地球の覗き方

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カテゴリ:中国 > 福建省

■これまで
#0125.厦門の名刹「南普陀寺」  1

 南普陀寺の裏手にある山、五老山を上っていく。すぐ汗だくになる。

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【2015.10.30】南普陀寺

 中国国内では有名な観光地らしく、中国全土から観光客がやってきているようだった。朝鮮族の朝鮮語なんかも聞こえてきた。

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【2015.10.30】コカ・コーラ

 途中、コカ・コーラを飲んで、休む。コカ・コーラは中国語で「可口可樂」と書く。音も似ているし、「口によし、楽しむべし」という意訳もうまく決まっていて、みるたびに感心する。
 それにしても中国の人たちはたくましい。明らかに山をのぼるようなスタイルではない、化粧をしっかりして、おしゃれをした女性も、日傘を片手にどんどん上っていく。
 途中、東屋があって、視界が開ける。厦門市内が一望できる…。

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【2015.10.30】靄がかかる厦門市内

 南普陀寺や厦門大学、それと厦門市内が一望できはするが、大気の状態はさほどよくは無かった。空は青くみえるから、てっきり、大気の状態は悪くないんだと思っていたが、こうやって見下ろしてみると、よくなかったということが分かる。
 みな汗だくになっていて、男たちは上半身、裸の人も多かった。なんだか南方らしい景色である。

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【2015.10.30】登りきる

 登り切ったが、入場料の高い植物園と、小さな売店があるくらいだった。そして、多くの人たちが休みをとっていた。ベンチに座っていたおじさんが、自分のラジカセからあまりもの音量で音楽を流していたから、売店からおじさんが出てきて「ちょっと音を下げてくれ」といい、ベンチに座っていたおじさんが音量を下げるというやりとりを目撃した。中国の人も、あまりうるさいのは好きではないらしい。

IMG_0725【2015.10.30】頂上付近

 残念ながら一番上まで上ったからといって、何か特別なものがあるというわけではなかったけれども、上に何があったのかという疑問を抱えたまま厦門を去るのはなんだか心残りだったはずだから、その疑問を解決してやったということでよしとしよう。
 折り返し、下へと降りていくと、いろいろな人から「あとどれくらいで頂上か」との質問をされる。この暑さの中、みんな、よくも上っていくなあ。
 降りていくと、石の蔭に何かがあった。

IMG_0741【2015.10.30】石の蔭

 なんだろう。家で捨てられなかった、仏様の墓場だろうか。

IMG_0738【2015.10.30】内部

 詳しいことはよくわからないけれども、捨てたら縁起の悪そうなものをこうやってお寺に返すという形で処分するということは、日本にもあるし、中国でもそうなんだと思う。

IMG_0737【2015.10.30】内部

 山の入口まで戻ってきた。

IMG_0744【2015.10.30】仏

 「佛」という立派な文字が岩に刻まれている。

IMG_0751【2015.10.30】池

 池では、多くの人たちが、硬貨を投げるのに いそしんでいた。池の真ん中に浮いている灯篭の中に投げ込めたら、幸運なんだろう。どこの国の人も、池の真ん中にああいったものがあると、小銭を投げ込んでしまう。人間の本能がそうさせているような気がする。

■南普陀寺
 住所:厦門市思明区思明南路515号
 時間:午前4時半~午後8時
 バス:1,15,21,45,751,841,959路バス「厦大(厦門大学)」バス停下車すぐ



 厦門の名刹として、「南普陀寺」というのがある。唐の時代に建立された、仏教寺院で1000年以上の歴史を持つという。浙江省の舟山群島にある中国四大仏教名山のひとつ「普陀山」に対し、南側にあるから「南普陀寺」だという。

厦門・金門

 南普陀寺まではバスに乗っていく。厦門大学の近くにあるので、厦大(厦門大学)行きのバスに乗り、厦大の停留場で停車すればいい。厦大が終着地となっている路線もあるので、それに乗れば迷いにくいと思う。

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【2015.10.30】バス

 バスは道の広くない、厦門市内を縫うように進んでいった。そして、厦門大学の停留場で降り、「南普陀寺」 へと歩いていく。
 厦門は華僑の故郷というが、南普陀寺もはやりそうで、東南アジアの中華系の寺院の僧侶などを輩出した寺院であり、海外からも慕われているという。
 寺自体は1000年以上の歴史を誇るが、建築としてはさほどは古くない。度重なる再建などで、20世紀、あるいは最近に建てられた建物が多く、今もいくつかの建物は改築中で、入ることができなかった。

IMG_0680【2015.10.30】南普陀寺

 端正で、上品なたたずまいである。

IMG_0684【2015.10.30】南普陀寺

 中国の人たちはなかなか信心深い。この寺院では基本的に歴史に重んじるためなのか、簡体字ではなく、伝統的な繁体字が使われている。やはり繁体字の方が、親近感を感じる。
 なおこの寺には「閩南仏学院」という中国政府が公認した仏教僧の育成学校がある。中国全土の仏学院としてはトップを争う、エリート校だという。境内には僧のすがたが時々みられたけれども、若い彼らはそこの学生さんだったのだろうか。

