地球の覗き方

地球のことをのぞいてみよう

カテゴリ: ウズベキスタン

 ヒヴァのイチャン・カラの中央にはジュバ・モスク(Djuma Mosque)というモスクがある。2500平方メートルの広さをもつ大モスクで、212本の木の柱が立つ礼拝場が印象的なモスクだ。

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【2014.7.20】ジュバ・モスク(Djuma Mosque)

 そのモスクに高さ33mのミナレットがある。なぜ、ヒヴァの人たちは高いミナレットを競い合って建てたのだろう。ジュバ・モスクのミナレットにしろ、イスラム・ホジャ・ミナレット(#0235.宝石箱のようなヒヴァの街並み 2)にしろ、カルタ・ミナル(#0231.穏やかなヒヴァの空色)にしろ、この小さな街にそれほど高いミナレットは必要はない。顕示欲の強い支配者がいたんだろう。

IMG_6374【2014.7.20】ヒヴァの街並み

 螺旋状の階段を上ると、外がみえる小さな部屋がある。
 ヒヴァのミナレットは大体はこのように、「見晴らしのよいところ」として使われているだけで祈りの時間を告げるアザーンを流したりはしない。

IMG_6376【2014.7.20】ヒヴァの街並み

 たくさんの古い宗教建築などが並んでいるが、信仰の匂いが薄れてしまったものも多くて、生活感の溢れる都市というよりは遺跡に近いようにも思える。

IMG_6384【2014.7.20】ヒヴァの街並み

 ヒヴァは「博物館都市」というキャッチコピーでこの街をアピールしていた。ただ、中世の建築がまとまって残っていることをアピールしたかっただけなのだろうけれども、僕には、それらが今となってはただの展示品でしかなく、かつて栄華や活気の失われたもぬけの殻であるということを自認しているような表現に思えた。ヒヴァ・ハン国の中心地も今や、ウズベキスタンという国の辺境の小さな町に過ぎない。
 高さの高いミナレットだけではなく、ずんぐりとした小さなミナレットもある。

IMG_6387【2014.7.20】小さなミナレット

 それにしても昼になって、いよいよ暑くなってきた。

IMG_6389【2014.7.20】ヒヴァにて

 この街にはあまり日蔭がない。やはり樹木の少ない、砂の街だ。

IMG_6390【2014.7.20】ヒヴァにて

 建物の前に土産物が置かれているが、あまりにも暑いし、客もやってこないからか、店主のすがたも見当たらなかった。

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【2014.7.20】カルタ・ミナル

 ウズベキスタンの夏は厳しい。
 ひどい乾燥という環境に置かれ、連日強い紫外線を浴びたせいか、唇がささくれ立つ。髪は傷み、皮膚の日焼けもひどい。皮膚に触れてみると、砂でざらざらしている。

IMG_6397【2014.7.20】ヒヴァにて

 イチャン・カラの規模はさほど大きくはないから、半日ほどあれば大体のものを見て回れてしまう。

IMG_6405【2014.7.20】ヒヴァにて

 市場というわけではないがそれでも土産物を売る露店が並ぶと、中世のバザールを想起させるような風景が目の前に広がる。

2014年 夏ウズベキスタン7泊8日
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 イスラム・ホジャ・ミナレット(Islam Khoja Minaret)へと向かう。

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【2014.7.20】イスラム・ホジャ・ミナレット(Islam Khoja Minaret)

 塔の内部の狭い螺旋状の階段を上る。急で、息が上がる。高さ45mの頂上につく。

IMG_6368【2014.7.20】内部

 1908年に建てられたものだ。20世紀初頭の建築なので、建設には産業革命以降の新しい建設技術も採用できたはずだが、伝統的な方式にこだわったという。そのため木造である。
 景色がよい。

IMG_6349【2014.7.20】ヒヴァの街並み

 45mでも十分に高い。もしカルタ・ミナル(Kalta Minor)が100mの高さにまで建てられていたら、どれだけ高さを感じられただろう。

IMG_6352【2014.7.20】

 頂上の狭い部屋で、ウズベキスタンの青年たちが僕らに「こんにちは」と挨拶をした。それから、日本について知っていることがあると、「Nakata」、「Honda」、「Kagawa」の名前を挙げてくれた。世界でのサッカー選手の活躍が、ウズベキスタンの田舎町のミナレットの狭い部屋で小さな国際交流の機会をくれている。
 彼らはヒヴァの住民ではなく、ウルゲンチからやってきた住民だという。友人がもっていたiPhone5に関心を持っていた。彼らの話によれば、当時、ウズベキスタンではiPhone5がまだほとんど流通していなかったという。ウズベキスタンでは主に、先進諸国で型落ちしたスマートフォンが輸入され、安価に取引されているようである。

