

 入浴料は3リラ、たったの150円。貸しタオルと、ジョージア柄の垢すりタオルを購入する。脱衣室は煙草の匂いがする。番頭さんとお客さんが、煙草を吸いながら世間話をしている。ジョージアの公衆浴場は、全裸で入る。日本とまったく同じである。ジョージア人は日本人と同様、すっぽんぽんで入るお湯の素晴らしさを知っている。石鹸、シャンプー、リンス、歯ブラシ、剃刀をもって浴場に入る。そこで目に飛び込んできた光景とは・・・。

・すっぽんぽんのまま、浴場の配管で懸垂運動をする人
・すっぽんぽんのまま、腕立て伏せをしている人
・すっぽんぽんのまま、腹筋運動をする人
・すっぽんぽんのまま、チーズとワインを楽しむ人
などなど・・・

 ほう、これはすごい。垢すりをするおじさんは水着を着用している、さすがに無防備ではないのか。全裸で懸垂運動をすると、筋肉の動きがよくわかる、何かの医学書みたいだ。それにしても、人気のある公衆浴場であるからか、人が多い。
 湯船に入る前に、体を洗う。体は、立ったまま洗う。ジョージア人もみなそうしていたから、湯船に入る前に体を洗うのは、ジョージアでもマナーであるようだ。そして、湯船に入る。泉質は、これもまた立派な硫黄泉である。すぐ、肌がつるつるになった。素晴らしいお湯に、目の前に繰り広げられる光景に、僕は飽きることがなかった。それにしても、ジョージア人は胸毛がすごい。背中の毛だってもさもさの人がいる。体毛の少ない僕は、なんだかひとり、コドモのように感じられて気恥ずかしかった。身長だったら180を超えているから、負けていないんだけどなあ。果たして、女湯はどうなっているんだろう。しかし、知る術もない。浴場には昨日の貸切浴場にあったような石のタイルで装飾されたベッドがあったので、ジョージア人がするように、僕もすっぽんぽんのまま寝っ転がり、また湯船に入りを繰り返した。
 温泉は小一時間、満喫してから、体を拭き、服を着る。とデジタル一眼レフをぶらさげて、さて出ようかとしたところ、おじさん3人が「俺たちのことを撮ってみろ。」とサインを送ってくる。脱衣室で写真撮影もオッケーなのか。背景に全裸の男性が写らないタイミングをみはからって、「One, Two, Three」の合図でパシャリ。

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【2015.8.24】おじさんたち

僕「おなかぽんぽんだね。」
おじさん「そうさ、おなかぽんぽんさ。」
おじさん「ジョージアはハラショー(ロシア語でgoodの意味)かい?」
僕「ハラショーさ。」

 ジョージア語もロシア語も解さないので、ジョージア人とはほとんど、コミュニケーションがとれなかったが、「ジョージアはどうだい?」という質問は、よくされていたと思う。

 夜に向かったのは、「QUEENS Bath」。ここも、公衆浴場である。トビリシで3回目の温泉体験だ。

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【2015.8.24】QUEENS Bath

 脱衣室で服を脱ぎ、荷物をロッカーに入れる。荷物をロッカーに入れると、番頭さんが鍵をしめてくれる。すぐにほてってしまってはもったいないと思い、さきほど商店で買った冷たいペットボトルの水を浴場に持ち込む。

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【2015.8.24】脱衣室

 浴場はNo.5よりも「Bath №5」よりも広い。湯船も、広くて深めだから、すっぽんぽんのままお湯に飛び込んだり、泳いだりしている人もいる。ああ、フリーダムだ・・・。そして、「Bath №5」ほど人の密度も高くない。
湯船に入っていると、少しばかり英語を解するジョージア人男性が近づいてきて、「日本人か?」ときいてくる。

男性「日本人か?」
僕「うん。」
男性「東京?大阪?名古屋?」
僕「(名古屋?なんで名古屋なんか知っているんだ。)東京だよ。」
男性「柔道をやってるんだ。」

 と明かしつつ、日本の柔道選手の名前を挙げていく。柔道をやっているのか。ああ、言われてみると、体つきのがっちりとした人だ。日本に親近感を抱いている人に会うということは、どの国であれ、嬉しいことだ。名古屋を知っているのも、柔道の大会がどこで行われているかということに関心があったからという。こうして僕は、ジョージアで「裸の交流」を実現したのである。