IMG_0756【2015.10.30】南普陀寺

 このお寺は五老山という山の麓にあり、裏手を登っていくことができる。

IMG_0731【2015.10.30】南普陀寺

 地面に横たわってる、赤いあれは何かというと…。

IMG_0701【2015.10.30】南普陀寺

 このように地べたに膝をついて、祈祷をする人たちのための思いやりである。中国の他にも、台湾などの中華圏で、よくみられたと思う。
 それにしても暑い。10月も終わりだというのに、30度近い気温がある。山の上まで上ってみようか、やめようか。しかし一度上ろうと思ったものを折り返すのもなんだかくやしいような気がするから、仏教修行のつもりで、上まで上ってみることにする。

■つづき
#0126.厦門の名刹「南普陀寺」  2



 廈門の街並みは、台湾のそれに似ている。建物の1階の一部分が通路として共有されている。(実質的には、その区画で商業活動をしているお店が自由に使用できるスペースとして利用されていて、完全な通路として機能しているとはいえない。)

IMG_0599【2015.10.29】廈門の街並み

 これはシンガポールや香港などの植民地で形成されたものを、華僑たちが故郷に持ち帰ったもので、世界にたくさんの華僑を送り出した、福建や台湾に広くみられるものである。シンガポールではイギリス人が「中華の人間は、道で商業活動をするから馬車の交通に問題が及ぶ。ならば、馬車の道と人の道を徹底的に分離してしまおう」と考えた結果生まれたものであり、香港ではこれもまたイギリス人が「人口密度がひどく高く、少しでも、建物の延床面積を増やす必要がある。ならば、建物を道の上にせりだしてもいいことにしよう」と考えた結果、生まれたものだという。経緯は違うが結果的にほぼ同じものが形成され、南方中華圏に広がった様式だ。

IMG_0636【2015.10.29】夜市

 中山路には、台湾の夜市を彷彿とさせる一角もある。中国と台湾は実質的に、別個の国家として認識されているが、中華人民共和国の福建省であれ、台湾であれ、文化的には非常に似通っている。同じ中華人民共和国の北京と台湾を比較すると、文化的にも全く異なる別個の地域であるように思われるが、廈門と比較してみると、むしろ違う国であることが不思議なくらいである。台湾自体、清の統治下では福建省に属していたことがあったことを考えると、ここら辺の地域は当然、切っても切れない存在なのである。
 だから廈門は「簡体字の台湾」のようにみえる。逆にいうと、台湾は「繁体字の福建省」なんだろう。両者の間のもう一つの大きな違いは、日本の植民地支配を受けたか、受けないかという点にあり、ふたつの地域を別個のものにしているが、ベースは同じなんだということがよく分かる。
 夕食は、中山路にある宮廷月亮蝦餠南望斎で、閩南小吃とした。

IMG_0609【2015.10.29】宮廷月亮蝦餠 - 南望斎(南中店)

  店内は清潔で明るい。
 
IMG_0619【2015.10.29】宮廷月亮蝦餠 - 南望斎(南中店) 

 Wifiもあるし、充電のできるコンセントもあったりして、くつろげるようにしたんだろうけれども、僕が入店した時にはいかんせん人が多くて、食べ終わったらすぐどかなくてはならないような雰囲気ではった。
 まず、店員からカードをもらって金額をチャージする。そして、全ての金額を使い切れなかったら、払い戻してもらえばいいと筆談によって理解。
 完成を待つ。店員はしっかりマスクをしていて、衛生的だと思う。

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【2015.10.29】牡蠣オムレツ

 牡蠣オムレツ登場。

IMG_0623【2015.10.29】牡蠣オムレツ

 タレがしっかりと甘い。熱々の白米があったらいいんだけれども、どんな料理が出てきても白米を欲しがるのは邪道なのかな。
 次は、粽。

IMG_0613【2015.10.29】粽

  ピーナッツソースとチリソース(辣醬)をかけてある。台湾でも、ピーナッツソースをかけて食べていた。中国国内では廈門の粽といえば、辛い調味料をかけることが特徴として認知されているらしい。
 そして、最後に沙茶麺。これも廈門の名物で、厦門中で見かけることができる。

IMG_0615【2015.10.29】沙茶麵

 沙茶醤(ピーナッツベースのタレ)をたっぷり使った沙茶麺。香草に揚げ豆腐に、豚のモツや魚のつみれまで入っていた。僕にとってはなんというか、把握しがたい、複雑な味だった、あまり好きになれない。
 3つ頼んでお腹がいっぱいになってしまった。「小吃」と名乗っているけれども、ちっとも「小」ではない・・・。

■宮廷月亮蝦餠 - 南望斎(南中店) 
簡体字店名:宫廷月亮虾饼 - 南望斋(南中店)
住所:思明区中山路109号 


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