IMG_6350【2014.7.20】ミナレットからの眺め

 砂漠の中のオアシスに発展した都市で、耕作地などが見える。

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【2014.7.20】ヒヴァの街並み

 ミナレットの影がヒバの街並みにすっと伸びている。

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【2014.7.20】ヒヴァの街並み

 日蔭に観光客を目当てとした、露天商などが出てきた。

IMG_6356【2014.7.20】ヒヴァの街並み

 空が美しい。

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 【2014.7.20】ヒヴァの空

 しばらく風を感じてから、塔を下りた。

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 ウズベキスタン旅行も残り2日となった。この日ヒヴァを観光したあと、夕刻にウズベキスタン航空の国際線でタシュケントに戻る。翌日、タシュケントを観光後、夜にアシアナ航空に乗り、韓国へと戻る。
 ゲストハウスの目の前にはイチャン・カラの城壁が見える。

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【2014.7.20】ヒヴァ

 ちょうど西門が目の前にある。

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 朝食の準備ができるまで、外を散策する。

IMG_6313【2014.7.20】イチャン・カラの城壁の外側

 イチャン・カラの内側だけではなく、外側にもモスクなどがある。
 朝ごはんを食べる。

IMG_6315【2014.7.20】朝食

 朝は風が吹いて、涼しかった。
 こおろぎや鈴虫などが鳴く音も聞こえて、まだ7月だというのに夏の終わりが近づいているように感じられた。朝の気温は20度前後だったと思う。これが昼には40度近くまで上がる。夏のウズベキスタンでは、現地人のように朝と夜だけ活動して、昼は涼しいところで昼寝に徹するのがよさそうだけれども、昼の強力な陽の光を反射して光り輝くウズベキスタン建築の青いタイルも美しくて、昼という時間を放棄することも惜しいように思う。

IMG_6316【2014.7.20】朝食

 ウズベキスタンはやはり果物がおいしい。乾燥地帯の果物は、甘さがぎゅっと凝縮する。
 西門から入って、カルタ・ミナル(Kalta Minor)のすぐ隣にあるホテルを見学する。もともと、イスラム教の神学校、マドラサだった建物で、現在はホテルとして利用されている。建物そのものがユネスコの世界文化遺産に指定されている。

IMG_6328【2014.7.20】Orient Star Khiva Hotelにて

 ホテルの名前はOrient Star Khiva Hotelで、19世紀中盤に建てられた建築だ。季節ごとに料金は異なるが、シングルルームは60ドル、ツインルームは75ドル程度だ。

IMG_6335【2014.7.20】Orient Star Khiva Hotel

 ところでウズベキスタンにはシングルルームというのが多い。なぜだろう。ウズベキスタンのホテルやゲストハウスでは、イスラム教の習慣のためか、未婚の男女がホテルの同じ部屋に泊まるということを禁止している場合が多く、シングルルームの需要が多いのだろうか。

IMG_6340【2014.7.20】Orient Star Khiva Hotel

 もともと、ヒヴァに来る前はイチャン・カラの内部にあるOrient Star Khiva Hotelに泊まろうとしていた。しかしタクシーがあるゲストハウスの前に停められて、ゲストハウスのファミリーの熱烈な歓迎を受けたから、結局そこに泊まることになってしまったんだけれども、この世界遺産の建築物を利用したホテルも捨てがたかったなあと思う。もちろんそのゲストハウスは、みな親切だったし、朝食はおいしかったし、価格も低廉だったから、満足度は高かったんだけれども。
 カルタ・ミナル(Kalta Minor)は朝の光を浴びて、その美しさが一層と際立っている。

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【2014.7.20】カルタ・ミナル(Kalta Minor)

 26mで工事が中断されてしまったカルタ・ミナルだが、もし元の計画通り100mの高さにまで建てられていたらどのような感じだったろうか。

IMG_6344【2014.7.20】カルタ・ミナル(Kalta Minor)

 むしろこのこじんまりとした宝石箱のような街並みには、これくらいの高さの方が調和しているかもしれない。

IMG_6345【2014.7.20】カルタ・ミナル(Kalta Minor)

 昨日見学した、パフラヴァン・マフムド廟のドーム屋根が見えてくる。

IMG_6347【2014.7.20】イチャン・カラにて

 ウズベキスタンでみる、深緑色のドーム屋根というのもまた美しい。

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