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【2015.8.24】脱衣室

 営業時間も終わりに近づき、出ろとの合図がなされる。ああ、いい湯だった。硫黄の匂いに、髪の毛を濡らしたまま、夜風にあたりにいく。そのまま、ナリカラ要塞(ნარიყალა, Narikala)にのぼり、トビリシの夜景をながめる。高台にあり、周囲に遮るもの、ひとつもないから夜風がひときわ心地よい。次の日、トビリシを発ち、アルメニアへと向かわなくてはならないことを惜しく思う。自ら計画した旅行なんだから予定を変更したっていいのだが、そういうことを繰り返していると、もっと素晴らしいものに出会える機会を逃してしまうような気がするから、やはりトビリシは発たなくてはならなかった。

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【2015.8.24】ナリカラ要塞(ნარიყალა, Narikala)からの夜景

■Bath №5
料金:3ラリ(公衆浴場・男女別), 貸しタオル別料金
営業時間:午前8時~深夜

■QUEENS Bath
料金: 4ラリ(公衆浴場・男女別), 貸しタオル別料金

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 ジョージアの港湾都市バトゥミ(Batumi)から首都・トビリシまで約400kmの道のりをミニバンに7時間揺られ、日没後、トビリシ中央駅に降り立つ。そこから郊外までトビリシメトロで移動し、深夜、宿に到着したものの、その日から予期しない「断水」が始まり、水が出ないという。水洗トイレは使えないし、シャワーも浴びられない。従業員のおばさんは「たいてい、日付が変わることになれば復旧するわよ。」というので、とりあえず寝てから様子をみることにした。7時間の移動により体は疲れ切っておりぐっすり寝られたのだが、早朝になっても水は出てこない。宿のおばさんが、ドアの前に10リットルの水のタンクを置いておいてくださったので、歯磨きと洗顔は済ませたのだが、冷水を浴びる気にはならず、シャワーを浴びずに、外に出た。都心と比較すると、郊外のインフラは脆弱である。宿泊費が安いところには理由がある、そのことを実感せざるを得ない一件であった。
 しかし、悲観はしていなかった。トビリシには温泉がある。宿のシャワーが使えないのなら、温泉に行けばいい。かんかんの日差しが照り付けるトビリシの街を歩き回り、くたくたの脚でやってきた、アバノトゥバニ(აბანოთუბანი)。旧市街に位置し、トビリシの主要な観光地のすぐ隣にある。おお、ほのかな硫黄の匂いがする。本当に、温泉郷なんだな。温浴施設はいくつかあったが、どの施設を利用するのがよいのか、判断する情報も資料も持ち合わせていなかったので、こういう時は、当てずっぽうで入るしかない・・・。

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【2015.8.23】Bath Fantasy

 僕が選んだのは「Bath Fantasy」。
 建物に入ろうとしたところ、建物の前におかれたベンチに座っていた、髪のまだ乾ききっていないおばさんが「私たちのこと、撮ってよ♥」と、話かけてくる。もう片方のおばさんは、「恥ずかしいわよ、いやよ♥」とでも言いたさそうに恥ずかしがるのだが、「はやく、今よ、撮りなさい♥」と指示を出してくるので、パシャリ。

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【2015.8.23】おばさん

 ジョージア(グルジア)の空気はなんだか緩い。温泉に、ワインに・・・。「人生一度しかないんだから、一生懸命働いてどうするのよ。一回きりなんだから、休まなきゃ。」とでも言いたさそうだ。「人生一度きりなんだから休むのが一番だ」とは、この日本社会では共感される価値観なのだろうか。

 小さい個室と大きい個室が空いている。どこにするかという。ひとりしかいないんだから、小さい個室でいい。30ラリ。貸しバスタオルが2ラリ。飲み物はどうかという。では、紅茶を。たしか10ラリ。日本円で、2000円から2500円程度。「服を全部脱いでから入ってね。」という。やった、久しぶりの全裸だ! トルコ・グルジア(ジョージア)・アルメニア旅行も10日目。最初に訪問したトルコでも、それはまた素晴らしい泉質の温泉に入ったのだが、トルコの浴場は水着やタオルの着用が必須で、全裸になれないことが唯一の不満であったのだ。「この腰にまとわりついている布さえなければな・・・。」やはり、お風呂は全裸で入りたい。完全に解放されたい、原始に帰りたい・・・。

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【2015.8.23】体を洗う

 お湯は透き通っていたが、匂いの強いしっかりした硫黄泉であった。貸切浴場で、この硫黄泉を思う存分に楽しめると思うとぞくぞくする。とりあえず、シャワーを浴びて、湯船に入ることにした。

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【2015.8.23】いざ入浴!

 入浴する前に自撮りを。硫黄泉に、スマートフォンやらカメラを持ち込むのは、人生、初めての体験だ。貸切浴場だから誰も咎めまい。湯船につま先を入れようとした瞬間、ドンドンドンとドアを叩く音が聞こえ、急いでタオルを巻き出ると、従業員が紅茶を持ってきてくれていたのだった。

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【2015.8.23】紅茶

 お湯に浸りながら紅茶を楽しむことにした。お湯は、長時間の入浴にはやや熱かったため、水で割ってから楽しむことにした。

IMG_7303【2015.8.23】浴室

 紅茶は、トルコのチャーイと同じものだった。温浴施設の建築そのものもそうだが、ジョージアの温浴文化はたぶんにトルコの影響を受けているんだと思う。トルコはイスラム教圏、ジョージアはキリスト教圏ではあるものの、癒しが目的の温浴文化は宗教の壁なんかいとも簡単に越えてしまうのだろう。
 ほてってきたら、横にある石のベッドに横たわり、体が冷めてきたらまた湯船に入り・・・。これを紅茶を楽しみつつ・・・。何回繰り返しただろうか。気が付いたら、1時間半もの時間が経過していた。旅の疲れはすっかりとれた。これで、旅の残りもがんばれそうな気がする。
 ところで、レモンティーを飲めるようにとお盆にはレモンが用意してあった。もちろん、レモンティーとして飲むのもよかったけれども、ほてった体にレモンをそのまま齧ってみるのもとてもよかったので、この感覚はぜひ、みなさんにも経験していただきたい。

■Bath Fantasy
貸切浴場のみ
料金:個室のサイズにより、30ラリから100ラリまでさまざま。貸しバスタオルは2ラリ。紅茶は10ラリ。なお、今回は試してみなかったが、垢すり・マッサージは20ラリ。
石鹸、シャンプー、ひげ剃り、歯ブラシなどは持ってくるのがよいでしょう。

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 ジョージア(グルジア)の首都トビリシ。「トビリシ」の名は「あたたかい」という意味をもつグルジア語の古語に由来しているという。王様が、この地にある温泉を大変気に入り、新都市の建設を命じたという。温泉が、一国の首都を作り上げたのだ。温泉好きを自負する日本人も、顔負けである。大和民族は、いい温泉があるからといってそこに首都を建設するようなことはしなかったのだから・・・。
 つまり、トビリシの本質は、温泉にあるといっても過言ではないだろう。アバノトゥバニ(აბანოთუბანი, Abanotubani)は、トビリシの旧市街、クラ川のほとり、ナリカラ要塞の真下にに位置する温泉郷である。

アバノトゥバニ

 アバノトゥバニ(აბანოთუბანი)は、ほのかに硫黄の匂いが漂う。アバノトゥバニには温浴施設や、ホテルなどが立地する。公衆浴場や、個室の貸切風呂、またそのふたつを兼ねそろえる施設がある。今回のトビリシ滞在中には、「Bath Fantasy」の貸切風呂と、「bath No.5」と「QUEENS Bath」の公衆浴場を体験した。

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【2015.8.23】アバノトゥバニ

 中央に小さな川が流れていて、ほのか硫黄に匂いがするから、なんだか、日本の温泉郷のような空気感がある。右の奥にみえるイスラム式の建物も温浴施設だそうだが、残念ながら工事中であった。このハマム(イスラム式温浴施設)は1800年代にはすでに今と全く同じ姿で、この地に立っていたそうだ。

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【2015.8.23】アバノトゥバニ

 これらの円形のドームの下が浴場となっている。換気や採光に適した構造となっているのだが、これはトルコのハマムと類似している。

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【2015.8.23】アバノトゥバニ

 円形のドームの上では、子供たちが遊んでいた。これが、アバノトゥバニの日常の風景なんだと思う。僕ものぼってみたところ、石があたたかくて気持ちよかったから、のぼってしまう気持ちは分かる。なぜあたたかいのかといえば、ドームの下にある温泉によってあたためられたから、といえばなんとなく素敵な気がするけれども、実際のところは日の光によってあたためられたのだろう。

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